eラーニングは意味ない? 失敗の原因とデメリットを知り、社員教育・研修に活かすコツを紹介

2023.02.27

J-Stream ミテシル

動画eラーニング

社内教育・研修

eラーニングのイメージ

eラーニングとはパソコンやタブレットなどの情報機器を活用した学習方法の総称です。近年はインターネットを利用した学習をeラーニングと呼ぶ傾向もありますが、インターネット普及以前からDVDを使ったものなど情報端末を学習に利用しようという試みは行われていました。

コロナ禍で集合研修の開催が難しくなったこと、動画配信やオンライン会議のシステムが広く利用されるようになったことでインターネット利用型のeラーニングが急速に広まりました。一方でeラーニングについて否定的な声も少なくありません。eラーニングの課題を紹介するとともに、その改善策も解説していきます。

1. 動画活用が活発なeラーニング

動画を活用したeラーニングのイメージ

「eラーニング」と一括りにすると、単にオンラインでテキストの教材を見せるものまで含めてさまざまな種類がありますが、そのなかでも現在活発なのが、動画により分かりやすく学べる方式です。

eラーニングでの動画活用には大きく2つの配信方法があります。ひとつはオンデマンド配信、もうひとつはライブ配信です。

オンデマンド配信

オンデマンド配信は、あらかじめ収録、編集した動画をサーバーにアップロードしておき、利用者が都合のよいタイミングでアクセスして視聴する動画配信の方法です。
オンデマンド配信の動画は予め編集して完成させるので、言い間違いを訂正したり、不要な間を削除したり、板書の内容をわかりやすい図やアニメーションとして挿入するなどの工夫を凝らした動画を配信することができます。

ライブ配信

ライブ配信は今行われている研修をリアルタイムで配信します。受講場所はインターネット環境さえあれば自宅でも会社でも可能ですが、開催時間が決まっているので、それに合わせて時間を確保し参加する必要があります。

ライブ配信では、視聴者の反応によって講師の力の入れ方や説明の粒度・内容を変えることが可能です。理解が浅そうなポイントを繰り返し説明したり、別の事例で言い換えたりといった、リアルタイムならではの工夫を遠距離で体感できるのはライブ配信のメリットのひとつです。

また、チャットツールなどを利用して質問を投稿できるものもあります。投稿が多い場合必ず返答が得られるとは限りませんが、実際の講義に近い雰囲気で受講することができます。

旧来型の研修方法も含めてそれぞれメリット、デメリットがあります。
ここからは、受講者側の視聴利便性がライブ配信と比較しても高く、現在広く実施されているオンデマンド配信でのeラーニングに焦点をあてて長所、短所を掘り下げてゆきます。

2. eラーニングのメリット

自宅での学習イメージ

eラーニングを社員教育・研修に取り入れる企業が増えています。経営、教育担当視点でeラーニングのメリットを整理します。

研修スケジュールの調整が容易

集合研修では、参加者全員のスケジュールを合わせる必要があります。研修時間だけでなく、移動時間も考慮しなくてはならないケースもあります。参加者が不在の間には、残った社員の業務にも影響が出る可能性もあります。様々な影響度を勘案し早めに研修実施を周知、調整しなくてはなりません。
eラーニングではこれらの課題が低減されます。受講者は自分の業務の都合に合わせて効率的・効果的に学習することができます。

集合型のセミナーは、参加人数に制限がある場合があります。eラーニングの仕組みを導入したセミナーでは人数制限がないもの、大幅に緩和されたものが多く、予約の手間もかからず最新事情を学ぶことができます。

研修コストを大幅にダウンできる

全国の支店から対象者を集めるような大規模研修は多くの費用がかかります。会場費用、交通費、宿泊費など多額のコストがかかります。eラーニングももちろんコストはかかりますが、集合型に比べると大幅にダウンできる可能性があります。また作成した教材は繰り返し利用できます。

研修の質や受講機会の均質化が図れる

研修は社内の上位専門職の方や外部の講師が担当します。講師のほかにも研修をサポートするスタッフが必要なこともあります。開催場所や受講者のスキルも毎回同質とは限らず、研修の質を均一に保つことは簡単ではありません。また、社員教育の過程で必須と定められた研修でも、業務上の都合でなかなか参加できないケースもあります。
eラーニングでは同一の教材を受講者の都合に合わせて受講することが可能です。研修の質、教育の機会均質化が図れます。

