2022.11.24
ライブ配信
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インターネットライブ配信はリアルタイムでの配信であるため、回線準備やインターネット回線の安定性・速度が非常に重要です。今回は、ライブ配信実施をご検討中の企業様に向けて、インターネット回線の分類と安定性の違いや回線速度の目安、準備のポイントや注意点を解説します。
《 目次 》
下の図はライブ配信の構成例です。
届けたい映像と音声によっても機材構成は異なりますが、ライブ配信で用いられるインターネット回線は大きく2つに分類されます。
ライブ配信実施側が使うインターネット回線は2つの用途に分かれます。
これは上り(アップロード)方向の通信です。本記事ではこの回線を中心に解説しています。
などに使用します。これは主に下り(ダウンロード)方向の通信です。
視聴者がライブ配信を視聴するためのインターネット回線です。これは下り(ダウンロード)方向の通信を主に使用します。
ここでは、先ほど「ライブ配信実施側が使うインターネット回線」で説明した用途の1つ目「映像と音声を送るためのインターネット回線(上りの通信)」について解説します。以降これを「ライブ配信用インターネット回線」と呼びます。
ライブ配信用インターネット回線の安定性は、ライブ配信成功のために非常に重要です。 安定した回線選びのために必要な、インターネット回線の分類について知っておきましょう。
当社では、ライブ配信用インターネット回線を、「既存回線(既設回線)」「専有回線」「専用回線」の3つに分類しています。
既存回線(既設回線)は、施設等に予め設置されている回線かつ施設共用の回線のことです。 ライブ配信以外の用途でも使用されており、大容量のデータ転送や別のライブ配信で利用される可能性もあるため、後述する「専有回線」「専用回線」に比べると、安定性は劣ります。
専有回線は、ライブ配信のみに利用する回線です。そのため、共有回線である既存回線(既設回線)に比べて安定性が高いといえます。新たに敷設するケースも多いですが、施設によっては予め専有回線を用意しあるところもあります。有料の場合もありますので、施設にご確認ください。既に専有回線がある場合は、「既設かつ専有の回線」ということになります。
専用回線は、インターネットに出ることのない独立した回線のことです。ライブ配信においては、配信サーバーに直結する配信専用の回線のことを指します。一番信頼性が高いですが、初期導入コストやランニングコストも非常に高額であるため、絶対に落とせないライブ配信で常設利用するケースが多い回線です。
これら、「既存回線(既設回線)」「専有回線」「専用回線」の分類に加えて、「ベストエフォート型回線」なのか「ギャランティ型回線」かといった分類も重要となります。
「ギャランティ型回線」は、帯域保証・帯域優先の回線なので安定性が高いといえます。
一般的に利用されているインターネット回線は「ベストエフォート型回線」と呼ばれるものです。インターネットの混雑状況によって帯域が大きく変動する可能性があります。 最大1Gbpsと謳っていても、帯域が保証されていない回線なので、実測値としては100Mbps~500Mbps程度であったり、インターネットの利用が多い19時~22時頃では、大きく低下することがあったりします。
「ギャランティ型回線」は主にビジネス回線向けに提供される帯域保証・帯域優先の回線になります。
回線事業者及びプロバイダが提供しているプランにもよりますが、最大1Gbps(帯域保証30Mbps)の様に表記されていることがあります。この場合30Mbpsの帯域を常時確保されており、安定性の高いライブ配信の実施が可能となります。帯域保証(優先)の条件はプロバイダによって異なるため、あらかじめご確認ください。
携帯電話会社の回線(モバイル回線)やWi–Fi接続でもライブ配信実施は可能ですが、注意が必要です。
普段業務に使っているスマートフォンやポケット型WiFi/モバイルWiFiを使ったライブ配信実施はできれば避けたいとろです。回線の安定性・スピード制限発生の可能性等から、有線のインターネット回線と比べてライブ配信の安定性が劣るためです。
モバイル回線をライブ配信実施に用いる場合は、通信量による制限のかからないタイプを手配し、加えて複数回線を束ねることで速度と安定性を確保できる状態で使用しましょう。
【関連記事】ライブ配信:エンコード/エンコーダーとは? ソフトウェアとハードウェア、モバイルエンコーダーの解説
