パワーポイント(PowerPoint)を使った動画制作方法の解説 ~「人+スライド資料」かんたん動画制作~

2021.02.12

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働き方が大きく変わる中で「動画で情報を伝えたい」「動画を活用したい」と思うことはありませんか? 「でも動画制作は難しそう」「動画制作をプロに頼む予算は無いし…」今回解説するのは、そんな方におすすめの「Microsoft PowerPoint(パワーポイント)を使う動画制作方法」です。

※本記事では以降、Microsoft PowerPoint をPowerPointと表記します。

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動画用途・制作方法の特長

今回紹介する動画は「人とスライド資料で構成される動画」です。このスタイルは、ウェビナー(Webセミナー)や社内情報共有、勉強会・発表、教育・研修(eラーニング)など幅広いビジネスシーンで使える便利な鉄板のスタイルです。

PowerPointで収録・編集するこのスタイルは

  • 少ない機材で制作できる
  • 使い慣れたPowerPointでの動画制作
  • 撮り直しが簡単でプレゼンが苦手でも安心

といった特徴があり、動画制作が初めてという方にとってもかんたんでおすすめです。

完成イメージ(サンプル動画)

下記掲載の動画は本記事で紹介している方法で制作しました。

動画展開

動画展開は「タイトル」「冒頭」「本編」「まとめ」「ロゴ」です。「冒頭」「まとめ」では出演者の映像を大きく配置しています。「本編」ではスライドの右下隅に出演者の映像を小さく配置しています。

制作の流れ

制作手順は

  • ①必要なものを準備する(初回はロケハンも)
  • ②PowerPointで収録する
  • ③PowerPointで編集

という流れです。次章以降で詳しく解説していきます。

制作手順1. 必要なものを準備する

準備一覧

  • 収録場所 … 会議室など静かな場所
  • 出演者 兼 収録担当 … 1名
  • スライド資料(PowerPoint) + プレゼンテーション原稿
  • 機材など
カメラ付ノートPC カメラ付きノートPCを用意します。今回は、出演者が普段業務用に使用しているPCを使用しました。
PCにカメラが付いていない場合はWebカメラを別途準備します。Webカメラは数千円~ で購入できます。PCのディスプレイ上部に固定できるものがおすすめです。
PowerPoint 動画制作に対応したPowerPointが必要です。バージョンによっては対応していない場合もありますので、詳しくはMicrosoftが公開している情報を確認してください。
マイク ノートPCには元々マイクが内蔵されていますが、より聞き取りやすいクリアな音声で仕上げるためには別途マイクを用意するのがおすすめです。
サンプル動画では、5,000円程度で以前購入したハンドマイクを使用しました。
ハンドマイク以外でもピンマイクやイヤホン付きマイク、ヘッドセットなども使用できます。PCに音声を入力でき、聞き取りやすい音質で録音できるものを用意します。

収録場所探し/ロケハン

できるだけ静かな部屋を確保します。音が反響しすぎないかどうかも確認しておきましょう。部屋の広さや壁の材質によって音の響き方は異なります。部屋の中で手を叩くと反響具合が確認できます。
収録時は部屋だけでなく廊下や隣の部屋で発生する音を拾ってしまう恐れがあるため、収録をおこなうことを事前に周囲に告知するとともに、張り紙で音を立てないよう掲示し協力を得るとよいでしょう。

今回の収録では、自然光も差し込む当社従業員用休憩スペースの一画を使用しました。

明るさも充分かどうか、実際にPCを使って確認します。多少の明るさ調整であれば収録後にPowerPointでもきますが、スライドごとに動画の調整が必要になるため、あらかじめ適切な明るさで収録するのがおすすめです。

どんな映像と内容にしたいか考える

動画制作をする際はごく簡単にでもいいので「目的、視聴ターゲット、視聴状況」を定義しておきます。

【目的】今回制作した動画は「本Blogの概要理解と、作れる動画のクオリティの理解」を目的としています。
【視聴ターゲット】企業に所属されている方で、動画制作初心者の方を想定しています。
【視聴状況】勤務時間中に会社支給のPCで動画を視聴することを想定しています。普段から動画を見たりWeb会議ツールを使ったりといったことが多いので、イヤホンを持っている(音声をONにした視聴ができる)前提です。音声をONにした視聴ができない前提であれば字幕を入れる必要があります。

