2024.02.22
動画配信
インターネット経由での動画ストリーミング配信において欠かせない技術となっているのがHLSです。ライブ配信やオンデマンド配信を実施する上でHLSは押さえておきたい知識の一つだといえますが、理解が難しい面もあります。そこでこの記事では、動画ストリーミング配信初心者の方でも分かるように、HLSに関する概要や仕組み、HLSが有効なケースなどを解説します。
お役立ち資料 【動画配信スターターガイド ~対象者を限定した配信向け~】
《 目次 》
HLS(HTTP Live Streaming)は、Apple社が開発した動画の「ストリーミング配信」のための規格です。
ストリーミング配信とは、インターネットを介した動画配信や音楽配信に用いられるインターネット技術に関する用語です。動画ファイルなどのデータを受信した分から再生していき、「再生開始が早い」「端末にデータが残らない」といった特徴があります。詳細については以下の記事にて解説していますので、併せてご覧ください。
HLSはApple社が開発した技術ではありますが、HTTPと呼ばれるWebにおいて一般的な技術で実現されているため、特別なソフトウェアなどがなくとも、一般的なWebを閲覧できる環境であれば動画を視聴できます。また、ライブ配信にもオンデマンド配信にも対応しているため、幅広い用途で利用可能です。
HLSでは、配信する動画を数秒単位程度で細切れにした「セグメントファイル」と、各セグメントファイルの再生順序や再生時間などを定義した「インデックスファイル」により動画配信を実現しています。
再生側では、初めに取得したインデックスファイルを基に、段階的にセグメントファイルを受信し、再生を行っていきます。これにより、すべてのファイルをダウンロードせずとも、ダウンロードしたファイルから順に再生できます。また、受信側の端末の容量が少なくても再生可能になるメリットもあります。加えて、HLSは端末に動画ファイルが残らないため、セキュアな仕組みにもなっています。
HLSのもう一つの特徴は「アダプティブビットレート(Adaptive Bit Rate:ABR)」に対応できる点です。
ABRは視聴通信状況に合わせて動画の画質を自動的に切り替える仕組みのことです。
配信側からするとできるだけ高画質で配信したいと考えがちですが、それには高いビットレート(1秒間あたりのデータ量)が必要になります。しかし視聴者の回線速度や端末の性能によっては、高いビットレートでの配信はスムーズに再生できない原因となります。このような問題の解決に有効なのがABRです。
ABRについては以下の記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
なお、HLSはその仕組み上、遅延が発生しますが、近年では低遅延を実現するためのApple Low Latency HLSなどの技術も登場しており、実利用もはじまっています。
HLSはどのようなケースで活用できるのか、具体例を紹介します。
基本的に、一般的な動画配信であればHLSがベターな選択肢となります。
HLSは幅広く利用されている方式であり、具体的には以下のような活用例が考えられます。
数十名〜数万名規模への配信も可能であり、大規模なオンラインイベントでの利用にも適しています。ユースケースとしては以下のとおりです。
HLSは、一定期間内に受講させるeラーニングやイベントの見逃し配信などのオンデマンド配信を行う場合にも有効です。ユースケースとしては以下のとおりです。
映像・音声を用いたリアルタイムな会話など双方向性が求められる動画配信は、HLSには適していません。そのような用途であれば、Web会議ツールなどで用いられているWebRTCなどの技術を利用する方が適しているでしょう。
HLSにより動画配信を実施する方法は、大きく以下の2つが挙げられます。
「AWS Elemental MediaLive」や「Azure Media Services」など、各クラウドサービス事業者が動画配信に活用できるSaaSを提供しています。
これらのクラウドサービスを利用することで動画配信を実現できますが、動画配信に必須ともいえる視聴ログの収集や視聴者の分析などを行うためには、個別にスクラッチ開発が必要となります。
これらの構築にはコストや時間が必要となり、保守も自分たちで実施する必要があるため、ハードルが高い方法だといえるでしょう。
クラウドサービスを利用せずとも、動画配信プラットフォームを利用することで、環境構築などの手間なく手軽にHLSによる動画配信を実現できます。
動画配信プラットフォームには、視聴解析の機能やプレイヤー機能、Webサイトに埋め込むためのプレイヤータグ発行機能、動画を管理する機能など、動画配信に関するいろいろな機能が備わっています。
セキュリティ面についてもあらかじめ環境が整っているというメリットもあります。そのため、機密情報を発信する社内向けのコンテンツ配信にも適しているといえるでしょう。
また、上述したABR(アダプティブビットレートストリーミング)が実現しやすい点も大きな特徴です。サービスによっては、アップロードした動画ファイルを自動的に複数のビットレートに変換してくれる機能が備わっており、HLSの仕組みによって自動的に視聴者の環境に合わせた画質で動画をストリーミングできます。
動画配信プラットフォームの詳細については、以下の記事もご参照ください。
この記事では、動画ストリーミング配信で欠かせないHLSについて解説しました。HLSは企業がさまざまな場面で動画配信を行う際に活用できる技術です。
記事の中で紹介したとおり、HLSを簡単かつ手軽に利用するには、動画配信プラットフォームの活用が有効です。これから動画配信の実施を検討されている方は、動画配信プラットフォームの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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