Wi-Fiは周囲の電波環境やルーターからの距離や障害物の有無によって、影響を受けやすい特徴を持っています。Wi-Fiよりは有線LANで接続しているほうが、通信が安定しやすい傾向にありますので、可能であればLANケーブルで接続しましょう。
Wi-Fi(無線LAN)で接続しライブ配信をする場合は、ルーターからの距離が遠くなりすぎない場所で配信に臨むのがおすすめです。
iPadなどモバイル端末からライブ配信をする場合は、無線接続(Wi-Fi 接続)となりますが、アダプタなどを使用して有線で接続する方法もあります。
ライブ配信実施側インターネット回線の安定性について、ここまで解説した内容を整理します。
有線接続を基本として
の分類があると解説しました。
この際、専用回線でベストエフォート型回線は無いので、専用回線=ギャランティ回線と理解しておいてください。
この中で最も安定性が高いのは「専用回線(ギャランティ型回線)」ですが、先ほども述べたように、初期導入コストやランニングコストも非常に高額であるため、絶対に落とせないライブ配信での利用に限られます。
更に、準備する回線数「1回線」か「2回線」かも重要です。1回線より2回線の方が安定性が高いといえます。2回線用意することを「インターネット回線の冗長化」と呼んだりもします。「冗長化」とは、「万が一に備えてもう一つ準備しておく」という考え方です。
推奨としては[専有回線]をベースにコストに合わせて回線やプロバイダを選定するのがよいでしょう。
因みに、Jストリーム ライブプロデュース部が管理する社内の常設配信基地では、専有回線のギャランティ型回線(帯域保証(優先)回線)を別サービスで2系統組み合わせて、安定したライブ配信を実現しています。
外部会場が配信現場となる場合、当社では[専有回線]+[既存回線(既設回線)]の組み合わせで実施する場合が多くなります。この場合、専有回線を臨時回線として手配します。会場によって既存回線(既設回線)の状況に差異がありますので、事前にしっかり確認します。
自社会議室などからライブ配信をする場合、既存回線(既設回線)を利用することもあるでしょう。
既存回線(既設回線)を利用する場合、ライブ配信の本番時間に別の用途で大量のアップロードを行わないように、協力を求めると良いでしょう。
安定したインターネット回線準備は難しいが、ライブ配信のトラブルリスクは下げたいという場合には「疑似ライブ配信」という方法もあります。疑似ライブ配信検討時に知っておくべきポイント5つと、当社お客様の成功事例をまとめた資料を配布中です。下記よりダウンロードして活用ください。
新規にインターネット回線を準備する場合は、NTT(日本電信電話株式会社)など回線事業者に依頼をすることになります。調査や現地での下見、工事などを経て敷設が完了するまでに1か月程度期間が必要です。
ライブ配信の現場対応を外部に委託する場合は、回線手配から依頼することができます。「どの程度の安定性を確保すべきイベントなのか」「ライブ配信本番までの期間」「予算」などをもとに、インターネット回線を決定し準備していきます。当社でも、回線手配を含めたライブ配信の現場対応をお受けしています。
ライブ配信用インターネット回線は、映像と音声をライブサーバーにアップロードするため、上りの速度確認が重要です。Webブラウザに「スピードテスト」と入力して検索すると、スピードテストサイトが表示されます。
同じスピードテストサイトでも計測ごとに結果に差が出ます。実際にライブ配信に利用するインターネット回線で3回以上計測し、必要な速度が定常的に出ているか確認します。回線速度の測定は本番日と同じ曜日・時間帯で計測するのが望ましいといえます。
インターネット回線をWi-Fi化している場合は、Wi-Fiルーターからの距離が遠かったり障害物があったりすると電波が届きづらくなりますので、実際に使用する位置でテストをしましょう。
ライブ配信の準備において、インターネット回線の上り(アップロード)の速度が充分出ることを確認することは重要です。回線速度がギリギリでは万が一速度が低下した際に配信トラブルになってしまいます。
最低限必要な速度の目安は、配信帯域の2倍(2.5Mbps配信の場合5Mbps)です。2倍必要なのは、エンコード時の帯域の上ブレ(VBR(可変ビットレート)等)を考慮してです。
より安定性を考えた場合の推奨帯域としては「エンコード時の帯域の上ブレ」「ベストエフォート型回線の帯域変動」「当社経験値に基づく余裕分」を加味して、下記速度が安定して出ていることをおすすめします。
