2023.09.21
J-Stream Equipmedia
ライブ配信サービス
セルフライブ
一つのイベントで「会場参加」「オンライン参加」どちらも用意されている場合を指して「ハイブリッドイベント」と呼びます。本記事では、ハイブリッドイベントの実施を検討中の企業ご担当者様に向けて、ハイブリッドイベントを成功に導くために知っておいていただきたいことを解説します。
自社スタッフでできる【ハイブリッド配信 実践ガイド】
《 目次 》
ハイブリッド(hybrid)とは、異なる二つの要素が組み合わさったもののことです。記事の冒頭でも説明しましたが、「ハイブリッドイベント」とは一つのイベントで「会場参加」「オンライン参加」どちらも用意されているものを指します。
新型コロナウイルス感染症の蔓延と共に、イベントの多くがオンライン開催になりました。2021年ごろからは、蔓延の状況を注視しながら、会場参加とオンライン参加を併用したハイブリッド形式のイベントも開催され、現在も活用されています。
「アフターコロナ」のイベント開催意向について、Peatix調査(主催者に対する質問)では下記のような結果となっています。
コロナ禍によりオンラインイベントが定着、収束後はすべてがリアルイベントに回帰するのではなく、イベントの目的や特性に応じて、リアル・オンラインオンリー・ハイブリッドそれぞれの開催方式で検討・実施されているのが現在の状況です。
インターネット上で配信されるイベントを指して「オンラインイベント」と呼びます。対義語としては、「リアルイベント」「フィジカルイベント」「オフラインイベント」などが用いられます。比較的新しい言葉であるため、人によって呼称にばらつきがあります。
整理すると
となります。
オンラインイベントについては、ライブ配信を真っ先に思い浮かべる方も多いかもしれませんが、場合によっては疑似ライブ配信(録画配信)や、オンデマンド配信など、様々な配信方式を活用したイベントがあります(組み合わせ利用も含む)。
リアルイベントや、オンラインイベントと比較した、ハイブリッドイベントのメリット、注意点を解説します。
ハイブリッドイベントのメリットには以下のようなものがあります。
順番に説明していきます。
会場参加のみの場合に比べ、オンライン参加があることで場所や時間の制約を受けにくくなります。参加する側にとっては、参加利便性が高まります。会場から遠い人や時間の都合のつきにくい人が参加しやすくなりますので、運営側としても参加者増が期待できます。
会場開催のみの場合、参加可能人数は会場のキャパシティ次第です。どの程度集客ができるかを想像しながら、会場を選定する苦労もあります。会場の広さはコストとも比例しがちです。
ハイブリッドイベントなら、オンライン参加部分でキャパシティの拡張性があります。使用する配信プラットフォームにもよりますが、リアル会場に比べると手軽かつ低コストでキャパシティの拡張ができますので、参加人数が会場のキャパシティに縛られにくいといえます。
下記は当社で実施したアンケート調査です。
■調査対象・サンプル
20~59歳男女、会社員(経営者・役員を除く)。勤め先で2022年に実施された動画配信について、企画または運営する立場と回答した方。… 1,083名
『「集合・対面」「動画配信(オンデマンド配信・ライブ配信・疑似ライブ配信)」それぞれの特徴として、当てはまると思う選択肢にすべてチェックを入れてください。』という質問に対し、下記のような結果になりました。
「一体感が生まれる」 「理解しやすい」 「コミュニケーションが深まる」の3項目で、 「対面・集合」に回答が集まりました。対面・集合と動画配信で比較した場合、対面・集合の方が密度の高いコミュニケーションを実現できることが分かります。
動画配信だけに絞った場合は、「ライブ配信」に「一体感が生まれる」 「コミュニケーションが深まる」といった特徴があるといえます。
オンラインのみのイベントの場合、登壇者に参加者の反応が届きにくかったり、配信現場自体が盛り上がりに欠けたりといったことが生じがちです。テレビ番組で観覧がある場合と同じように、会場参加があることで登壇者のパフォーマンスが高まったり、また会場の熱気を講演に載せて配信することが可能になったりします。
大雨や台風など災害時で交通網が乱れることがあります。また感染症の蔓延なども起こりえます。ハイブリッドイベントとして準備しておけば、会場のみの準備の場合より、本番の直前でもオンラインのみの開催に変更しやすいメリットがあります。
リアルとオンラインのそれぞれ良い部分を生かせる、魅力的な方式であるハイブリッドイベントですが、注意点もあります。
順番に説明していきます。
「集合開催のみ」「オンラインのみ」に比べ、ハイブリッド開催では運用負荷が上がる可能性があります。会場側の対応とオンライン側の対応、両方が発生するためです。参加者の増加や会場費用の削減など成果やコスト面での増減などバランスを見ながら開催方法を決定する必要があります。
場合によっては、すべてを自社で対応しないという選択も必要です。例えば、自社スタッフは会場側と全体管理に集中し、オンライン側を外部に委託するなどです。後述しますが、ハイブリッドイベントの場合、オンライン参加のみのイベントに比べ、配信の難易度が上がりがちです。そういった意味でも、配信周りを専門の会社に委託するほうがいいといえます。