その後コンテを作ります。コンテとは動画制作のための設計図のようなものです。イラストや写真など絵付きで制作することもあれば、文字だけの簡易なコンテの場合もあります。下記は、今回の動画用に準備したコンテです。

スムーズに制作を進めるためにはコンテは重要です。「どんなシーンを撮るのか」「どんな動画の展開なのか」「どのくらいの動画の長さが適しているか」などを考えておきます。

スライド資料の準備

企画内容を念頭に置きながらPowerPointでスライド資料を作ります。今回制作したスライドサイズは16:9(ワイド画面)です。

動画視聴時の画質によっては、小さな文字は読みにくい場合があります。しっかり読ませたい文字は大きめのサイズにする必要があります。また、出演者の映像が資料上に挿入されることを考慮した作りにします。

その他の点としては

  • 1スライド1メッセージで作る
  • 色数は2~3色に抑える
  • 伝わりやすいプレゼンテーションの流れになっているか

などに注意しながら作業を進めました。

加えて、メモ欄にプレゼンテーション用の原稿を準備しておきます。完成した資料を元に想定時間内に動画の長さが収まりそうか原稿を読み上げ、ストップウォッチで測って確かめておきます。実際に、テストも兼ねて収録してみて、おおよそ長さを確認するのも良いでしょう。

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制作手順2. PowerPointで収録

準備が整ったらいよいよ収録です。

以降、Windows 10、Microsoft 365 Apps for enterpriseを使った場合で解説します。

収録当日の流れ

収録当日の流れは以下です。

  • 機材設置
  • 収録角度や明るさの調節
  • リハーサルで収録の流れなどを確認
  • 本番収録
  • 収録内容の確認

機材設置

下記を参考に機材などを設置します。

収録角度や明るさの調節

出演者と画面の比率は「バストショット」と呼ばれる、胸元から頭の先までが入るような位置に調整します。さらに、カメラの高さが目線と水平になるように調整すると自然な角度(アングル)になります。
PC内蔵のカメラ位置を上げたい場合、PCの下に手頃な高さの箱や本を置いて調整するのが手軽です。

出演者の顔の印象は光の当たり方や量によって変わります。出演者の背後に窓があり外光が差し込むような場合は「逆光」と呼ばれる状態になり、顔が暗く映ってしまいます。収録に臨む位置を変えたりカーテンを引いたりといった対応が必要です。
顔色よくかつ表情をしっかり映すためには、出演者正面側から適度な光が当たるのが望ましい状態です。
天井の蛍光灯が主な光源の場合、被写体の真上に強い照明があると真下に影ができ人物の顔色が悪く見えます。その場合は少し場所を変えて、できる限り色や影が自然に見える場所を探します。

カメラ側で収録時の明るさ調整を行います。
カメラを起動します。PC画面左下のスタートボタン(Windowsロゴのアイコン)をクリックして、「カメラ」を探し起動します。調整用のバーが表示されていない場合は、左上の歯車アイコンをクリックし、「プロモード」をオンにします。収録場所が暗い場所はバーを上げ明るさを調整します。

「ビデオの画質」を選択します。
歯車アイコンから「設定」を表示します。今回は、使用したPC内蔵のカメラで選択できる中の最高画質「720p 30fps」を選択しました。
設定が終われば「カメラ」は閉じておきます。

 リハーサルで収録の流れなどを確認

リハーサルで収録の流れや、音声の聞こえ具合などを確認します。プレゼンテーションの一部を実際に収録して確認していきます。

PowerPointファイルを開いて、リボン タブから「ファイル」(❶)をクリックします。

「エクスポート」(❷)をクリック → 「ビデオの作成」(❸)をクリック → 「フルHD」または「HD」(❹)を選択、「記録されたタイミングとナレーションを使用する」をクリックして「タイミングとナレーションの記録」(➎)を選択すると収録の画面に遷移します。

フルHDとHDでの動画画質は、本Blogに掲載しているサンプル動画を参考にしてください。プレイヤー右下の部分から画質を変更できます。

収録画面で、上部中央の「ノート」をクリックすると、プレゼンテーション原稿を見ながらの収録ができます。「A」をクリックすると表示文字サイズの調整が可能です。
右下の3つのアイコンで「音声のみの収録」「音声+映像の収録」「カメラ映像の表示/非表示」がコントロールできます。

