2025.05.13
百聞は一見にしかずと言われるように、説明を聞く、読むよりもやり方を見た方がよくわかる、という体験は誰でもあるでしょう。企業においても社員向けになんらかの研修を行う際、受講者により伝わりやすい方法として動画を使うことが増えています。
Jストリームで以前実施した「社内向け動画コンテンツの企画に関する調査」では、「各社内コミュニケーションの『動画』での実施率」を調査しました。その結果、「会社の方針や決算」「拠点間の情報共有」「商品の情報」など複数の選択項目がある中で、「社内研修」は2番目に実施率が高いという結果が出ました。
いま社内研修での動画活用は確実に増えてきています。その理由は何なのか、さらにどのように活用すれば、もっと社員に活用される研修動画が提供できるのか。今回は社内研修で動画を使うメリットや活用法を考えてみましょう。
《 目次 》
研修において動画が活用される用途としては、「社員向けの自社製品説明」「学習障害を持つ人との対応、知識の研修」「ドライブレコーダーの映像を使用したヒヤリハット事例」「業務の進め方」など多岐に渡ります。
人気のある動画の内容をみてみると、自社製品の特徴が分かりやすく説明されていること、新入社員のときに覚えるべきことが新入社員の目線・気持ちで伝えられていること、さらに、業務内容に関するやり方や対応の仕方が具体的にわかり、不安解消につながる動画であることなどが挙げられます。
つまり、基本的なところに立ち返り繰り返し学習できることや、自分の業務に対して試行錯誤をしているときや不安を感じているときにテキストだけよりも具体的に理解できることが動画の活用につながっているのだと分析できます。
では、こうした要件を満たす社内研修での動画の活用方法とは具体的にどのようなものでしょうか。
社内研修に関係した動画の種類は大きく3つに分けられます。
例えば、新入社員に向けた研修の場合、大まかな内容は毎年同じことが多いです。こうした定例的な研修に動画は活用できます。講義型の研修を撮影しておけば研修の準備を毎年する必要がありません。また、何度かに分けて新入社員研修をする際も効率化が図れます。
業務手順や商品説明、接客の方法、クレーム対応の仕方、店舗の運営に関するものなど文章のマニュアルを動画にしたものです。
文章と図だけで説明しているマニュアルは、どうしても具体的な動きや状態が理解しにくいことがあります。動画であれば実際に動作や態度などを繰り返し確認することができるのでより具体的に理解が進みます。
社員の働いている様子や、トップの訓示、社員との関わり合いなどをひとつのストーリーとして動画で見せるものです。ストーリー性があるので、最後まで飽きることなく視聴でき、引き込まれやすいので視聴者の印象に残りやすいといえます。この形式の動画は社員のロイヤリティ向上に効果的だと考えられています。
次に研修で動画を活用することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。動画を発信する側、視聴する側双方の代表的なメリットを見ていきましょう。
実際に会場などを用意して行う研修の場合、会場を手配して、会場まで講師に来てもらう必要があります。講師の日程調整や交通の手配など、準備をする側にとって時間と経費がかかります。
一方、研修用の講義を動画にしておけば、会場の準備や当日の手配などは必要なくなるため、時間や経費の削減につながります。
動画は一度制作すれば何度でも繰り返し使用できるため、長期的に見れば研修ごとの費用を抑えることができます。動画制作には自社で行う場合も、専門企業に委託する場合も一定の費用が発生しますが、繰り返し使えることを考慮すれば、効率的な投資といえるでしょう。
動画の場合、受講者が会場に行く必要はありません。オフィスのパソコンから研修に参加することも可能です。また、動画なので、動画を再生できる環境であれば「いつでも」「どこでも」研修を受けることができます。さらに受講者にとっての大きなメリットが繰り返し視聴できるという点です。1度動画を見て理解できないところがあっても、理解できなかった箇所だけを重点的に繰り返して見直すといったことができるのです。これは理解度を高めるためにも効果的です。
同じ内容を伝える研修をA、Bという講師が行った場合、講師Aは講義内容がわかりやすく、受講者から「よくわかった。具体的で参考になった」といった感想が集まったにも関わらず、講師Bの講義は評判が良くなかったといったことが起こることがあります。このような場合でも動画を活用することで、講義内容が分かりやすく、受講者からも評判のよい講師を選び、講義を動画化しておくことで、研修の質を高く一定に保つことができます。