オンライン参加のみの場合、映像も音声もオンラインに向けてのみ準備すればいいのですが、ハイブリッドイベントの場合、会場参加者とオンライン参加者の両方に最適化しなければなりません。会場側に届ける機材や配線、オンライン側に届ける機材や配線と複雑になります。
また、出演者が一部オンライン登壇するなどが加われば、機材やオペレーションはより複雑になるでしょう。
オンライン参加者はイベント中に他の情報にアクセスしやすかったり、視聴環境の影響を受けやすかったりと、会場参加に比べてイベントへの集中を阻害する要素が多くなります。イベント内容自体に加え、一方的な視聴にならないようにアンケートやクイズなど参加要素を加えるなどの工夫をするとよいでしょう。
また、オンライン参加では、展示物などに直接触ることができません。その点を補うのであれば、動画やVRなどを用いるのが有効です。
「登壇者と講演後に会話する」「主催者に質問する」「参加者同士で繋がる」など密なコミュニケーションは、会場参加に比べるとオンライン参加では難しい部分になります。チャット活用や個別にWeb会議を立ち上げそこでコミュニケーションをとるなど、事前にしっかりと設計してイベントの効果を高めましょう。
リアルとオンラインの特徴を併せ持つのがハイブリッドイベントです。メリットだけでなく注意点もあります。イベントの目的や種類によっては、「会場のみ」「オンラインのみ」にする方が良い場合もあるかもしれません。
また、会場、オンラインどちらに主を置くのか(置かないのか)などイベントの設計部分も、特徴をふまえて決める必要があります。
など様々なイベントでハイブリッド形式での開催が考えられます。それぞれ詳しく解説してきます。
例えば東京でイベントを開催する場合、地方の方は参加しにくくなります。関心の高いイベントであれば、出張を伴って参加する方もいるかもしれませんが、大幅に参加ハードルは上がります。しかし、大阪や名古屋、福岡など各都市でもイベントを開催するとなると大変なコストと労力がかかります。
東京を会場参加の場とし、加えてオンライン参加ができるようにハイブリッドイベントにすることで、1開催で遠方の方でも参加しやすくなり、集客数の増加が見込めます。
東京在住の方でも移動時間の確保が厳しかった場合は参加がしやすくなるでしょう。
サービス・製品のユーザーを対象にした、成功体験の共有や情報交換のためのイベントです。交流やおもてなしを重視するのであれば、会場をメインに集客をおこない、どうしても参加できない方に向けてはオンライン参加を用意するのがいいでしょう。
交流やおもてなしを重視したい場合、オンライン参加者にただ視聴してもらうだけでは不十分かもしれません。記念品を自宅に送付したり、イベント中に会場参加でもオンライン参加でも同時に参加できる催しを盛り込んだり、歓談時間にWeb会議を立ち上げそこで少人数でのコミュニケーションが図れるような場を設けたりといった工夫が考えられます。
全社員や部門全員の行事を開催する場合、日本全国から社員が出張や移動をする必要が生じます。移動や宿泊はイベントコストの増加につながります。また、充分な予算が確保できたとしても、業務都合や各自の事情でどうしても参加が難しい場合もあるでしょう。
ハイブリッドイベントにすれば、出張や移動がしにくい社員でも参加しやすくなります。
より参加感や一体感を高める工夫としては、前述の「サービス・製品のユーザー会」と同様に、イベント中に会場でもオンラインでも同時に参加できる催しを盛り込んだり、歓談時間にWeb会議を立ち上げそこで少人数でのコミュニケーションが図れるような場を設けたりといった工夫ができます。
会社創立〇周年など記念式典の場合は、記念品を自宅に送付したり、食事を伴うイベントであればオンライン参加者へはイベント日時に合わせてケータリングを手配したりするなども有効でしょう。食事や歓談の時間に、重役など普段なかなか話せない相手とオンライン参加者がWeb会議で雑談できるような時間が持てれば、参加方式によるイベント参加満足度の差を埋めることができます。
日本全国に広がる学会員向けのイベントについても、オンライン参加を用意することで、参加利便性を高めることができます。コロナ禍で普及したオンライン学会の利便性は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行したとしても、引き続き求められています。
株主総会については、バーチャル株主総会として「ハイブリッド型バーチャル株主総会」が多く開催されています。「場所に縛られず参加・出席機会が広がる」「株主総会が透明性の高いものとなり信頼感が増す」などのメリットがあります。バーチャル株主総会については、下記の記事で詳しく解説しています。
イベントを企画する際には、まず目的を決めます。何のためのイベントなのか、イベント参加によりどういった状態になっていてほしいのかを明確にしましょう。
次にターゲット像を想定します。イベントに期待することや、どういうイベントであれば参加したくなるのか・参加しやすいのかを検討します。
マーケティング目的のイベントなどでは、必要に応じてKPI(数値目標)を設定しましょう。
