ハイブリッド開催は、セミナーや社内イベントなどをオンラインとオフラインの両方で同時に実施する開催方法です。イベントのオンライン開催が一般化した現在、ハイブリッド開催はイベントを開催する際の選択肢の一つとなっています。本記事では、ハイブリッド開催の方法や具体的な利用シーン、メリット・デメリット、成功させるためのポイントを解説します。
ハイブリッド開催とは、イベントを「会場」と「Web上」の両方で同時に進行する形式です。開催形式の一覧は下記のとおりです。
形式 | 場所 | 参加方法 |
リアル(オフライン) | 会場 | 直接来場 |
オンライン | Web上 | インターネット経由 |
ハイブリッド | 会場+Web上 | 来場 or インターネット経由 |
近年のパンデミックの影響で、多くのイベントがオンライン化されました。その中で、オンライン開催とリアル開催のよさを併せ持つハイブリッド開催が注目を集めています。
完全オンライン開催は「場所を選ばず参加できる」「コストが削減できる」といったメリットがあります。一方で「参加者同士の交流が希薄になりやすい」「会場の雰囲気や一体感を共有しにくい」などのデメリットも存在していました。そこで、オンラインとオフラインのメリットを組み合わせたハイブリッド開催の需要が高まりました。
ハイブリッド開催は、特定のニーズに応じた柔軟な対応が可能で、以下のようなシーンで特に効果を発揮します。
利用シーン | 目的 | 例 |
企業のカンファレンスやセミナー | 参加者の移動負担を軽減する方法を提供し広く参加者を募るとともに、会場参加では交流を促進する | グローバルな企業がオンラインで世界中から参加者を集めると同時に、オフライン会場で現地の参加者とネットワーキングやワークショップを行う |
社員研修や社内イベント | 本社が所在する地域と離れた拠点の社員が参加し、社内の情報共有やチームビルディングを行う | 全国規模で展開する企業がオンラインで全社員向けに会議やセミナーを提供すると同時に、オフライン会場には現地の社員が参加する |
学会やシンポジウム | 専門的な知識を共有する場として、参加者が遠隔地からでも最新の研究発表を視聴できるようにする | 医学や技術分野の学会で現地の会場に集まった参加者に加え、オンライン参加者も発表内容をライブストリーミングで視聴し、Q&Aやディスカッションを行う |
ハイブリッド開催を実施するためには、メリット・デメリットを理解した上で、技術的な問題や運営の複雑さといった課題への対策が必要です。
ハイブリッド開催は、下記のようなメリットがあります。
ハイブリッド開催は、移動時間や費用を気にして参加を諦めていた人もインターネットで参加できるようになるため、参加者層の拡大につながります。また、会場で参加するか、オンラインで参加するかを選択できる自由度の高さもメリットです。万が一、悪天候や自然災害、交通の乱れなどの予期せぬ事態が発生した場合でも、オンラインで同時に開催していれば参加者がイベントに参加できなくなるリスクを最小限に抑えられます。
一方で、ハイブリッド開催にはデメリットもあります。
ハイブリッド開催は、インターネットを経由してWeb上で動画を配信するため、回線の速度不足による配信の途切れや音声の不具合などの技術的問題が発生する場合があります。また、オンラインでは参加者のリアクションがわかりづらいため、コミュニケーション不足から一方的な配信になってしまう可能性もあります。
運営面では、会場設営や開催準備に加え、オンライン配信の対応と会場との連携が求められ、複雑化しやすい点に注意が必要です。
ハイブリッド開催のデメリットを解決するための具体的な対策とポイントについて解説します。
ハイブリッド開催において、技術的なトラブルはイベントの成功を阻む大きな要因となります。そのため、トラブル発生時の対応策を事前に検討しておくことが重要です。
トラブルの種類 | 対応策 |
回線の速度不足による配信の途切れ | ・ネットワークの負荷状況を事前に確認し、必要に応じて回線増強を行う |
音声の不具合 | ・配信に余計な音声が乗らないように、マイクとカメラマイクのどちらを使用するかを決める ・PCなどの通知音はオフにする ・音声ケーブルと電源ケーブルをなるべく離して配線する ・機材に熱がこもらないように冷却するなど対策を行う |
配信画面の見づらさ | ・発表資料は、フォントサイズと文字色などを意識して作成する ・配信画面に発表者を登場させる場合は、オンライン参加者がクリアに視聴できるように配慮する |
オフライン会場の様子をただ配信するだけでは、オンライン参加者が視聴者止まりになってしまうため、双方向のコミュニケーションを意識したコンテンツ設計が重要です。オンライン参加者もイベントに積極的に参加できるように、失敗例と成功例を参考に工夫を凝らしてみてください。
失敗例 | 成功例 |
受動的な視聴のみを想定したコンテンツ構成(一方的な配信) | 双方向コミュニケーションの導入、リアルタイムQ&A、チャット機能の活用 |
オンライン参加者への配慮不足 | オンライン参加者限定企画の実施 例)オンライン参加者のみ応募できるキャンペーンで特別感を演出 |
ハイブリッド開催を行う場合、タスクが煩雑化するため、イベントのスムーズな運営のためにはリハーサルと役割分担が重要です。