資料や参考書籍を活用した研修の場合、文章と図、講師の解説によって内容を理解することになります。動画での研修であれば、講師が受講者の目線に立って、実際にやってみせることができます。具体的に見て、聞いて、体験的に理解した内容は印象に残りやすいので、学習効果が高まることが期待できます。
社内研修で動画を利用する際は、以下の点に注意しましょう。
動画を自社で制作しても、あるいは制作会社に依頼する場合でも、多くの時間と費用がかかります。基本的には自社制作のほうがコストを抑えられますが、カメラやマイクなどの機材や動画編集ができるスペックのPCは用意しなくてはなりません。制作スタッフも配置しなければならないため、コストがかかるものであると想定しておくのが良いでしょう。
動画の内容やテロップに間違いがあった場合、編集ソフトで修正してから再びレンダリング(書き出し)を行う必要があります。文書ファイルのテキスト編集などに比べると手間がかかるため、内容の変更や修正が簡単にできないのがネックです。
動画の説明は理解しやすい反面、視聴するだけで受講者が満足してしまいがちです。受け身では学習の定着率が悪くなり、対面の研修よりも効果が落ちる可能性があります。一方通行の研修となってしまわないように、質疑応答や理解度テストなども実施するとよいでしょう。
研修動画内で企業独自のノウハウなどを扱う場合、情報漏洩のリスクがあります。特に社外で動画を視聴できるシステムでは、セキュアな環境で動画配信ができなくてはてはなりません。また、部外者の不正アクセスを防ぐために、視聴用のアカウントとパスワードの管理を徹底することも重要です。
社内研修動画は、受講者の都合が良いときに視聴できるメリットがありますが、学習の進度が想定通りに進められない視聴者も出てきます。受講の手順や期限を連絡したり、視聴完了の報告をさせたりするなど、受講状況の管理体制も整えることが必要です。
動画はPCだけでなくスマートフォンでも再生できますが、ストレスなく視聴するにはデバイスにある程度のスペックが求められます。また、一定水準以上の通信速度もスムーズな動画再生に不可欠です。就業環境で問題なく視聴できるか確認し、必要に応じて動画視聴用端末の支給やインターネット環境の改善を行いましょう。
動画研修は、従業員の理解度向上と学習効率を高める手段として、多様な場面で活用できます。特に商品やサービスの情報共有やビジネスマナー、コンプライアンスなど、文章だけでは伝わりにくい要素を分かりやすく説明できる点が魅力です。ここでは、代表的な活用例を5つご紹介します。
商品開発担当者が商品の特徴や開発にあたってのコンセプト、工夫点、あるいは全商品から改善された点などを動画にします。 資料やマニュアルだけでは伝わりにくい操作手順や活用例を具体的に示すことで、より受講者の理解を深めることができます。
ビジネスマナー研修では、正しい言葉遣いや立ち居振る舞いなど、実践的なシーンを動画で示すと効果的です。文字情報のみでは捉えづらい表情や声のトーンなどを視覚的に伝えることができます。
コンプライアンス研修では、法令や社内規定を守る重要性を伝えるための必須な研修です。動画を活用することで、文字だけでは伝えにくい微妙なニュアンスや、受け答えの仕方などをよりリアルに伝えることができます。
業務フロー研修を動画にすることで、実際の手順や操作画面を時系列に沿って分かりやすく解説できます。文章や静止画では把握しにくい細かな操作ポイントも視覚的に伝えることができるため、新人や異動直後の社員でもスムーズに業務を習得できます。
企業理念や社風、歴史などを紹介する自社理解研修においても、動画は有効な手段です。先輩社員のインタビューや社内行事の様子を映像で見せることで、受講者はテキストだけではイメージしづらい企業の雰囲気をつかみやすくなります。
社内研修で動画を活用するときは、以下のポイントを押さえるとさらに効果的です。
ポイント | 概要 | 注意点・コツ |
動画で伝えたいことの洗い出しと整理をする | 研修の目的や受講者のニーズを明確にし、伝えるべき内容を整理する | ・研修後の受講者の理想像を明確にする ・焦点がぼやけると動画の効果が薄れる |
文字ばかりの動画にならないようにする | テロップや説明文が多すぎると動画の意味が薄れる | ・文字情報は最小限に ・補足資料の併用も検討する |
見やすい画面づくりを心がける | 映像やエフェクトで注目を集めつつも、見やすさを優先する | ・エフェクトの多用はNG ・重要ポイントが埋もれないように工夫する |
研修動画に適した配信プラットフォームを利用する | 視聴管理やセキュリティに優れたプラットフォームの選定が重要 | ・視聴分析・効果測定ができるか ・セキュリティレベルが十分か ・YouTubeは情報漏洩リスクに注意 |
