2022.09.14
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当社実施の調査(ライブ配信“配信トラブル”の発生頻度とマイナス影響)ではで、多くの方がライブ配信において配信トラブルを経験していることが分かりました。そこで本記事では、ライブ配信実施に取り組まれている企業様に向けて、ライブ案件数年間2,400件以上(※1)を対応するJストリーム ライブプロデュース部が「ライブ配信の現場トラブルシューティング」について解説します。
※1 2021年度実績。
《 目次 》
下記の記事では前述のアンケート調査結果から、「ライブ配信の配信トラブル経験頻度(種類別)」「ライブ配信の配信トラブル発生原因」「配信トラブルで受けるマイナス影響」についてご紹介しています。
ライブ配信の多く起こるトラブルとしては
などがあります。
「ライブ配信のプロが教える、配信で失敗しないための5つのポイント」でも、ポイントの一つとして「準備に8割の力を注ぐつもりで」と述べていますが、ライブ配信成功の可否は事前準備にかかっていると言えます。また下記の記事でも、ライブ配信の準備のポイントを「事前準備」「現場準備」に分けて、それぞれ詳しく紹介していますので、ライブ配信のトラブル低減に取り組まれている方は、こちらも併せてお読みください。
本記事では次章から、ライブ配信でトラブルが発生した際の解消方法について解説します。ただしトラブルによっては、本番中の対処が難しいものも多くあります。事前のテストやリハーサルなどを入念に行い、そこでトラブルをしっかり解消し本番に備えることをおすすめします。
これからライブ配信実施に取り組まれたいという方には、実施に役立つ資料を配布しておりますので、ダウンロードのうえご活用ください。
もし今回解説している内容が「ちょっと難しいな」と感じられる場合は、ライブ配信とオンデマンド配信のメリットを併せ持つ「疑似ライブ配信」という方法もありますので、下記の記事をお読みのうえご検討ください。
音声の聞き取りにくさや雑音の発生の主な原因と対処方法を解説します。
エアコンなどの空調の音は、マイクにのってしまうと配信上で演者の声が聞き取りにくくなってしまいます。本番時間のみ空調を切るか、エアコンの吹き出し口から離れたところにマイクを設置するなどの工夫をしましょう。
会場の状態によりますが、反響しやすい場所の場合、マイクがそれを拾ってしまい、音声が聞き取りにくくなるということもあります。
ミキサーと呼ばれる音響機器を使用している場合、聞き取りやすいよう音のバランスを調節することが可能です。
ハンドマイクや、ピンマイクなど、出演者の演出方法により準備するマイクを検討しましょう。ハンドマイクは、指向性が高いため、演者の口にしっかりと向けておかないと音声を拾いにくくなります。
マイクスタンドに立てる場合は、演者の口元から30㎝程度離した位置になるように配置しましょう。
ピンマイクは、演者の両手があくため、プレゼンなどの際に選ばれることが多いです。ピンマイクは一般的に指向性が低く、周辺の音も拾いやすい特徴があります。なるべく演者の口元近くにピン留めできるとクリアに拾うことが可能になります。
音声は意図していない機器から入力されることがあります。たとえば、マイクとカメラマイク両方から音声が入力されてしまい、音声がダブって聞こえてしまうという場合は、不要な音声が載らないように設定をしましょう。
音声を入出力するケーブルに負荷がかかって抜けそうではないかをチェックしましょう。抜けそうな場合は、養生テープで留めるなどの対策を講じましょう。
音声は、ケーブルからノイズを拾うことがあります。特に電源ケーブルから発せられるノイズ(電源ノイズ)に影響を受けることが多いです。対策としては、音声ケーブルと電源ケーブルをなるべく離して結線します。どうしても交差する必要がある場合は、十字に重ねて、接点が少なくなるようにします。
配信に余計な音声が乗らないように、スライドを提示するようなPCなどの通知音が鳴らないように、通知機能を一時的にオフにします。音声出力も使用しない場合は、ミュートにしておきましょう。
