医師向け情報提供は“誰に届けるか”で決まる。4つの視聴行動モデルから考えるターゲット設計

医師向け情報提供は“誰に届けるか”で決まる。4つの視聴行動モデルから考えるターゲット設計

医師向けの情報提供施策では、「どの医師に情報を届けるか」「どのチャネルを活用するか」「MRとデジタル施策をどう連携するか」が成果を大きく左右します。しかし実際には、「医師」という大きなくくりで一律にコミュニケーション設計を行っているケースも少なくありません。

Jストリームが実施した2026年調査では、医師のWeb講演会に対する参加姿勢や情報収集行動を分析し、医師を4つの視聴行動モデルに分類しました。調査結果からは、処方への影響度や認知経路、行動特性に大きな違いが見えてきています。
本記事では、医師向け情報提供施策を企画する際に意識したいターゲット設計の考え方について考察します。

製薬会社主催の講演会に対する医師の評価 《2026年調査》

1. 医師の情報収集は、ますますデジタル化している

まず押さえておきたいのは、Web講演会が医師にとって重要な情報源になっている点です。
2026年調査では、

  • Web講演会参加回数は平均21.9回
  • 前年比50%増
  • 処方に有用な情報源1位はWeb講演会(75%)

という結果でした。

医師の講演会参加状況 平均参加回数【全体】

株式会社Jストリーム 製薬会社主催の講演会に対する医師の評価 《2026年調査》より:医師の講演会参加状況 平均参加回数【全体】

処方に有用な情報源【全体】

株式会社Jストリーム 製薬会社主催の講演会に対する医師の評価 《2026年調査》より:処方に有用な情報源【全体】

さらに、

  • 情報収集にかけられる時間は1日30分が最多
  • 最適な情報収集時間はより遅い時間帯へシフト

という実態も見えています。

一日の中で情報収集にかけられる時間【全体】

株式会社Jストリーム 製薬会社主催の講演会に対する医師の評価 《2026年調査》より:一日の中で情報収集にかけられる時間【全体】

最適な情報収集時間帯【全体】

株式会社Jストリーム 製薬会社主催の講演会に対する医師の評価 《2026年調査》より:最適な情報収集時間帯【全体】

つまり医師は、限られた時間の中で効率的に情報を得ることを重視しているのです。こうした背景から、医師向け施策では情報量を増やすだけでなく、必要な情報へ効率よくアクセスできるよう設計することも重要になっています。

※ 前回調査:製薬会社主催の講演会に対する医師の評価 《2025年調査》

2. しかし、すべての医師が同じように情報を受け取っているわけではない

医師向け施策でありがちな誤解があります。それは、「医師なら同じような行動をとるはず」という前提です。本調査では、Web講演会の「視聴の仕方」や「講演内容の活用度」が医師ごとに違っていることも確認されました。こうした状況を踏まえ、本調査では医師のWeb講演会への関与度や活用の仕方に応じて、4つの視聴行動モデルとして整理しました。

医師の4つの視聴行動モデル

株式会社Jストリーム 製薬会社主催の講演会に対する医師の評価 《2026年調査》より:医師の4つの視聴行動モデル
セグメント概要特徴
A
Engaged Deep Learners
(臨床展開層)
講演内容を主体的に診療へ組み込んだり、他の医師へ伝える層
・内容を深く視聴
・MRへ問い合わせ
・講演者へ質問
・院内共有
・症例検討にも活用
BEfficient Information Seekers
(情報取得層)
講演内容を情報収集・理解補強に効率よく活用する層
•効率重視
•必要な部分を選んで視聴
•ガイドライン確認を実施
CPassive Viewers
(ながら視聴層)
講演内容への関心はあるものの、ながら視聴が中心で理解や行動につながりにくい層
•視聴はする
•集中度は低い
•視聴後アクションが少ない
DLow-Interest Low-Engagement
(低関心・ながら視聴層)
情報収集への関心が相対的に低く、接触機会や情報量の最適化が求められる層
•情報収集時間が短い
•スマホ視聴が多い
•事後行動も少ない

3. 処方行動への影響を考えるうえで注目したい“セグメントA”

では、どこに最も注力すべきでしょうか。調査結果から見ると、処方行動への影響という観点ではセグメントAが特に注目されます。
処方行動への影響という観点でセグメントAが注目される理由は、大きく2つあります。

理由1:処方への影響度が最も高い

処方への影響度は以下のような状況でした。

Web講演会による処方への影響度

株式会社Jストリーム 製薬会社主催の講演会に対する医師の評価 《2026年調査》より:Web講演会による処方への影響度

セグメント間で極端な差は見られなかったものの、A:Engaged Deep Learnersが平均3.7と最も高い結果となりました。

※D:Low-Interest Low-Engagementはn=28のため参考情報

理由2:行動につながり、周囲に影響を与える可能性がある

セグメントAでは、処方に有用な情報源としてWeb講演会を挙げた割合が85%と、全体平均(75%)を上回っていました。さらに、MR問い合わせ63%、講演者への質問60%、院内共有31%と、ほかの層と比較して積極的な行動が目立ちます。

内容を深く理解し、講演内容を踏まえて診療や院内コミュニケーションに主体的に踏み出す傾向が伺えます。単なる視聴者ではなく、情報伝播の起点になり得る存在といえます。

セグメント詳細【セグメントA】

株式会社Jストリーム 製薬会社主催の講演会に対する医師の評価 《2026年調査》より:セグメント詳細【セグメントA】

4. 重要なのは“人数”だけではなく“影響力”

重要なのは“人数”だけではなく“影響力”

医師向け施策では、より多くの医師に情報を配信することが目標になりがちです。しかし、全員に同じ情報を届けるよりも、行動を起こす医師を見極める方が重要ということを、今回の調査結果は示しています。

特に限られた営業・マーケティングリソースの中で成果を最大化するためには、「誰に」「どのチャネルで」「どの情報を」届けるかを精緻に設計する必要があります。誰にでも同じ情報を届けるのではなく、行動変容につながりやすい医師へ重点的にアプローチするという発想も重要になるでしょう。

5. まとめ:ターゲット設計の精度が医師向け施策の成果を左右する

今回の調査では、医師が同じように情報を受け取り行動しているわけではなく、視聴行動や情報収集スタイルによって大きく異なることがわかりました。医師向け施策では、配信数や参加数だけでは成果を測れません。処方検討や院内共有など、どのような行動につながる医師へ情報を届けられているかが重要です。4つの視聴行動モデルは、ターゲット設計やコミュニケーション施策を見直す上で有効なヒントになるでしょう。

調査レポートでは、各セグメントの認知経路や情報収集行動、Web講演会に対する評価についても詳しく分析しています。全ての調査項目と結果をご覧になりたい方は、下記より調査資料をダウンロードしてご確認ください。

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