「忙しくて研修に参加できない」「コストがネックになって有効な研修が実施できない」などのマイナス要因を解決してくれるeラーニングですが、不満の声も少なくありません。受講者、教育担当(講師)それぞれのeラーニングへの不満を確認していきましょう。

3. eラーニングは意味ない?|受講者の意見

eラーニングの受講社側意見のイメージ

一方通行の受講で質問ができない

eラーニングでは動画など作成済みの教材をパソコンやスマートフォンで視聴・受講するのが基本的です。自分の時間に合わせて受講できるのはメリットですが、講師とリアルタイムで質疑応答することはできません。
受講後のアンケートなどで質問を投稿できるものもありますが、リアルタイムの対話に比べて面倒なイメージが強くなりがちです。集合研修では他の受講者の質問が自分の理解に役立つケースもありますが、そのような効果も期待できません。

やり方だけ聞いても具体的なイメージがわかない

研修は知識の習得だけでなく、具体的なスキルの習得を目的とするものもあります。集合研修時に講師からやり方を教わり、その後に演習やロールプレイングなどを行っていたような研修は、動画を見ただけでは身につきにくい場合もあるでしょう。
OJT(On the Job Training/オンザジョブトレーニング)など、現場業務での指導とeラーニングをうまく組み合わせながら実施するなどの工夫が必要になります。

同期や他部署社員との交流機会がない

ふだん顔を合わせることのない他部署や勤務地が離れた社員同士の交流は、集合研修の副次的なメリットです。電話やメールでしかやりとりがなかった相手が、親睦会などで顔を合わせてコミュニケーションをとることで日常業務がより円滑になることも期待できます。
eラーニングそのものの問題ではありませんが、社員間の交流機会や一体感をどのように醸成していくかも検討すべき課題のひとつです。

オンデマンド配信の受講設備の用意が必要

eラーニングの受講にはパソコンやスマートフォンなどの情報端末と高速なインターネット回線が必要です。いつでもどこからでも受講できるのがeラーニングのメリットですが、それには「設備さえあれば」という条件を満たす必要があります。動画配信は通信量も多くなるので、従量制のプランだと通信費が気になります。

新型コロナウイルス感染症流行の影響で在宅でのテレワークが広まりました。テレワークに必要なパソコンや通信環境に個人として使っていた設備を流用している場合もあるかもしれませんが、業務に必要な費用は会社が負担するのが原則です。eラーニングも個人のスキルアップ目的でなく、会社の指示による受講なら業務扱いなので業務時間内に行わねばなりません。

聴いている(見ている)だけなので身が入らない

集合研修では居眠りや研修に無関係な業務(メールチェックなど)を行っていれば、当然注意されます。繰り返し注意を受けるようなら人事評価にも影響するかもしれません。
また周囲が研修に集中していると自然とその雰囲気に飲まれて自身も集中しやすくなります。その点eラーニングは基本的に個人で取り組むので、緊張感を得にくいという弱みがあります。

淡々と講師の授業風景を流すだけではないメリハリのある授業構成や、受講後の理解度テスト実施など受講に真剣にならざるをえない仕組みが求められます。

4. eラーニングは意味ない?|講師、教育担当者の意見

eラーニングの講師側意見のイメージ

受講者の顔が見えず講義の進行が難しい

対面型研修では、受講者の様子を伺うことで理解度や集中力を把握することができました。理解度が低いと感じたら、繰り返し説明をしたり別の事例を紹介したりすることで知識の補強ができます。集中力が落ちてきたと感じれば、その場で全員で深呼吸をするなどの工夫もできます。

あらかじめ講義内容を準備するeラーニングではこのような臨機応変な対応ができません。これまでの経験で多くの受講者が悩むところ、集中力が落ちるところなどを事前に予測した上で講義の進行を考え直さねばなりません。