画面左上の「記録」(❻)を押すと、3秒のカウントダウンの後、収録が始まります。

収録開始後、一拍間を置いて話し始めましょう。「話し終わってスライドを送る時」「次のスライドの話しを始める時」も同様に、一拍間を置きます。間を置かない場合、音声の冒頭や末尾の言葉が欠けてしまいます。

プレゼンテーションを停止する場合は、左上のボタンで「停止」(❼)を押します。

プレビュー(収録内容の確認)の方法は幾つかあります。
スライドを通しで確認する場合は、リボン タブの「ファイル」(❶)をクリック、「エクスポート」(❷)をクリック → 「ビデオの作成」(❸) をクリック→ 「フルHD」または「HD」(❹)を選択、「記録されたタイミングとナレーションを使用する」をクリックして「タイミングとナレーションのプレビュー」(➎)でプレビューを確認できます。

スライドごとの収録内容を確認する場合は、スライド右下隅に記録された映像をクリック、再生マークをクリックすれば確認できます。

確認の際は

  • 音声の聞き取りやすさは充分か
  • 冒頭や末尾など発話の欠けはないか
  • 出演者の姿勢や座り位置、アングルはバランスがよいか

などをチェックします。
リハーサルで問題なければ、本番収録を行います。

本番収録

リハーサルの手順を参考に、本番収録を行います。PowerPointで収録した映像はスライド単位で記録されます。
言い間違いなどがあれば、必要に応じて該当スライドを撮り直します。言い間違った場合その都度収録を止めて撮り直してもいいですし、通しで収録して後から言い間違いのあったスライドのみ撮り直しても構いません。

詰まりや言い直しなどをどの程度許容するかは動画の用途によります。撮り直しが多くなるほど、収録時間が長くなってしまいます。

収録内容の確認

プレビューで確認し問題なければ収録は完了です。
確認の観点としては以下です。

  • 話している内容に言い間違いはないか
  • 聞きやすさは充分か
  • 見やすさは充分か
  • 必要なカットが揃ったか

作業中、ファイルは適宜保存しておきます。
話し初めと終わりの間が長すぎる場合は、不要な間を編集で削除(トリミング)できます。

その他の演出

今回は使用しませんでしたが、スライドへの書き込みといった演出も使えます。

制作手順3. PowerPointで編集

停止後、プレゼンテーションに使ったPowerPoint上に映像がスライド単位で保存されています。

必要に応じて

  • 映像尺のトリミング
  • 映像挿入サイズ・位置の調整
  • 映像の明るさ調整
  • 画面切り替えやアニメーション設定

などを行います。

カメラで収録した映像は「スライド単位で記録されている」「スライドの上に配置されているが移動可能」という状態です。そのため、収録後に映像の位置や大きさを自由に移動できるだけでなく、スライドの文字サイズを大きくしたり、間違いを直したりも可能です。

映像尺のトリミング

記録された映像の上で右クリックし、「トリム」をクリックします。「ビデオのトリミング」が表示されますので、水色のバーの上の矩形を内側に移動させ、不要な部分をトリミングします。灰色に変わったバーの部分は使わない部分です。

もちろん、記録された映像の前後の間は気にならなければそのままでも構いません。

今回の編集では動画の流れを良くするため、話し初めの前と終わりの後の間をトリミングしています。映像尺のトリミングをした場合、リボン タブ「画面切り替え」の「画面切り替えのタイミング」部分の秒数の変更が必要です。

「画面切り替えのタイミング」部分には収録した映像の秒数が自動で入力されていますので、映像尺をトリミング後の映像秒数に変更します。「ビデオのトリミング」の画面で右上に表示される「継続時間」を「画面切り替えのタイミング」部分に入力します。

画面切り替え

今回は、スライド間の切り替わりに「フェード」を使用しました。リボン タブから「画面切り替え」をクリックし、好みの切り替えを選択しましょう。

映像の明るさ調整

出演者映像が暗い場合は、PowerPointで明るさを調節できます。記録された映像の上で右クリックし、「ビデオの設定」をクリックします。明るさの数値を変更します。

