マニュアル動画の成功事例4選
導入効果と失敗しない制作・運用のポイント

従来の紙マニュアルや対面指導では、複雑な作業手順や現場の細かな動き・所作を伝えきれず、作業品質のバラつきや教育担当者の負担増が深刻な課題となっています。

特に多拠点展開する企業や人員の入れ替わりが激しい現場では、教育の平準化と指導コストの削減が緊急の経営課題です。これらの課題に対し、動画を活用したマニュアル化は、視覚的な直感理解を促し、組織全体の業務平準化と生産性向上を実現する効果的なアプローチとなります。先行企業の具体事例や活用シーン、導入時に直面する課題の解決策、そして現場に定着させる制作・運用のポイントを論理的に紐解きます。

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企業におけるマニュアル動画の成功事例4選

マニュアル動画を導入し、社内教育の平準化やサポート工数の削減を実現している企業では、どのような課題に対し、どのような配信・運用体制を構築しているのでしょうか。

今回は代表的な4つの活用事例を紹介します。

企業・業界主な活用用途課題解決・導入効果
象印マホービン株式会社製品のお手入れ・使い方動画サポート窓口への問い合わせ削減
株式会社ノーリツ施工・メンテナンス・製品サポート顧客対応工数の削減・営業支援
株式会社DAY TO LIFE店舗での製造手順・レシピ共有多店舗における製造品質の均一化
製造メーカー(多拠点)現場の実技手順マニュアルスムーズな技術伝承と教育の平準化

象印マホービン株式会社

短尺動画によるサポート問い合わせ削減

象印マホービン株式会社では、オーブンレンジや炊飯器といった自社製品のお手入れや使用方法に関する動画マニュアルを公開しています。

従来は取扱説明書(紙・PDF)の文字とイラストを中心に案内を行っていましたが、細かなパーツの取り外し方やお手入れのコツが直感的に伝わりづらく、サポート窓口へ同様の問い合わせが寄せられる課題がありました。

そこで同社は、実際のユーザー目線を意識したカメラアングルで撮影し、重要な手順を拡大表示した解説動画を制作。動画は「電源の入れ方」「パーツの取り外し」といった手順ごとに1分〜3分程度の短尺に分割され、顧客が知りたい情報へダイレクトにアクセスできるよう工夫されています。

視覚的に直感理解できるコンテンツを提供した結果、サポート窓口への問い合わせ削減と顧客満足度の向上を実現しています。

株式会社ノーリツ

施工・メンテナンス・製品サポート動画のポータル集約

温水暖房機器や給湯機器などを展開する株式会社ノーリツでは、販売店向けの営業支援、施工・メンテナンス研修、エンドユーザー向けの製品サポートなど多岐にわたる用途で動画を活用しています。

事例「株式会社ノーリツ 様」メイン画像

従来は製品ページごとに動画が散在していたため、必要な情報が探しにくい課題がありました。

この課題に対し、同社は製品の使い方やお入れ動画を一元管理する動画共有サイト「ノーリツチャンネル」を構築しました。カスタマーサポートへ寄せられた問い合わせに対し、該当する動画ポータルへ案内する運用を徹底することで、対応工数の大幅な削減に成功しています。

また、カタログや展示物、販売店のチラシにQRコードを掲載し、現場や店頭からスマートフォンで即座に動画へアクセスできる導線を確保することで、営業工数の削減と社内研修のオンライン化を同時に推進しています。

株式会社DAY TO LIFE

製造手順動画の共有による店舗品質の均一化

シュークリーム専門店「ビアードパパ」などを運営する株式会社DAY TO LIFEでは、店舗における製造レシピや調理手順の共有に動画マニュアルを活用しています。

株式会社DAY TO LIFE 様

シュー生地の包み方や焼き加減の調整といった細かな所作は、従来のテキストや静止画マニュアルではニュアンスが伝わりにくく、店舗や指導者によって作業品質にムラが生じやすいことが長年の課題でした。

同社では、熟練スタッフの手元の動きや手順を詳細に撮影したレシピ動画を制作し、動画配信ポータル『EQポータル』を活用して全店舗へ安全に配信しています。グループウェア連携やアクセス制限、パスワード設定等の厳格なセキュリティ機能を組み込むことで、機密情報である製造ノウハウの流出を防ぎつつ、離れた地域の店舗や新入スタッフでも正確な手順を把握できる環境を整備しました。

