学会からの情報提供、今後求められるもの
~若手医師の学会所属等に関する意識調査より~

2024.02.14

医薬・医療業界向け

学会

調査レポート

学会からの情報提供、今後求められるもの ~若手医師の学会所属等に関する意識調査より~のイメージ

学会内で広報・PR業務に携わる方や情報発信にお悩みの方の一助となるべく、「若手医師の学会所属等に関する意識調査」を実施しました。本記事では調査の一部をご紹介します。

  • 調査実施時期:2023年10月
  • 調査対象者:卒後3~10年目の医師(2014年卒~2021年卒)
  • 有効回答者数:538名
  • 調査方法:オンライン上のアンケート

1. 調査実施の背景

2018年4月より新専門医制度が導入され、厚労省による専門医の定義の他、中立的な第三者機関(日本専門医機構)によって専門医の認定と養成プログラムの評価・認定が統一的に行われることとなりました。
制度の運用開始から数年が経ち、2022年4月からはサブスペシャルティ領域専門医制度の認定が開始されました。今後も個々の専門性やキャリアに応じた制度設計が進んでいくことが想定されています。

各学会においては、所属医師の確保・支援をしていくことが求められます。本調査は、学会内で広報・PR業務に携わる方や情報発信にお悩みの方の一助となるべく実施したものです。

2. 所属学会の数:平均して2~3学会に所属

卒後3~10年目の医師(2014年卒~2021年卒)において、ほとんどの医師は学会に既に所属しています。所属する学会数は3学会(28.3%)と2学会(26.4%)で過半数を占めていました。

Q.あなたが所属する学会の数についてあてはまるものをお選びください。

1学会17.7%、2学会26.4%、3学会28.3%、4学会11.2%、5学会8.2%、6学会以上6.5%、学会には所属していない1.9%、n=538

さらに研修履修状況別の所属学会数を見ると、サブスぺシャルティ領域を含む専門研修を受けている層では3学会に所属している医師が3割以上と、基本領域のみの研修をしている層より多い傾向があることがわかりました。

研修履修状況:専門研修中(サブスペシャリティ領域)n=123・1学会4.1%・2学会22.8%・3学会34.1%、n=51・1学会11.8%・2学会27.5%・3学会37.3%、

このように、平均的に2~3つの学会に所属している若手医師ですが、どういったタイミングで学会に入会するのでしょうか?

3. 学会の入会タイミング:多くは初期研修~専門研修中に入会

最初に入会した学会は初期研修中までに約半数が入会していることが分かりました。2~3番目に入会した学会は、専門研修中に入会しているケースが多い結果となりました。初期・専門研修の前後の入会割合は低い結果でした。

Q.あなたが所属している学会について、入会したタイミングをお選びください。(回答はひとつだけ)

最初に入会した学会n=528・学生時代2.1%・初期(前期)研修中48.7%・専門(後期)研修中47.9%・それ以降1.3%、2番目に入会した学会n=433・学生時代0.5%・初期(前期)研修中27.3%・専門(後期)研修中65.6%・それ以降6.7%、3番目に入会した学会n=291・学生時代0.7%・初期(前期)研修中19.2%・専門(後期)研修中67.0%・それ以降13.1%

4. 学会の入会理由:専門医・認定医の取得が最大の動機

所属学会のうち、1~3番めに入会した学会について入会した理由を聞きました。
学会の入会理由は「専門医・認定医の取得(更新)をするため」が、1~3番目に入会した学会すべてにおいて圧倒的に多い結果となりました。
「学術集会等での学会発表を行うため」「医局や指導医、同僚に勧められたため」といった理由は、入会学会が増えるにつれて割合が増加していました。

Q.あなたが所属している学会のうち、1~3番めに入会した学会について、入会した理由をお選びください。

最初に入会した学会(複数回答可):n=528・専門医・認定医の取得(更新)をするため90.9%・学術集会等での学会発表を行うため20.8%・医局や指導医、同僚に勧められたため16.1%・専門医・認定医以外の資格を取得(更新)するため9.7%・学術論文の投稿を行うため5.9%・診療上必要な情報(ガイドライン等)や最新情報を得るため5.9%・研究者等とのネットワーキングのため1.9%・研究助成等の支援を受けるため0.4%・その他0.0%
2番目に入会した学会(複数回答可):n=433・専門医・認定医の取得(更新)をするため73.9%・学術集会等での学会発表を行うため30.7%・医局や指導医、同僚に勧められたため14.8%・専門医・認定医以外の資格を取得(更新)するため11.8%・学術論文の投稿を行うため7.6%・診療上必要な情報(ガイドライン等)や最新情報を得るため6.9%・研究者等とのネットワーキングのため1.8%・研究助成等の支援を受けるため0.7%・その他0.0%
3番目に入会した学会(複数回答可):n=291・専門医・認定医の取得(更新)をするため59.8%・学術集会等での学会発表を行うため33.7%・医局や指導医、同僚に勧められたため19.2%・専門医・認定医以外の資格を取得(更新)するため11.7%・学術論文の投稿を行うため9.3%・診療上必要な情報(ガイドライン等)や最新情報を得るため10.0%・研究者等とのネットワーキングのため1.7%・研究助成等の支援を受けるため0.7%・その他0.3%