スライド単位で映像が記録されているので、すべてのスライド映像の明るさ変更をします。

映像の配置サイズの調整

今回制作した動画では、「冒頭」「まとめ」では出演者の映像を大きく配置しています。

「冒頭」「まとめ」では、記録された映像を最背面に移動させ、拡大して配置しました。さらに映像上に、白から透明に変わるグラデーションを配置し、映像が滑らかに背景になじむようにしました。
「本編」では、元々配置されている映像より、一回り大きく映像を拡大し、さらに頭の上の余白をトリミングしています。
もちろん、記録された映像の大きさと位置はそのままでも構いません。

アニメーションの追加

今回は、「タイトル」「冒頭」と最終カットの「まとめ」「ロゴ」部分にアニメーションを追加しました。「冒頭」と「まとめ」では、プレゼンテーションの内容に合ったタイミングでロゴやアイコンが切り替わります。

動画の確認

プレビューで動画全体の流れを確認します。

  • スライドとスライドの間は長すぎないか
  • 映像の配置場所はちょうどよいか

など確認し、問題なければ編集は完了です。

動画の書き出し

「書き出し」とは、編集終了後ファイル形式を変えて動画を保存することを指します。ファイルを一般的な扱いやすい形式に書き出すことで、PowerPointのインストールされていないPCでも動画を見たり、動画配信プラットフォームに動画をアップロードしたりといったことができるようになります。

リボン タブの「ファイル」(❶)をクリックします。「エクスポート」(❷) → 「ビデオの作成」(❸) → 「フルHD」「記録されたたタイミングとナレーションを使用する」が選択されていることを確認(❹) → 「ビデオの作成」(➎)をクリックし、ファイル名を付けて「保存」をクリックします。

保存形式には「MPEG-4ビデオ(.mp4)」「Windows Media ビデオ(.wmv)」の2種類あります。
「MPEG-4ビデオ(.mp4)」の方が書き出しにかかる時間が短く、また書き出し後のファイル容量も軽くなりおすすめです。
ただし、今回のサンプル動画のようにスライド上の映像を大きくレイアウトしている場合、「MPEG-4ビデオ(.mp4)」で書き出すとブロックノイズと呼ばれる四角いモザイク状の荒れが発生することがあります。その場合は「Windows Media ビデオ(.wmv)」で書き出してみてください。

書き出しには、完成動画の長さ以上の時間がかかることが多くあります。かかる時間は動画の量に加えPCのスペックやアニメーション設定などによっても変わります。初めての方は、まずは短めの長さの動画制作から試してみることをおすすめします。

「Windows Media ビデオ(.wmv)」での書き出しでは用途に合わない場合、Windows10に標準搭載されている「フォト」で.mp4形式に変換可能です。

動画制作に要した時間

今回の動画制作には、合計6時間30分かかりました。内訳は以下です。

《【事前】3時間30分 》

  •   ●コンテ、スライド資料およびプレゼン原稿制作 … 3時間
  •   ●ロケハン … 30分

《【当日】3時間 》

  •   ●機材設置・設定 … 10分
  •   ●リハーサルおよび本番 … 30分
  •   ●撤収(機材や会議室の片付け) … 5分
  •   ●編集 … 1時間
  •   ●アニメーション追加 … 1時間15分

同じ場所・時間帯で同じような動画を制作する場合は、次回以降ロケハンは省略してもよいでしょう。
編集は映像ごとのトリミングが不要であれば、もっと短い時間で完了できるでしょう。アニメーションも動画用途によっては必要ありません。

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まとめ

以上、「人とスライド資料で構成される動画」を身近なものを使ってかんたんに制作する方法の中からMicrosoft PowerPoint(パワーポイント)を使った動画制作をご紹介しました。
「動画制作は初めて」「この機材(手法)での動画制作は初めて」という場合、まずは短めの長さの動画制作からチャレンジするのがおすすめです。実際に制作してみることで、流れや操作がよりイメージできます。

また、「人+スライド資料」の動画制作の別手法として、ビデオカメラで撮影しWindows10標準アプリで編集する方法も解説しています。PCからディスプレイに資料を表示し、出演者と一緒にビデオカメラで撮影することで出演者が映像内に大きく映り込むだけでなく、資料を直接指すことで動画全体に動きが生まれ視聴者をより飽きさせません。こちらも参考になさってください。

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