オンデマンド配信に合わせた教材づくりが大変

集合研修と同じ内容を動画にしただけでは、全体として単調なものになりがちです。重要ポイントでは別の実践動画やプレゼンテーションソフトのアニメーション機能の利用など、よりわかりやすく、集中力が途切れにくい内容の動画作りが求められます。
しかし、動画コンテンツの作成や編集は本来の講師の役割とはかけ離れたものです。どこまでのクオリティをゴールとするかは検討が必要です。高いクオリティが必要な場合は、外部に委託して教材作成をサポートしてもらうことを選択する方法もあります。

eラーニングを受けた社員の理解度がわからない

対面の研修ならば、理解度をチェックするための小テストを即時的に行うこともできます。また研修終了後の表情から満足度を推測することもできますし、質疑応答の時間を設けることでも理解度を測ることができます。

eラーニングの研修はあらかじめ収録された動画を視聴することで行われるので、これまでのような方法では受講者の理解度を把握することができません。多くの受講者が悩んだポイントを次回の研修ではこのように工夫してみようといったフィードバックが発生しないので、講義内容をどのように改善したらよいのかの手がかりを得ることもできません。

動画配信のためのインフラ整備だけでなく、講義内容への質問やアンケートを取得する仕組み、理解度確認のテストなどを合わせて整備することがeラーニングの質を高めるには不可欠です。

社員個々の育成度合いの把握が難しい

あらかじめ参加者を決めて行う集合研修と違い、eラーニングでは動画視聴時間が受講者の裁量に任されてしまうので、誰がどこまで研修を終了しているのかの把握が難しくなります。
いつでもどこでも受講できる点はeラーニングの大きなメリットですが、完全に受講者任せにするのではなく、進捗や理解度は社内の教育担当部門で把握しておく必要があります。そうしないと、研修はどんどん進んでいるけれど理解度の低い社員、まったく研修を受講していない社員など極端な事例が起こる可能性もあります。結果的に社内人材のレベルがバラバラになり、異動や昇給、昇格が適切に行われなくなってしまいます。

eラーニングの便利な点を活かしながら、どのように進捗を管理していくかも同時に取り組むべき課題です。

5. eラーニングを効果的に利用するためのポイント

eラーニングを効果的に利用するためのポイントのイメージ

外部委託、内製化を使い分ける

eラーニングのメリットのひとつにコスト削減があります。しかし、その成果はすぐには得られません。その理由としてeラーニングの導入にはある程度の費用が必要だからです。

第一に必要な費用は教材を用意する費用です。社内で実施している研修のすべてを同時にeラーニングに置き換える必要はありません。受講者の多いもの、優先度の高いものから徐々に置き換えてゆきます。そしてそれらの教材を外部から調達するか、内製化するかに仕分けし、導入計画を検討します。

一般的なビジネスマナーやコンプライアンスに関するもの、業界に関する法律や契約に関する知識などは、eラーニングを支援する企業が既に、汎用的な教材として持っています。
一方社内ツールの使い方や自社製品やサービスについての知識は、内製化しなくてはなりません。ただ内製化といっても動画編集や教材作成まで社内で実施するが困難な場合もあるでしょう。どのような研修が必要なのかを整理して、場合によっては実際のコンテンツ制作は専門業者と相談しながら検討することもおすすめします。

またeラーニング自体を実施するシステムが必要です。社外のクラウドサーバーを利用するか、社内のイントラネット上に用意するかの選択になります。運用規模にもよるので、いくつかのシステム提供会社のプランを比較してみましょう。

このようにeラーニング実施には初期投資が必要です。将来的な教育プランも想定しつつ、内製化や外部委託を吟味しましょう。

短時間で学習できる講座を用意する

集合研修ではホテルの会議室をレンタルし、2泊3日のような時間をかける研修も行われます。しかし、このような内容をそのまま動画配信してもほとんどの方が受講を見送ることでしょう。

いつでもどこでも受講できるeラーニングは、業務の隙間時間の活用にも向いています。また、人の集中力には限界があります。また社内で受講している場合、急な案件に対応しなくてはならないこともあります。
これらのことを勘案すると1講座の視聴に必要な時間はあまり長くない方がよいでしょう。会社の業務体制やeラーニングに取り組む時間の確保のしやすさなどは各々異なります。自社の環境に合わせた講座を用意するようにしましょう。

最近では10分程度のマイクロラーニング(Microlearning)という短時間の講座を積み上げる学習法も活用されています。

集合研修と組み合わせて効果アップ

eラーニングへの不満点で例示したような実技や演習、グループワークが必要な研修、普段顔を合わせない他部署との交流などの課題を考えると、集合研修を全くなくしてしまうことは困難でしょう。
しかし、集合研修の内容のうち個人学習でも問題のない部分はeラーニングに置き換えられるかもしれません。いつでもどこでも可能なeラーニングのメリットを活かして、集合研修の予習、復習に活用することで相乗効果も期待できます。