5. 学会の活用状況:「学術集会」「専門医に関する情報」「各種セミナー、講演」の順で活用

普段活用している学会の提供機会・情報について聞きました。
学会の活用状況については、「学術集会」「専門医に関する情報」「各種セミナー、講演」の順で活用されている割合が高い結果となりました。

Q.あなたが普段活用している学会の提供機会・情報をお選びください。(回答はいくつでも)

学術集会79.9%・専門医取得・更新に関する情報53.0%・各種セミナー、講演50.0%・学会誌、会報、ガイドライン等の出版物48.7%・eラーニング等の研修43.9%・症例等のデータ10.6%・診療報酬や制度等に関する最新情報・動向8.4%・研究助成等の支援1.5%・その他0.0%・特に活用しているものはない4.6%・n=538

こうした情報発信のうち「専門医の取得・更新に関する情報が特に役に立っている」という傾向が、次の質問から分かりました。

6. 学会情報発信の有用度:約7割が「専門医の取得・更新に関する情報が役立っている」

学会の情報発信については、内容別に有用度を聞きました。
役立っていると回答した割合は、「専門医取得・更新」が7割弱、「専門医以外の資格取得・更新」が5割強、「症例・処置等」が6割強という結果になりました。

「専門医取得・更新」に関する情報を「見たことがない」という回答は1%未満、と発信される情報への関心が高い結果でした。

Q.あなたが所属している学会のウェブ上の情報発信がどの程度役立っているかについてお選びください。(回答はひとつだけ)

学会のウェブ上の情報発信の有用度
(専門医取得・更新に関する情報発信)

とても役に立っている25.4%・役に立っている46.8%・どちらでもない18.2%・あまり役に立っていない8.5%・全く役に立っていない0.8%・見たことがないのでわからない0.4%・n=528

学会のウェブ上の情報発信の有用度
(専門医以外の資格取得・更新に関する情報発信)

とても役に立っている13.6%・役に立っている38.6%・どちらでもない26.7%・あまり役に立っていない16.9%・全く役に立っていない2.1%・見たことがないのでわからない2.1%・n=528

学会のウェブ上の情報発信の有用度
(症例・処置等に関する情報発信)

とても役に立っている13.1%・役に立っている47.7%・どちらでもない24.6%・あまり役に立っていない10.6%・全く役に立っていない2.1%・見たことがないのでわからない1.9%・n=528

7. まとめ:学会からの情報提供、今後求められるもの 

1人の若手医師が学会に入会するまでには、多くのステップが存在します。

  • 医師を志し医学部へ入学する
  • 自身の関心や適性等をもとに専門となる診療領域を選ぶ
  • 専門領域に適した専門医、認定医を取得する

こうしたステップを経るなかで、多くは初期研修~専門研修中に学会への入会という選択がなされていきます。

医師のステップ図/Step1:医学部志望者の確保拡充:医療に興味を持ち意思を志す学生の確保・拡充、Step2:診療科の魅力アピール:医学生の講義・実習等を含めた早期の診療科やロールモデルのアピール、Step3:専門医取得支援:研修医後半以降診療科が定まった若手医師への専門医取得支援、Step4:キャリアアップ支援:専門医にとどまらず研究等を含めた長期のキャリアアップ支援

2018年度以降の新専門医制度が適用されている若手医師においては、以前に増して、専門医の取得条件が学会の情報発信としても関心の高いコンテンツとなっています。

学会の情報提供の満足度は現時点でも比較的高いものの、各ステップにおいて適切な情報発信を学会が実施していくことで、各診療領域の持つ魅力やロールモデル、専門医や認定医等を取得しながらキャリアアップしていくメリットを医師に訴求でき、学会員の確保や満足度の向上が望めると考えられます。

当社はこれまでに多くの企業・団体における動画を活用した情報発信のサポートをしてまいりました。
情報発信において課題を感じている方など、学会員の満足度を向上させたいとお考えの場合はぜひ当社までご相談ください。これまで培ったノウハウをもとにお客さまにあった最適な内容をご提案いたします。

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下記よりダウンロードいただける調査レポート(サマリー資料)には、紹介した内容以外にも調査項目や詳細な集計結果が掲載されています。ぜひレポートをダウンロードして活用ください。

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Jストリーム学会関連事例のご紹介

最後に、当社の学会関連のお客様事例の一部をご紹介させていただきます。

公益社団法人日本皮膚科学会 様(代理店:株式会社コムエンス 様)

学会開催のオンライン参加用Webサイトに「Webinar Stream」を採用、会員認証・講演視聴・単位認定用のログ取得等の制作を短期で実現

事例/公益社団法人日本皮膚科学会 様(代理店:株式会社コムエンス 様)のイメージ

一般社団法人日本心血管インターベンション治療学会 様

「医師の働き方改革」に関するハイブリッド配信でのメディア発表会兼セミナー、
目標値200%の広告換算費を達成

事例/一般社団法人日本心血管インターベンション治療学会 様のイメージ

ISPSD2021 委員会 様

パワー半導体デバイスに関する国際シンポジウム「ISPSD2021」で、国内外からの登壇者と参加者を対象に5日間に渡りオンライン学会を開催

事例/ISPSD2021 委員会 様のイメージ

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