その結果、チェーン全店における作業品質の均一化と、店舗教育にかかる指導コストの削減を同時に達成しています。

多拠点展開する製造メーカー

スマホ撮影による実技手順マニュアルと教育の平準化

全国に複数の生産拠点を有するある製造メーカーでは、熟練技術者の退職に伴う技術伝承と、拠点ごとの作業手順のバラつきがリスクとなっていました。

そこで同社は、現場の作業手順や機械操作のポイントをスマートフォンで直接撮影し、動画マニュアルとして共有する仕組みを導入。手元の細かい所作や安全上の注意点を映像化し、実技研修と併せて手元の端末でいつでも予習・復習できる環境を構築したことで、熟練者の指導工数を削減し、組織全体での技術伝承と教育レベルの平準化を成功させています。

事例から分かるマニュアル動画の主な活用シーンと導入効果

企業の導入事例からも読み取れるように、マニュアル動画は社内教育から顧客対応まで幅広い用途で活用されています。マニュアル動画の活用によって解決できる課題から、代表的な3つの活用シーンを整理します。

活用シーン対象者解決できる課題
業務引き継ぎ社内の後任担当者属人化の解消と引き継ぎ漏れの防止
新人研修教育新入社員やアルバイト従業員指導者の負担軽減と教育レベルの均一化
製品サポート自社サービスの顧客問い合わせ対応の削減と顧客満足度の向上

社内・店舗向けの業務引き継ぎと教育

部署異動や退職に伴う業務の引き継ぎでは、業務プロセスの属人化が大きな課題となります。前任者が日常的に行っているパソコンの操作画面などを録画しながら説明を加えるだけで、精度の高い引き継ぎ資料が完成します。
テキストの引き継ぎ書を作成する手間が省けるだけでなく、後任者は実際の操作画面を見ながら作業を再現できるため、伝達漏れや操作ミスを未然に防ぐことができます。担当者が変わるたびに発生する混乱を回避し、業務の継続性を担保する強力な手段となります。

新入社員・多店舗スタッフの研修教育

新入社員や入れ替わりの激しいアルバイト従業員に対する研修教育では、指導者のスキルや教え方によって理解度に差が生じやすい傾向があります。企業の理念や基本的なビジネスマナー、レジの操作方法などを動画化しておくことで、入社するタイミングが異なる従業員に対しても、常に均一な品質の教育を提供できます。
対面での集合研修を行う回数を減らせるため、会場手配や講師のスケジュール調整にかかる労力も大幅に削減されます。受講者は動画を何度も見返すことができるため、一度の研修では覚えきれなかった不安を解消し、自信を持って現場の業務に取り組むことが可能になります。

顧客・製品ユーザー向けのサポート

複雑なITツールの初期設定方法や、家電製品の組み立て手順などを動画で公開することで、顧客はスムーズに製品を利用開始しやすくなります。文字や図解のみの取扱説明書ではユーザーが躓きやすく、カスタマーサポートへ問い合わせが集中する要因となります。
動画マニュアルを提供し、顧客が自己解決できる環境を整えることは、コールセンターへの一次対応工数を減らすことに直結します。分かりやすいサポート動画の提供は、顧客満足度の向上やブランドに対する信頼感の醸成にも繋がります。

マニュアル動画を導入する3つのメリット

マニュアルをテキストから動画へ移行することは、学習者・管理者両面の利点をもたらします。導入にかかる初期の労力を補って余りあるメリットを理解することで、社内の決裁者に対しても投資対効果(ROI)を明確に提示できます。

視覚的理解の促進と学習効率の飛躍的な向上

映像と音声を組み合わせた動画コンテンツは、テキストを黙読するのに比べて圧倒的な情報量と脳への定着率を持ちます。人間の脳は視覚情報を処理する能力に優れており、実際の動きを見ることで直感的に内容を理解することができます。
工場の組み立てラインにおける手元の細かな動きや、接客時の声のトーンなども、実際の動きをトレースする感覚で学べるため、現場に出てからの戸惑いが少なくなります。文章から情景を想像するという認知的な負担がなくなるため、学習の途中で挫折してしまうリスクも軽減され、業務の早期習得とミスの削減に直結します。