PCからの音声取り込みは、ミニジャックのようなアナログケーブルを使う場合や、HDMIで映像とともに音声を取り込む場合などがあります。Windowsでは、特別な設定をしていない限り、HDMI出力すると、音声もHDMI出力に自動で切り替わります。切り替わってしまうと、設定を戻さないとミニジャックから音声が出力されないため気を付けましょう。
長時間の使用などで機材が熱を帯びることがあります。熱を放置しておくと、音を含め動作に不調をきたしたり、故障や停止したりするなどの原因となります。PCやカメラ、スイッチャーなどの発熱には注意しましょう。
など、必要に応じて対策を取りましょう。
映像画質が悪い・スライド資料が見にくいといった状態の、主な原因と対処方法を解説します。
配信解像度は、配信映像を表示する際に利用するピクセル数を設定する項目です。1280×720(HD)、1920×1080(FullHD)などアスペクト比に応じて決められた数値を設定しますが、例えば入力解像度が1280×720に対して、配信解像度を1920×1080とすると、1ピクセルに対する情報量が足りなくなるため、画質劣化の原因となります。一方で、入力解像度が1920×1080に対して、配信解像度を1280×720にしても、画質に影響はありません。
入力解像度(px) | 配信解像度(px) | 状態 | |
1 | 1280×720 | 1920×1080 | 1ピクセルに対する情報量が足りなくなるため、画質劣化の原因となる |
2 | 1920×1080 | 1280×720 | 入力解像度が配信解像度と同等以上なので、画質に影響はない |
演者を撮影する際は、背景の壁の色や、装飾物が邪魔にならないかなどを考慮して立ち位置、座り位置を決めましょう。
会場全体の照明はなるべく明るく設定をすることで顔がはっきりと見えやすくなります。会場の照明配置によっては、暗くなる場所もあるため、そのような場所は避けて配置すると良いでしょう。
スライドを用いて発表をする際は、スライド内の文字サイズは大きめ、薄い色はさけ、線の太いフォントを選びましょう。配信する画質によっては、文字がつぶれて見えにくくなる場合があります。
スライドをめくる際のエフェクトはシンプルなものにしておくことをおすすめします。過度なエフェクトを使用すると、配信する画質によっては、ブロックノイズ(動きの多い部分やなめらかなグラデーションがある部分で発生しやすい四角いノイズ)が発生してしまう場合があります。
配信に使用するツール(動画配信プラットフォームなど)にもよりますが、視聴者側で画質を選択できる場合は、その変更方法を案内することで、任意の解像度で視聴することが可能になります。
配信が途切れてしまう主な原因と対処方法を解説します。
インターネット回線は必要速度のギリギリではトラブル発生につながりやすいと言えます。回線速度は、配信画質で使用する容量のおおよそ10倍程度が平均で出ていると安心です。1Mbpsで配信する場合は、平均10Mbps以上、5Mbpsで配信する場合は、平均50Mbps以上などが目安になります。
また、ライブ配信にはインターネット回線のアップロードの安定性が重要です。また速度に加え、目的のサーバーまでの経路にボトルネックがないかを応答速度で測る「Ping値」も重要です。ライブ配信の場合おおよそ50ms以内が理想値で、それ以上になるとパケットロスでサーバーエラーを引き起こすなどの問題が生じるリスクが上がります。
インターネット回線速度の確認と同じツールでPing値も同時に確認できるものがあります。Webブラウザに「Ping値 計測」と入力して検索すると、スピードテストサイトが表示されます。
検索結果の「Ping」や「ピン」「レイテンシ」と表示された部分の数値を確認しましょう。
ライブ配信では、RTMP通信など特殊なプロトコルを利用するケースがあるため、使用する回線にファイヤーウォール等のセキュリティがかかっていると、配信ができないなどの問題が生じる場合があります。事前に必ずチェックしておきましょう。