ライブ配信現場側の2つ目の用途「視聴確認や管理画面操作」のためのインターネット回線は、上記で準備した回線を利用できます。これは下りの通信なので上りの通信速度には影響しません。
速度に加え、目的のサーバーまでの経路にボトルネックがないかを応答速度で測る「Ping値」も重要です。Ping値は数値が小さいほうが良い通信環境といえます。ライブ配信の場合おおよそ50ms以内が理想値です。それ以上の値になるとパケットロスでサーバーエラーを引き起こすなどの問題が生じるリスクが上がります。
インターネット回線速度の確認ツールでPing値も同時に測定できるものがあります。Webブラウザに「Ping値 計測」と入力して検索すると、スピードテストサイトが表示されます。検索結果の「Ping」や「ピン」「レイテンシ」などと表示された部分の数値を確認してください。
回線速度に加え必要なのが、ライブ配信のための通信ができる状態であるかの確認です。
例えば当社には、ライブ配信機能付きの動画配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia」があります。 Equipmediaを使ってライブ配信をする場合、映像と音声をライブサーバーにアップロードする際RTMPプロトコルを使用します。プロトコルとは、通信機器同士がデータ送受信をする際、スムーズに通信できるための約束事のことです。そのため、ライブ配信用インターネット回線に対してRTMP(1935ポート)の通信許可が必要となります。
こういった、ライブ配信に必要な通信ができる回線状態かどうかは、施設担当者や情報システムの担当部署に確認をしてください。
テレワークが浸透し、自宅でライブ配信を行いたいといった場合もあるでしょう。自宅でライブ配信を実施する場合は、既存回線(既設回線)を使う場合が多いと思います。速度確認をする際に「できるだけ本番と同じ場所と時間帯で計測」「複数回計測」するようにしましょう。
本番と同じ時間帯で計測する理由は、本番配信時間に安定した速度が出ることを確認するためです。例えば、一般的に集合住宅のインターネット回線は共用回線です。住人のライフスタイルにもよりますが夜に混雑しがちです。戸建ての場合でも、回線以外の理由でインターネット速度が遅い場合もありますので、本番配信時と条件をできるだけ揃えての速度チェックは重要です。
視聴者側は聴者に用いる端末とインターネット回線が、ライブ視聴できる環境であることを事前に確認しておくことを推奨します。
下記は、J-Stream Equipmedia動画再生プレイヤーでの動画視聴確認用に当社が用意しているWebページです。
ページに記載の「確認方法」に沿って進めていくと「動画視聴の確認結果」が表示されます。〇×で結果が分かりやすく表示され、視聴に問題がある場合は原因や解決方法を確認できます。
事前にライブ配信の視聴者に向けてこういった確認ページURLを送付し視聴確認を済ませておけば、本番での視聴機会損失を低減させることができます。
以上、ライブ配信実施をご検討中の企業様に向けて、インターネット回線の分類による安定性の違いや回線速度の目安、準備のポイントや注意点を解説しました。
当社調査で、ライブ配信時の配信トラブルの発生は、マイナス影響を与えるとの結果が出ています。安定性のある配信環境を整えて、ライブ配信に臨んでください。
当社はライブ配信実施にまつわるお役立ち情報の提供に加え、お客様自身の操作だけでいつでもライブ配信が可能な「J-Stream Equipmedia」を提供しております。企業の動画活用に必要なあらゆる機能を装備しながら、5万円から始められる動画配信プラットフォームです。30日間無料でお試しいただけますのでご興味のある方はお問合せください。
ただし、重要度の高いイベントや視聴者規模の大きいものは、自社スタッフで対応するには難しい場合もあります。そういった場合は、外部(専門スタッフ)に委託してオンラインイベントを開催することもご検討ください。
当社は、ライブ案件の対応実績豊富なプロフェッショナルスタッフが対応する「ライブ配信サービス(ライブ配信代行)」を提供しています。
経験豊富なライブ配信スタッフがお客様毎に専任でサポートいたします。案件ごとにチームを組み、それぞれの役割を持ったスタッフが、常に情報を連携し、確実な配信の実現に向けて対応、企画・ライブ中継現場の対応から最新テクノロジーのご提案まで、トータルサポートいたします。
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