時間や場所を問わない閲覧環境の構築

クラウド上の安全な配信環境に動画を設置することで、受講者は自身のタイミングや場所を選ばずに学習を進められます。スマートフォンやタブレットを活用すれば、通勤時間や休憩中などの隙間時間を活用した予習・復習が可能です。
現場で実際の作業に取り組んでいる最中に分からないことが発生しても、すぐに手元の端末で動画を再生し、正しい手順を確認することができます。指導者を探して質問するために作業の手が止まってしまうタイムロスを防ぎ、業務の生産性を高く保つことができます。

指導者の教育負担軽減と業務の属人化解消

指導者の立場からは、同じ内容を複数の新人に何度も繰り返し説明するストレスと物理的負担が解消されます。基本的な業務の流れはすべて動画に任せることができるため、教える側と教えられる側の双方にとって心理的な負担が軽くなります。
教育プログラムが特定のベテラン社員のスキルに依存しなくなるため、組織全体として安定した教育体制を構築でき、ノウハウが組織の資産として蓄積されます。指導者は浮いた時間を活用して、より難易度の高い業務の改善提案やイレギュラー対応といった付加価値の高い業務に専念できるようになります。

マニュアル動画の導入時に直面しやすい課題と解決策

動画マニュアルの有用性を理解しつつも、内製化や運用を開始するにあたっては制作・管理・セキュリティ面で壁に直面するケースが見られます。現場が抱えやすい課題と、それを乗り越えるための具体的な解決策を提示します。

動画の制作・更新に時間と手間がかかる

動画を制作するためには企画、撮影、編集といった複数の工程を経る必要があり、担当者が通常業務の合間に対応するには多大な工数がかかります。また、業務フロー変更に伴う内容の修正でも、動画の再撮影や再編集が求められ、更新作業が負担となって最新状態が保てなくなるリスクがあります。

パワーポイントによる既存資料を活用し、アップロードするだけでAIが自動ナレーション付き動画を生成する説明業務の動画AX『EQ Presentation Cloud(EQPC)』を導入することで、専用の撮影・編集スキルがなくても制作・更新にかかる手間とコストを大幅に削減できます。

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作成した動画が散在し、必要な情報が探しにくい

ファイルサーバーや社内ネットワークに動画を置くだけでは、どこに何の動画があるか分からず、結果的に現場で活用されない状態に陥ります。
実際に、業務で動画を視聴する社員を対象とした調査でも、動画活用で不満を感じる要因として「自身のほしい情報がどの動画にあるかわからない(34.7%)」が上位に挙がっています。

引用元:株式会社Jストリーム「業務の中での動画の有用性調査」

カテゴリ分類や高度な検索機能を備えた専用の動画配信ポータル『EQポータル』で一元管理することで、受講者が求める動画へ即座にアクセスでき、自律的に学習を進められる環境を整えられます。

現場での視聴環境やセキュリティの担保が必要になる

社外秘情報や独自の製造ノウハウを含むマニュアル動画を扱う場合、外部流出のリスク管理が不可欠です。また、個人所有のスマートフォンを利用させることのセキュリティ懸念や、現場端末での視聴ルールの策定が求められます。

IPアドレス制限、ドメイン制限、ユーザー認証機能を標準搭載した法人向け動画配信プラットフォーム『J-Stream Equipmedia(EQ)』を活用することで、権限に応じた安全な視聴環境を確実に構築し、機密情報を保護できます。

マニュアル動画を効率的に制作する4つの手順

初めて内製化に取り組む担当者に向けて、質の高いマニュアル動画を効率的かつ無駄なく制作するための基本的なステップを解説します。

目的とターゲット(誰の何の課題か)の明確化

動画作りにおいて最も重要な第一歩は、誰に向けて、どのような課題を解決するために作成するのかを明確に定義することです。ターゲットが新入社員なのか、中堅社員なのかによって、使用する専門用語のレベルや説明の詳しさが変わります。「この動画を見終わった後、視聴者にどういう行動をとってほしいのか」というゴールを設定し、情報を絞り込みます。