KPIの例としては
などがあります。
目的やターゲット像などからハイブリッド化する必要性があるのかを考えます。
ハイブリッドイベントで開催を決定した場合、会場・オンラインでそれぞれ何名程度の参加を見込むのか、どちらにどの程度比重を置くのかを明確にしましょう。
ハイブリッドイベントという概念は比較的新しく、様々なパターンがあります。
最もポピュラーなのは「会場+ライブ配信」です。会場とオンラインが同時に進行するイベントです。同時進行なので、会場参加者とオンライン参加と分け隔てなくチャット上でコミュニケーションを取ったり、アンケートツールで参加者を巻き込んだ進行をしたりといったことが可能です。
「会場A+会場B+ライブ配信」の形で、会場が複数あるパターンです。例えばビジネスカンファレンスで、東京と大阪の会場でそれぞれ参加もでき、オンラインでの個別視聴もできるというパターンです。会場A、会場Bでは、1つの講演が片方に向けて配信される場合もありますし、別々の講演を進行することもできます。
「会場+オンデマンド配信(後日配信)」というパターンもあります。会場でイベントを開催し、その記録を後日オンデマンド配信します。時差も含め様々な配信形式を利用することで、イベントの幅が広がります。
この他には例えば、複数日に及ぶイベントで、1日目・2日目はオンラインのみ、3日目はハイブリッド開催というパターンもあるでしょう。
ここでは当社のお客様のハイブリッドイベントの事例を紹介します。
「BACKSTAGE」は、各業界のイノベーターが登壇し、体験型マーケティングを学ぶイベントです。
毎年、リアルの会場を借りて開催していましたが、5回目となる「BACKSTAGE 2020」で初めてオンライン配信を併用したハイブリッド型イベントを実現しました。
BACKSTAGE実行委員会様は、オンライン配信の導入効果や、新たなイベント様式が持つ可能性を実感されています。
未来に向けて想いを一つにする場として全社員が参加できる環境で式典を開催するために、Teamsライブイベントを使用したライブ配信と会場参加でのハイブリッドイベントに決定されました。
式典開催時の課題「社内向けかつ大規模配信でのネットワーク帯域不足」「配信ノウハウの不足」解消のため、JストリームではMicrosoft 365導入企業向け社内ネットワーク負荷分散「Kollective SD ECDN」導入と、式典のライブ現場対応を担当いたしました。
Sky様は自社パッケージ商品の開発・販売・サポートや、エンジニアの派遣、受託開発など、幅広い分野でソフトウェア技術を提供されています。こうした事業活動に関わるものとして、お客様や販売店様からパートナー企業様向けなど様々なイベントを実施されています。
コロナ禍を背景にイベントのオンライン化に対応され、現在はハイブリッド開催なども織り交ぜながら実施されています。
第10回 日本成人脊柱変形学会は、会場とオンライン両方での参加が可能なハイブリッド型で開催されました。 オンラインの参加者に対して、会場の臨場感も伝えるためにライブストリーミング方式をご活用されました。
「4.イベントの目的・ハイブリッド化する理由を明確にしよう」で解説したように、誰向けにどんなイベントをなぜ開催するのかを明確にしたうえで、イベント準備を行いましょう。
イベント準備には長い期間がかかります。運営チームを作り、役割分担をし、どの部分を自社内で対応し、どの部分を外部に依頼するのかを考えましょう。
イベントの企画を含め外部に依頼するのか、配信部分だけを外部に依頼するのか、すべて自社内で行うのか、など様々な選択肢があります。十分な準備期間を取っておけば、チーム作りからしっかり検討ができるでしょう。
ハイブリッド配信の注意点の解説部分で、「ハイブリッドイベントは配信の難易度が上がる可能性がある」とお伝えしました。ハイブリッドイベントの形は様々ですし、配信を対応するチームによっても、難易度の解釈は変わります。
シンプルな構成のハイブリッド配信であれば、配信を自社スタッフのみで対応することは可能です。ハイブリッド配信の内製を検討中の企業様は、下記の記事を参考にしてください。
イベントは失敗の許されないものであることが多いでしょう。自社スタッフで対応する場合は、配信スキルのあるチームに任せるか、しっかりと体制を整えて対応するのがよいでしょう。
それが難しい場合は、外部への委託を検討ください。当社では、年間2,400件以上(※1)の案件を対応している専門チームがライブ配信(ハイブリッド配信も含む)の現場対応サービスを提供しています。イベントの企画から運営までまるごとお任せいただくことも可能です。お気軽にお問い合わせください。
※1 2022年度実績
ライブ案件の対応実績豊富なプロフェッショナルスタッフが対応するサービスです。
経験豊富なライブ配信スタッフがお客様毎に専任でサポートいたします。案件ごとにチームを組み、それぞれの役割を持ったスタッフが、常に情報を連携し、確実な配信の実現に向けて対応、企画・ライブ中継現場の対応から最新テクノロジーのご提案まで、トータルサポートいたします。
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