2025.12.10

ウェビナーや教育・研修を実施する際に選択肢の一つとなるのが録画配信です。録画配信には、動画の質を高めたり、視聴者を増やせたりといったメリットがあります。では、録画配信はどのように実施するのでしょうか。また、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。この記事では、ウェビナーなどの録画配信について詳しくご紹介します。
お役立ち資料 【動画配信スターターガイド ~対象者を限定した配信向け~】
録画配信とは、事前に収録した映像を配信する形式です。録画配信は、撮影と同時に配信を行うライブ配信と比べて、「オペレーション量やスタッフの人数を減らせる」「配信時のトラブル発生リスクが少ない」といった特長があります。
ライブ配信は、リアルタイムで映像を配信する方法であり、その場の臨場感や視聴者との一体感を演出しやすいのが最大の特長です。一方で録画配信は、完成されたコンテンツを安定的に届けることに長けています。どちらが良いというわけではなく、配信の目的やターゲットに応じて最適な方法を選択することが重要です。
録画配信は、主に以下のようなユースケースで利用できます。
録画配信を実現する方法として、以下の2つが挙げられます。
| 配信方法 | 概要 | 特徴 |
| 疑似ライブ配信 | 録画済みの動画を、指定した日時にライブ配信のようにストリーミングする方法。 | ライブ配信のような特別感を演出しつつ、配信トラブルのリスクを抑えられる。 |
| オンデマンド配信・アーカイブ配信 | 事前にサーバーへアップロードした動画を、視聴者が好きな時にいつでも再生できる方法。 | 視聴者の利便性が最も高い。繰り返し視聴や部分視聴が容易。 |
疑似ライブ配信とは、収録済みの動画を指定した日時に配信する方法です。視聴者にとってはライブ配信のように視聴機会が限定的でありながら、運営側にとっては「ライブ配信」に比べ本番配信時の機材やオペレーションが大幅に低減できるメリットがあります。また、チャットを用いたリアルタイムでのコミュニケーションも可能です。
また、疑似ライブ配信なら、一日複数回の配信や同時間帯における複数配信でも、少人数で安定して実施できます。

オンデマンド配信は、制作した動画をサーバーにアップロードし、視聴者が好きなタイミングで見られるように配信するものです。一度実施したイベントやウェビナーの録画データを配信する場合は、アーカイブ配信と呼ばれることもありますが、配信の仕組みとしては同じものです。
オンデマンド配信・アーカイブ配信は、「視聴者が自身の都合に合わせて動画を視聴できる」「繰り返し視聴や部分視聴が簡単にできる」など、視聴利便性の高さがメリットです。

録画配信には、ライブ配信にはない多くのメリットが存在します。ここでは、代表的なメリットをご紹介します。
ウェビナーなどライブ配信では、言い間違えや音声トラブルが起こる可能性が高くなります。録画配信では、動画を撮影し内容を確認した上で必要に応じて再撮影や編集を行えるため、品質を高めやすくなります。
オンデマンド配信では、視聴者はいつでも動画を見られます。また疑似ライブ配信の場合は、同日の午前と午後の計2回配信するなど、視聴機会を増やせます。これにより視聴者の利便性が高まり、より多くの方に動画を視聴してもらえるでしょう。
ライブ配信には、インターネット回線の切断や機材の故障といった、配信が中断してしまうリスクが常につきまといます。録画配信であれば、配信当日は完成した動画を再生するだけなので、こうした技術的なトラブルの心配がほとんどありません。配信者は当日の運営に集中でき、精神的な負担も大幅に軽減されるでしょう。
一度制作した録画コンテンツは、企業の重要な資産となります。たとえば、開催したウェビナーの録画を後日オンデマンド配信することで、当日参加できなかった人にも情報を提供できます。さらに、内容を短く編集してSNSで発信したり、部分的に切り出して営業資料として活用したりと、一つのコンテンツを多角的に利用することが可能です。
多くのメリットがある一方で、録画配信にはいくつかのデメリットも存在します。対策とあわせて理解しておきましょう。
ライブ配信や疑似ライブ配信ではチャットなどを用いてリアルタイムで視聴者とコミュニケーションを取れますが、オンデマンド配信ではできません。コミュニケーションの代替手段として動画へのコメント機能やアンケート機能を活用する方法があります。
録画配信は動画の内容を事前にチェックして品質を高められる点がメリットですが、編集作業は手間にもなります。特に動画編集に不慣れな方にとっては、相応の負担がかかるでしょう。対策としては、シンプルな編集で済むように収録段階で工夫したり、動画編集ツールが備えるテンプレート機能を活用したりすることが挙げられます。また、法人向けサービスでは、編集作業をサポートしてくれるプランもあります。
録画配信の内容は、時間の経過とともに陳腐化する可能性があります。古い情報を提供しないように、定期的に再撮影を行って内容をアップデートする、もしくは古くなった動画の公開取りやめを検討する必要があります。
以下では、録画配信の具体的な手順をご紹介します。
録画配信を行うためには、以下のような機材やツールを用意する必要があります。
たとえばWindows11標準搭載動画編集アプリ「Clipchamp」では、PC画面の録画やスライド資料を映しながらのプレゼンテーション収録もできます。
Zoom Webinarsを利用する場合、実施したウェビナーなどをそのまま録画する機能が用意されており、PCやクラウド上に録画データが保存されます。このデータは録画配信にも活用できます。
当社(Jストリーム)の法人向け動画共有・配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia」(EQ)も、動画内製を支援する機能を備えています。
撮影した動画を編集します。編集には動画編集ツールを利用するほか、動画配信プラットフォームの編集機能を利用することも可能です。
ここでは不要なシーンをカットしたり、必要に応じてテロップで補足説明を加えたりして、動画の品質を向上させます。
| 主な編集内容 | ポイント |
| カット編集 | 「えー」「あのー」といった不要な間や、言い間違いなどを削除する。 |
| テロップ・字幕 | 強調したいポイントや専門用語の解説などを文字で補足する。 |
| BGM・効果音 | 動画の雰囲気に合わせてBGMを挿入し、視聴者の集中力を維持する。 |
| 音量調整 | 話し声とBGMのバランスを調整し、聞き取りやすい音量に統一する。 |
撮影した動画を公開します。動画の公開方法は、疑似ライブ配信とオンデマンド配信で異なります。
たとえばZoom Webinarsでは、事前に録画した動画を利用した疑似ライブの実施が可能です。実施したウェビナーをオンデマンド配信する場合、クラウド上に動画が保存されているため、共有用のURLを利用することでそのまま公開できます。
ただし、ウェビナーなどオンラインイベント以外でのオンデマンド配信の場合や、多数の動画を一元的に公開したい場合などは、動画配信プラットフォームを利用するほうが適している可能性があります。
動画配信ではYouTubeのような無料の動画配信プラットフォームの利用も可能ですが、より安全で高度な配信を目指す場合、法人向けの動画配信プラットフォームの利用がおすすめです。
法人向け動画配信プラットフォームには、コンテンツ管理機能やユーザーごとの動画出し分け機能、動画の再生を行うためのプレイヤー機能といった、動画の配信に必要な一連の機能がそろっているため、手軽に録画配信を実現できます。製品にもよりますが、オンデマンド配信のほか、疑似ライブ配信機能が備わっているものもあります。
公開した動画の視聴状況を分析します。視聴データの分析結果を、次回以降の内容改善やターゲット別の配信計画に活かすことで、配信効果を最大化することが可能です。
法人向け動画配信プラットフォームには、視聴者や視聴時間の分析を行う機能が備わっています。これらを利用して、動画内容の見直しや今後実施するウェビナーなどの改善を行うとよいでしょう。