業務プロセスの洗い出しとシンプルな台本作成

動画の全体的な流れを整理した構成案と、話す内容をまとめた台本を作成します。業務のプロセスを時系列で洗い出し、どの場面でどのような映像を見せるのかを文字で明確にしておきます。セリフを一字一句暗記する必要はありませんが、要点を箇条書きでまとめたメモを用意しておくだけで、撮影時の無駄な間や説明漏れを防ぎ、後の編集作業も格段にスムーズになります。専門用語を減らして初心者に伝わる平易な言葉を選ぶことが重要です。

撮影機材(スマートフォン・マイク)と撮影環境の準備

高価なプロ用のカメラは必ずしも必要なく、最近のスマートフォンであれば十分な画質で撮影可能です。ただし、工場の機械音などが大きい現場では、視聴者に正確な説明を届けるために外付けのピンマイクなどを用意して音声をクリアに収録する工夫が必要です。現場の実際の環境に近い明るさを確認し、機密情報が含まれる書類が背景に映り込まないよう、周囲の状況を事前にチェックします。

分かりやすさを最優先した編集・テキスト挿入

手元の細かい操作を説明する場合は、カメラを限界まで近づけて見やすく撮影します。一度の撮影で完璧を目指す必要はなく、短いカットごとに細かく撮影していくと負担が軽減されます。編集作業においては、派手なエフェクトに時間をかけるのではなく、重要なポイントに赤字の大きめのテロップを入れたり、矢印の図形を重ねたりといった「作業の視認性と分かりやすさ」を最優先に行います。

動画マニュアルの制作・運用で失敗しないための注意点

動画を制作して終わりにせず、現場で継続的に活用されるための実務的な注意点をご紹介します。
視聴者にとってストレスのないコンテンツを提供することがポイントです。

「1動画1テーマ」で情報の検索性と更新性を高める

一つの動画の中に、関連する複数の業務手順(例:「レジの基本操作」と「クレーム発生時の対応手順」)を詰め込むことは避けましょう。
「1つの動画につき、伝えるテーマは1つだけ」という原則を徹底することで、後から特定の情報だけを見返したい時の検索性が大幅に向上します。また、将来的に特定の業務フローが変更になった際にも、影響範囲を該当の短い動画だけに限定でき、更新作業の負担を最小限に抑えられます。

視聴者の集中力を維持する「10分未満(3〜5分程度)」の短尺設計

動画マニュアルの適正な長さについては、調査データからも明確な傾向が読み取れます。

【調査データ:社内動画の「ちょうど良い」と感じる長さ(累積)】

データが示す通り、10分未満までの動画であれば約8割が不満を抱かず視聴できます。これ以上の長尺になると視聴者の集中力が途切れ、重要な情報が記憶に残りづらくなります。

説明が長くなる複雑な業務は、「準備編」「基本操作編」のように複数の短い動画(3〜5分程度)に分割して提供することで、隙間時間での学習を促し、達成感を与えやすくなります。

騒音環境でも伝わる無音対策(大きめのテロップ活用)

動画を視聴する環境は、静かなオフィスとは限りません。騒音の激しい工場や、イヤホンを装着できない接客現場のバックヤードなど、音声を聞き取ることが難しい状況で再生されるケースが多々あります。ナレーションの音声だけに頼った説明はリスクを伴うため、動画内の重要なキーワードや絶対に間違えてはいけない手順については、大きめのテロップを画面上に表示させます。スマートフォンなどの小さな画面で再生されることも想定し、文字のサイズは少し大きめに設定し、音声が全くない状態でも作業手順が正確に伝わる構成を徹底します。

マニュアル動画で業務効率化を成功させるためのポイントまとめ

マニュアル動画の導入は、従来の紙ベースの限界を補い、組織全体の生産性を高めるための重要な業務改革です。
本記事で解説した成功のポイントを振り返ります。

目的の明確化と短尺設計
誰の何の課題を解決するかを定義し、「1動画1テーマ」かつ10分未満(3〜5分程度)に分割することで、情報の検索性と学習効率を高めます。

現場環境に配慮した制作
スマートフォンやマイクを活用して手軽に撮影し、騒音環境でも伝わるよう大きめのテロップを用いて「分かりやすさ」を最優先に編集します。

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