項目 | 目的 | 具体的な準備 |
リハーサル | ・本番を想定したシミュレーションを行い、当日のトラブルを未然に防ぐ | ・オンライン配信の動作テスト、オフライン会場でのリハーサル、台本を使った進行練習による時間配分の確認 |
役割分担 | ・運営スタッフの担当業務を明確にし、各自が自分の役割を理解することで、迅速な対応を可能にする ・問題が発生した場合の連絡体制を明確にし、混乱を防ぐ | ・オンライン担当、オフライン担当、タイムキーパー、質疑応答担当、トラブル対応担当など、役割を明確に割り振る ・連絡体制を整備する |
これらの準備が難しい場合は、ライブ配信代行サービスの利用を検討してみてください。Jストリームではライブ配信代行サービスを提供しています。以下の導入事例記事もぜひご覧ください。
ハイブリッド開催の成功に必須となるタスクを、計画からイベント後までのステップに分けて解説します。
まずはハイブリッド開催の計画を立てましょう。そのためには、下記のような項目を検討する必要があります。
イベント開催の目的を明確にします。売上増加やブランド認知度向上、新規顧客獲得などの具体的な目標を設定することで、イベントの内容や構成を効果的に設計できます。
視聴者を分析し、ターゲットにとって魅力的なイベント内容にすることが重要です。
分析項目 | 詳細 |
ターゲット層の属性 | ・年齢 ・性別 ・職業 ・居住地 など |
興味関心 | ・趣味 ・ライフスタイル ・価値観 など |
ニーズ | ・イベントに求めるもの ・解決したい課題 など |
オンライン参加者とオフライン参加者の両方に配慮したコンテンツを用意し、それぞれのメリットを最大限に活かすことが重要です。
例えば、オフライン参加者には直接的な交流や体験を提供する一方で、オンライン参加者には質疑応答やアンケート機能などを活用したインタラクティブなコンテンツを提供します。
次に、配信プラットフォームの選定や機材の準備を行いましょう。
配信プラットフォームを選ぶ際は、目的と参加者のニーズに合った機能があるかを確認しましょう。
ライブ配信機能やネットワーキング機能のほか、参加者が使いやすいUI/UXが備わっているか、視聴はPCだけでなくスマートフォンやタブレットなどのデバイスに対応しているか、また、リアルタイムでのサポートやトラブルシューティングガイドが提供されているかといったサポート体制も重要なポイントです。
Jストリームでは「チャット機能」や視聴者を制限できる「セキュリティ機能」、「視聴分析機能」などの多様な機能が搭載された、法人向け動画共有・配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia(EQ)」を提供しています。
高品質なカメラやマイク、スピーカー、ネットワーク機器を用意します。
オンラインとオフラインのそれぞれにおいてスムーズで効果的な進行ができるように、確認と調整を行います。インターネット接続や音声・映像の確認、配信プラットフォームの動作テストを行い、シナリオや進行のフローを確認します。
また、オフライン会場の設備チェックや参加者の動線確認、スタッフの役割分担や緊急対応の準備も欠かせません。加えて、参加者向けの案内やサポート体制を整え、を確認したり、リハーサルのフィードバックを取り入れたりすることで、当日の運営に備えます。
リハーサルで全ての確認項目に問題がなければ、イベントを実施しましょう。実施時の確認項目は下記のとおりです。
項目 | 内容 |
オフライン会場の準備とチェック | 会場セッティング、受付の運営 |
オンライン配信の準備 | 配信機器の確認、配信プラットフォームの準備 |
進行の開始 | 司会・進行役の確認、開会の挨拶とガイダンス |
セッションとインタラクティブの開始 | プレゼンテーションや講演の進行、インタラクティブな要素の運用、イベントの進行管理と時間配分 |
トラブルシューティング | サポート体制の確保、技術的な問題への対応 |
終了 | 終了の挨拶、アンケートやフィードバックの収集 |
本番の終了後は視聴者のフォローを行いましょう。イベントに参加できなかった人や再視聴したい人のためにアーカイブ映像を保存し、オンデマンドで配信します。
この際、配信時にアーカイブ動画を保存する機能があると便利でしょう。またライブやアーカイブの配信ログを確認し、配信数・視聴時間などのデータや視聴者のフィードバックをもとにして、次回のイベントに向けた施策を検討します。
以上、ハイブリッド開催のメリット・デメリットや、成功させるためのステップなどについて紹介しました。自社スタッフでできるやり方を詳しく知りたい方は「ハイブリッド配信 実践ガイド」をぜひご覧ください。
「ハイブリッド開催を実施したいけれど機材や人員の確保が大変」と考えている方は、ライブ配信サービスの利用を検討しましょう。当社のライブ配信サービス(ライブ配信代行)では、豊富な現場対応実績のあるスタッフが仕様策定から手配、撮影などトータルに対応し、高品質な配信環境を構築します。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。
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