昨今、Wi-Fiや5Gなどの無線回線の速度も向上の傾向がありますが、いずれも有線の安定度にまだまだ勝りません。可能であれば配信には有線回線を利用しましょう。Wi-FiやポケットWi-Fiなどは、有線が準備できない場合の最後の手段として考えたいところです。
一般的なインターネット回線は、ベストエフォート型で提供されており、一般回線網で混雑すると、回線の安定度が損なわれるケースもあります。どうしても安定した配信が必要な場合、プロバイダが提供する帯域保障型のインターネット回線を準備することもオプションとして検討しておきましょう。
どれだけ対策を打っていても、機材や回線のトラブルはゼロになりません。すぐにリカバリーできるように、予備機材を準備しておいたり、メインとバックアップ両方のサーバーに同じ映像を配信しておいたり、不具合があればすぐに乗り換える仕組み(フェイルオーバー)を構築しておきましょう。
配信開始が遅れてしまう主な原因と対処方法を解説します。
1人の負担が大きいと、その人の準備が終わらないと次に進めず、全体進行に影響を及ぼす可能性があります。様々な準備、オペレーションが適度に役割分担できているか確認しましょう。
規模によりますが、全体の進行管理をするスタッフと、オペレーションを担うスタッフは分けておくことで効率よくスケジュールが進みます。
予定時刻になっても始まらず、適切な案内などもなければ、視聴者は不安になってしまいます。遅延が発生すると分かった段階で、できるだけ早めにどの程度遅れるのかを案内しましょう。遅延により配信内容全体を視聴できなくなる方もいるかも知れません。お詫びと共に、別途アーカイブ配信をする旨など添えて案内すると良いでしょう。
ここまで、ライブ配信の現場トラブルシューティングについて解説しました。やはりトラブル低減には準備が大切という一言に尽きると思います。
当社調査では、ライブ配信の視聴経験者に向けて、配信トラブルで受けるマイナス影響についても質問しています。
「ライブ配信の配信トラブルの発生によって受けるマイナスの影響について、あなたの考えに近いものをお選びください。」という質問に対し、「かなり下がる」「やや下がる」を足した数値でみた場合、「登壇者や出演者への信用・評価」以外の項目で、50%以上が「マイナスの影響を受ける」と回答する結果になりました。
ライブ配信の配信トラブル低減・防止は、視聴者へのマイナス影響を発生させないために重要です。
配信トラブル低減・防止におすすめの配信方法として「疑似ライブ配信」があります。疑似ライブ配信は当社が実施しているマーケティングセミナーでも用いています。疑似ライブ配信では、事前収録した動画を配信しますが、リアルタイムで視聴者とチャットによるコミュニケーションが可能です。
しかし、生放送であるライブ配信には、「速報性」「質問にその場で出演者が自らの声と姿で答えるといったコミュニケーションが可能」「出演者や視聴者が同じ時間を共有できる」などの利点や価値があり、全てのライブ配信を疑似ライブ配信で行うという分けにはいかないでしょう。
生放送でのライブ配信で配信トラブル低減・防止を行う場合、今回解説したように「インターネット回線整備」「オペレーターのスキルアップ」「冗長化」といった配信環境の整備を行ったり、場合によっては実績豊富なライブ配信のプロを活用することも有効です。
重要度の高いイベントや視聴者規模の大きいものは、内製するには難しい場合もあります。また、実施頻度が低い場合、なかなかチーム内にノウハウが溜まらず質が上がらないかもしれません。そういった場合は、外部(専門スタッフ)に委託してオンラインイベントを開催することもご検討ください。
当社では、ライブ案件の対応実績豊富なプロフェッショナルスタッフが対応する「ライブ配信サービス」を提供しています。
経験豊富なライブ配信スタッフがお客様毎に専任でサポートいたします。案件ごとにチームを組み、それぞれの役割を持ったスタッフが、常に情報を連携し、確実な配信の実現に向けて対応、企画・ライブ中継現場の対応から最新テクノロジーのご提案まで、トータルサポートいたします。
ご興味のある方は、こちらよりお問い合わせください。
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