また事前のeラーニングでの予習を義務付けることにより、2泊3日だった集合研修を1泊2日に短縮できるかもしれません。わかりづらかった演習の再学習やディスカッションの時間を多く取ることでより理解度が深まる可能性もあります。
何もかもeラーニングに置き換えるのでなく、長所を組み合わせることでよりよい研修を行うことができることでしょう。

統合的な学習環境を整備する

集合研修オンリーだったころの社員の研修管理とeラーニング導入後の研修管理は同じようにはできません。教育担当者が未受講者をピックアップして、受講を促す集合研修時代と受講者自らが時間と講座を選ぶeラーニングでは進捗管理のスタイルが全く異なります。
またeラーニングを成功に導くには、飽きずに視聴できるコンテンツを充実させることも大切です。加えて、受講実績や受講後のテスト実施を把握する統合的な学習環境の整備も必須です。

6. 学習進度の把握やフォローの重要性

学習進度の把握やフォローの重要性のイメージ

学習管理はなぜ必要?

eラーニングシステムの目的はそれを導入することではありません。システムを活用して、受講者の知識やスキルをアップさせ業績に貢献するといった目的のため導入されます。システム全体の活用度はもちろん、受講者の受講状況や理解度などを測ることは、目的の達成のための重要な指標となります。

システムに求められる機能

システムに必要な機能は管理者に必要なもの、受講者に必要なものに分けることができます。まず管理者に必要な機能として最低限搭載しておきたいものを列挙します。

受講者登録、教材登録がまず必要な機能です。教材登録はあらかじめ用意した動画を登録するだけでいいのか、システム内で動画編集や受講に必要な資料作成、受講後のテスト作成まで必要なのかは、自社の状況に照らし合わせて検討しましょう。
登録した講座を単元や章として分類整理するコース管理機能も便利です。どこから学べばよいのか受講者がわかりやすくなります。また登録されている講座を俯瞰的に把握できるので、次にどのような教材を用意するべきか把握するのにも役立ちます。

他には受講済み講座や理解度のチェックなども必要です。質問やコミュニケーションはあると便利ですが、一方で運用の負荷は上がります。必須機能はどこなのかはしっかりと見極めましょう。

続いて受講者に必要な機能を列挙します。
最低限必要なのはeラーニングが受けられる機能です。講座の一覧だけでなく単元や章、受講順に整理して表示されれば、学習が進めやすくなるでしょう。
受講後にはテスト機能、利用に関するQ&A、またアンケート(教材についての要望など)提出もできるとより使いやすくなります。

積極的に活用したいテストやアンケート機能

学生時代のテストはやり直しはありません。その時点での理解度を測定することが目的で、理解できていなかった箇所(テストでわからなかった箇所)は、自分自身で復習するしかありません。ただ復習しても、もう一度テストを受けることはできません。
社員教育での研修やテストは、わかるまで(できるまで)繰り返すことが求められます。理解できなかった箇所を早急に把握し、繰り返し学習が行える仕組みが必要です。

オンラインを利用したテストはすぐに結果がわかるので、eラーニングの習熟度をすぐ把握できます。再度動画を見直したりして、意欲的に習熟度を高めていけることもeラーニングの大きなメリットです。

自習時に不便な点、動画の説明でわかりにくかった点があればアンケートで教育担当者へフィードバックしておくべきです。受講者と教育担当者が積極的にeラーニングを利用することで、eラーニングシステムもさらに使いやすく有効なものへ進化していくことでしょう。

7. 適材適所がeラーニング活用のコツ

場所や時間の拘束から解放されるeラーニングは、今後も様々な教育分野で活用されることでしょう。ただ、eラーニングという物珍しさと手軽な部分だけに飛びついたのでは、受講者に満足してもらえるものになりません。講義内容も適宜更新していくことが必要ですし、集中力を維持しモチベーションを高める工夫が必要です。

受講後のアンケートや習熟度チェックテストの導入、ウィークポイントを補強する個別の講座受講の案内などきめ細かなフォローによって、eラーニングの効果は何倍にも高まります。
受講者管理の仕組みや講座動画の作成について、外部業者をうまく使うこと、既存の研修と連携した教育プランなど、eラーニングの使いどころを吟味することが大切です。

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