動画構成は研修カリキュラムに沿ったものにする必要がありますが、何を伝えたいのか事前に洗い出して整理しておくことが重要です。研修の目的や受講者のニーズを明確にし、対象者に適した情報を選定することが、効果的な動画制作につながります。コンテンツごとに「具体的にどのような知識やスキルを伝えたいのか」「受講者が研修後にどのような状態になるべきか」を明確にしておきましょう。このプロセスが曖昧だと、動画の焦点がぼやけ、受講者にとってわかりづらい動画となり、研修の効果が薄れてしまう可能性があります。
動画内に丁寧な説明を盛り込むことは大切ですが、注釈やテロップが多すぎるのも問題です。文字ばかりの動画では、文書で研修を行うのと大差がなくなってしまいます。どうしても説明が多くなりそうな場合には、補足資料を作成して配布するなど、動画以外の手法も検討したほうがよいでしょう。
インパクトのある映像や凝ったエフェクトは、重要な情報を強調し視聴者の注意を引くのに効果的です。しかし、多用すると見づらくなり、どこが重要なポイントなのか分からなくなります。エフェクトを使う場合は、意図を明確にしたうえで適切に活用することが重要です。視聴者にとってストレスのない、理解しやすい動画制作を心がけましょう。
動画の配信プラットフォームは多く存在しており、自社に適切なものを選ぶことができます。しかし、誤った選択をしてしまい、運用に苦労するケースも少なくありません。例えば、動画研修では受講状況の管理ができることが望ましいですが、この場合、視聴分析機能を備えたプラットフォームが向いています。
また、YouTubeでも研修動画の配信は可能ですが、限定公開に設定しても情報漏洩のリスクは避けられないため、配信できる内容に制限が出る場合があります。機密情報を扱うケースもある研修動画では、安全性を考慮してクローズド環境の配信システムを利用するのが一般的です。特にセキュリティ対策が強固で、効果測定の機能も付随しているなど使い勝手が良いものを選ぶとよいでしょう。
ここでは、動画研修の事例として、Jストリームのお客様を紹介します。
財務省税関研修所様は、税関行政に従事する新規採用職員向けの研修に、動画eラーニングサービス「J-Stream ミテシル」を採用し、体系立てられた研修動画配信と細やかな視聴状況の把握により、遠隔でありながらもしっかりとした研修環境を構築されています。
三和化学研究所様では、コロナ禍を経て、MR向けの研修を支店ごとの集合開催形式から動画共有形式へ移行し、さらに今回「動画ポータルサイト(EQポータル)」を導入され「いつでもどこでもセキュアに視聴可能」「個人別視聴ログの把握で実施状況を把握可能」な形式へ進化させました。セキュアかつ一元管理された共有環境により、MR向け研修以外の情報共有にも活用範囲が拡大、高い費用対効果を実感されています。
今回Jストリームの「Equipmedia 動画共有ライブラリ for Salesforce」導入でSalesforce上での動画配信を実現、スタッフ向け教育・研修や社内コミュニケーション用途の動画活用を強化されました。導入により「視聴利便性・運用利便性の向上」「動画視聴ログ活用による教育・研修フォローの最適化」などの成果を得られています。
「J-Stream ミテシル」を導入されていたnishikawa様は、更なる利用活用活性化のために、コンテンツを「EQポータル」を用いてノーコードで構築した「nishikawaポータルサイト」へと移行。販売スタッフ向けのスピーディーな販売知識・情報共有や、社内資格取得のための学習に活用されています。移行により、動画再生回数は約300%に増加。「nishikawaポータルサイト」は、接客品質の向上に欠かせない存在となっています。
人材育成は企業成長に欠かせず、動画研修は従来の「手間・コスト・効果」の課題を解消できます。内容と対象を明確にした動画を用意すれば、社員は必要なときに学べ、離職防止にもつながります。まずは研修の洗い出しと、セキュリティを考慮した配信ツールの選定を進めましょう。
Jストリームでは、社内利用に最適なセキュリティを高めた動画共有・配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia」(EQ)を提供しています。また、動画eラーニングシステム「J-Stream ミテシル」もございます。これまで多くの企業に採用されてきた実績、ノウハウもお伝えできますので、社内研修で動画の活用をご検討される場合はぜひお声がけください。
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