最後に、録画配信を成功させるためのポイントをご紹介します。
ウェビナーなどの実施には一定の費用と時間がかかるため、可能な限りコンテンツを有効に活用できるとよいでしょう。
たとえば、ウェビナーとしてライブ配信を実施する場合、あわせて録画配信(アーカイブ配信)の実施も検討したいところです。さらに、ウェビナーの映像を編集した動画を社内向けに共有することで、社内ナレッジとしてコンテンツの活用が可能となります。
また、ライブ配信ではなく、録画した動画を利用して疑似ライブ配信を行うのもよいでしょう。たとえば1日2回疑似ライブ配信を行えば、視聴者の参加機会を広げやすくなります。
オンデマンド配信では、あえて視聴日時を限定することも有効です。オンデマンド配信は視聴者が「いつでも見られる」という意識を持つため、視聴が先延ばしにされがちですが、配信期間を限定すれば視聴を促せます。
録画配信を最大限視聴してもらうためには、視聴促進のための取り組みが重要です。たとえば、ユースケースごとに以下のような取り組みが考えられます。
法人向け動画配信プラットフォームには以下のような機能が備わっており、動画の適切な管理・配信やセキュリティの向上、動画の利活用推進といったメリットを得られます。
Jストリームが提供する法人向け動画共有・配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia」(EQ)では、疑似ライブ配信とオンデマンド配信機能が備わっています。配信した動画はポータル機能「EQポータル」により一元化して視聴者へ提供可能です。
EQは30日間無料でお試しいただけます。ご興味のある方はお問い合わせください。

録画配信を行う際には、著作権や利用規約の確認、安定したインターネット環境の確保、視聴者に合わせた配信方法の選択など、押さえておくべきポイントがいくつもあります。これらを事前に整えることで、トラブルを防ぎ、スムーズな配信が可能になります。ここからは録画配信の注意点について紹介します。
配信するコンテンツに、第三者が作成した音楽、映像、画像などが含まれる場合、著作権の許諾が必要です。また、配信プラットフォームによっては、録画したコンテンツのアップロード自体が利用規約で禁止されている場合もあります。特に、有料のオンラインライブなどを無断で録画し、再配布する行為は違法となりますので、絶対に行わないでください。私的利用の範囲であっても、サービスの利用規約を事前に確認することが不可欠です。
動画ファイルのアップロードや、疑似ライブ配信の際には、安定したインターネット回線が必要です。回線速度が遅いと、アップロードに長時間かかったり、配信が途中で止まってしまったりする原因となります。可能な限り、有線LAN接続を利用することをおすすめします。
録画配信を成功させるには、ターゲットとなる視聴者の状況を考慮することが大切です。たとえば、忙しいビジネスパーソン向けであれば、好きな時間に視聴できるオンデマンド配信が適しています。一方で、イベント性を高めて多くの人に同時に視聴してもらいたい場合は、日時を指定した疑似ライブ配信が効果的です。コンテンツの内容とターゲットに合わせて、最適な配信方法を選択しましょう。
この記事では、録画配信について詳しくご紹介しました。IT環境の高度化により、動画のような高品質なコンテンツの活用もしやすくなり、動画を活用したマーケティングを進める企業も増えています。これを機に、ぜひ録画配信を活用してみてください。

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