生産性の検証は、動画活用による情報量やコストの変化をチェック
企業内情報共有では、コストや時間の制約から情報量不足が課題になるケースも多くあります。生産性の検証により、「各情報を動画化すべきか否か」が明確になり、効率的な情報量の増やし方が見えてきます。
例えば、全国の営業部門を対象にした製品デモンストレーションの場合を考えてみます。動画活用前は、講演者+担当者2名1組で2チームにわかれ国内10箇所で集合研修を開催していたが、これを本社でのデモンストレーションを収録し動画で共有する方法に変えたとします。動画活用の有無を比較した例が以下です。
動画活用前 | 動画活用後 | |
---|---|---|
運営体制 | 担当者2名×2チームで国内10箇所において集合研修を実施 | 本社実施分を収録し、動画で全社共有 |
共有完了までの期間 | 1ヶ月(2チームで分担) | 3日 |
必要スタッフ | 講演者(2名)+運営者(2名) | 講演者(1名)+動画担当(1名) |
金銭的コスト | ・10回分の担当者の出張費、交通費、機材搬送費、印刷費等 受講者の交通費(出張費) | ・担当者稼動分の金銭的コストが1回分で済む(本社内でスタッフがそろえば、出張費、交通費等は不要な場合も) ・受講者の交通費(出張費)が不要に |
時間的コスト | ・10回分の担当者の移動時間、準備・設営時間、各販社との打ち合わせ等 受講者の移動時間 | ・担当者稼動分の時間的コストが1回分で済む ・受講者の移動時間が不要に |
※上記は記入例であり、内容次第で結果は異なります
上記比較では、動画化したほうが少ない人数で金銭的にも時間的にもコストを抑えることができ、生産性が高いことがわかります。また、動画の場合は、一度収録すれば繰り返し視聴できるため、新しい拠点ができたり、中途入社向けに追加研修が必要な場合も、繰り返しコストが発生することがない点も大きな魅力です。
一方、内容次第では動画化しないほうが生産性が高い場合もあります。第1回では、「暗黙知」の共有には動画が向いていることをご説明しましたが、暗黙知だからといって、何でも動画化すればよいわけではありません。例えば、少人数向けに毎週行う勉強会であれば、動画化しない方が金銭的・時間的なコスト面から見て効率的ということもあります。
生産性の検証を通じて、動画活用有無による効果を比較しつつ、
・導入前と比較して情報共有量は増えたか?(例:勉強会○回)
・リーチできる人数は増えたか?(例:外部講演は参加者が限られていたが、動画化で共有人数が3倍増)
・コスト削減できたか?
・情報共有のスピード化は図れたか?
・共有できる情報の幅は拡がったか?(例:安全面で立ち入り制限があった製造工程を動画で広く共有可能に)
等の設定目標に沿った効果検証し、今後の動画活用度合いを決めていきます。生産性の検証を行う際の主な指標例は、以下の通りです。
指標 | 見る視点 |
---|---|
共有できた情報量 | 特定の期間内に実施できた研修や勉強会の回数 |
金銭的コスト | 1回あたりの準備・制作・配信にかかる金銭的コスト |
時間的コスト | 1回あたりの準備・制作・配信にかかる時間的コスト |
対象人数あたりのコスト | 金銭的コスト÷対象人数、時間的コスト÷対象人数 |
制作・運営体制のコスト比較を行い、より生産性の高い動画活用を模索
一定量の動画情報がアウトプットできた後は、動画の活用有無による比較だけでなく、制作体制や運営面などの見直しをはかることで、より生産性の高い動画活用の方法を探っていきましょう。
例えば、国内10箇所の研修会場で実施している計100名分のロールプレイング動画の撮影・共有を例に考えてみます。動画活用当初は、本社の担当者が10箇所の研修会場へ出向き計100名分を撮影していたため、10回分の出張費用が発生し、動画共有に1ヶ月かかっていたとします。
これを、各会場の研修担当者に撮影してもらう方法にすれば、出張旅費などの金銭的コスト、移動や準備時間といった時間的コストを削減することができます。上記のような場合は、撮影は各所にお願いする体制を整えたほうが、より生産性を高めることができます。
生産性の検証では、情報量だけでなくコストも重要な指標です。コストには金銭的コスト(出張費、交通費、機材搬送費、会場費、印刷費等)、時間的コスト(作業時間、講演時間、移動時間、設営・準備時間、制作時間、打ち合わせ等)があります。時間的コストについては、動画制作だけでなくアップロードやコンテンツ管理などにかかった時間も含めましょう。動画配信サーバーの選定や有料サービスを検討する際には、できるだけ運用時の作業が簡単に済むようなソリューションを意識して比較・検討するとよいと思います。
例えば、第4回でもご説明しましたように、動画配信プラットフォームサービス(OVP:Online Video Platform)も各社で機能や使い勝手は様々ですので、Web初心者でも簡単・直感的に操作できるようなものを選びましょう。この使いやすさ次第で、作業時間の短縮に大きく影響するからです。ちなみに、たびたびご紹介しています当社のOVP「J-Stream Equipmedia」は、一般企業の方が、手軽に動画活用できるようなコンセプトで開発されているため、シンプルで簡潔な管理画面になっており、実際にWebや動画活用にあまり詳しくないとおっしゃる企業ご担当者の方にも多くご利用いただいています。
以上、生産性の視点から見た効果検証をテーマに解説いたしましたが、導入初期の指標については、複雑にせずに、まずは「共有できた情報量」に絞るのがおすすめです。当社のお客様にうかがうと、動画活用開始数ヶ月から半年くらいは、動画による情報共有の基盤づくりの時期とし、その後、徐々に他の指標も視野に入れていくことが多いようです。
そのためにも、第3回でご紹介したように、撮影では、手軽に使うことのできる、家庭用カメラやスマートフォンなども活用し、生産性を上げるのは有効な手法だと思います。家庭用機材を用いて自社で撮影を行うことは、大手企業様を含め珍しいことではなくなってきていますし、その結果、多くの企業様が簡単・手軽・迅速に情報共有をして、新しい情報基盤づくりを進めています。
そして、もしも運営していく中で、「この場合はどうすればよいか?」判断に悩まれた時には、ぜひお気軽にJストリームにご相談ください。多くの実績に基づき、貴社の目的に沿った最適な画作りや見せ方、運営上の工夫などをご案内できると思います。運営上のお悩みが生じても素早く解決できるような体制作りは非常に重要ですので、そのためにも専門業者の技術面だけでなく、ノウハウや実績といった情報も十分に活用しましょう。
J-Stream Equipmediaでは、利用しやすい、わかりやすいといった情報の質の視点から「利便性」に関する効果検証について、解説していきます。