2021.08.25
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動画配信 基礎知識
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ビットレート(bitrate)とは1秒間あたりのデータ量のことです。動画の画質は「解像度」「フレームレート」「ビットレート」「コーデック」といった要素で決まります。ビットレートは動画の画質に関わる大切な要素といえます。そこで今回は、インターネット動画配信に必要なビットレートの基礎知識について解説します。
1秒間あたりのデータ量のことを指してビットレートと呼びます。単位にはbpsを使います。これはBit Per Secondの略です。例えば500kbpsと表記されている場合、kは1,000ですので「1秒間に500,000ビット(bit)のデータ量」ということになります。
動画のビットレートには「映像ビットレート」「音声ビットレート」の2種類があります。「映像ビットレート」「音声ビットレート」を合算した値が動画ファイルの総ビットレート(オーバルビットレート)となります。
音声ビットレートとは、動画ファイル内の音声に関するビットレートです。一般的には音声ビットレートは映像ビットレートに比べると値が小さくなります。
音声ビットレートの目安は下記です。
コーデックとは映像や音声データをエンコード(符号化)/デコード(復号化)するプログラムのことです。非可逆コーデックとは、影響のない範囲でデータを間引き、軽量化させるコーデックのことです。コーデックについて詳しく知りたい方は下記を参考にして下ください。
映像ビットレートとは動画ファイル内の映像に関するビットレートです。一般的には音声ビットレートよりも映像ビットレートの方が値は大きくなります。解像度の大小や、動きが多い/少ないといった映像の内容によっても適切な映像ビットレートは異なります。
映像ビットレートの目安は『3.ビットレートの目安』で解説しますが、500kps~70Mbpsと配信したい画質によって値に幅があります。音声の目安は「96kbps~128kbps程度」ですので、映像ビットレートが動画ファイル全体のビットレートの多くを占めることになります。
映像ビットレートは数値を大きくすれば画質が良くなるといえますが、一概に「高ければよい」という分けではありません。小さな解像度で見せる場合は、ビットレートを低くしてもあまり粗さが目立ちません。むしろ、高いビットレートでエンコードしても画質の差を実感できず、ファイル容量が大きくなるだけということも多いです。
以降は、映像ビットレートに絞って解説していきます。
冒頭で、動画の画質は「解像度」「フレームレート」「ビットレート」「コーデック」といった要素で決まる、と書きました。この中で特に、「解像度」「フレームレート」「ビットレート」は相互関係が強いといえます。
動画の解像度とは画素のことです。縦×横のピクセル数で表示されます。1280×720pxなどと表記され、数値が大きいほど解像度は高くなります。想定する視聴環境に合わせて選択します。大きくするほど高いビットレートが必要になります。解像度について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
フレームレートとは、1秒間に何枚のフレーム(静止画像、コマ)を表示するかを表す単位です。単位にはfps(フレーム・パー・セカンド)が使われ、30fpsだと1秒間に30枚のフレームを表示するという意味です。
インターネット動画配信では一般的に30fpsが選択されます。講演会、セミナーといった動きの少ない動画の場合は15fpsでも問題ない場合もあります。フレームレートについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
画質の高い動画にするためには、「解像度」が高いほど「映像ビットレート」も高くする必要があります。また、フレームレートは数値が高ければ動画の動きはより滑らかになりますが、そのままでは1フレーム当たりに割り当てられるデータ量の割合が小さくなるため、ビットレートを更に高く設定する必要があります。
「動きの多い・少ない」映像素材かによって同ビットレートでも画質の違いが生じます。そのため映像素材にあわせてビットレートを決定する必要があります。
以下に、ネット配信の際によく使われている映像の解像度と適性ビットレートの目安を列記します。
解像度 | 動きの少ない映像 | 動きの多い映像 |
SD(720×480px) | 500kps~1Mbps | 1Mbps~2Mbps |
HD(1280×720px) | 2.4Mbps~4.5Mbps | 4.5Mbps~9Mbps |
フルHD(1920×1080px) | 4.5Mbps~9Mbps | 9Mbps~18Mbps |
4K(4096×2160px) | 25Mbps~35Mbps | 35Mbps~70Mbps |
30fps想定での数値、2021年6月時点での当社見解によるとりまとめです。
適性ビットレートは映像内容によって多少前後することがあります。
動画配信を行う際「できるだけ画質を高く(ビットレートを高く)」と思うかもしれませんが、デメリットも理解し適切な画質で配信することをお勧めします。
高い映像ビットレートに設定することで「映像内容をより鮮明に配信できる」「動きの速い映像でもカクツキ(ブロックノイズ)を発生させず配信できる」といったメリットを得られます。また、60fpsなどフレームレート(フレーム数)を多くし滑らかな映像を配信するといったことも可能になります。
ビットレートが高くなるのと比例して、動画ファイルの容量も上がります。動画ファイルが大きくなると、動画をインターネットで配信する際、視聴者のインターネット環境によっては再生がスムーズにいかない場合が発生しやすくなります。また、視聴時のインターネット通信量も多くなります。
配信者側でも、配信サーバーのストレージ容量や配信時のデータ流量などに影響します。ストレージ容量、動画流量(データ転送量)について詳しく知りたい方は下記を参考になさってください。
以上、動画配信に必要なビットレートの基礎知識について解説しました。
動画の適切ビットレートは、映像の内容によります。講演会、セミナーといった動きの少ない映像であれば、SD(720×480px)やHD(1280×720px)といった解像度とそれ程高くない映像ビットレートで設定しても視聴に充分な場合も多いといえます。
また、視聴者視点で考えれば、あらかじめ複数の画質の動画ファイルを用意しておき
といった配信の方が、視聴利便性が高いといえるでしょう。
動画配信には、動画配信プラットフォームを使うのが主流になっています。動画配信プラットフォームの多くは、デバイスや帯域にあわせて動画を複数の形式に自動的にトランスコードする機能(エンコード済みの動画ファイルを元のデータに戻さず別の形式に再エンコードする機能)を標準搭載しています。
当社の動画配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia」でも、1つの動画をアップするだけで、自動的にパソコン、スマートフォン、タブレット向けの動画配信ファイルを生成します。しかも1つの貼り付けタグで対応できるので、デバイス毎に動画を個別運用する手間を省くことができます。
またオンデマンド配信では「デバイス別画質設定」と「デバイス別デフォルト画質指定」を活用いただくことで「視聴者に、PCでの視聴時は極力高画質な状態で視聴させつつ、スマートフォンからの視聴時には過度な通信量の発生を抑える」といった、視聴者の満足度向上が図れます。
その他にもEquipmediaでは
なども備えており、Web管理画面上で管理・運用を一元化できます。
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