2024.02.28
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インターネット上の動画コンテンツが増え続ける中で、違法にダウンロード・アップロードされる問題も顕在化しています。そこでコンテンツの著作権を保護するために注目されている技術や管理方法が、今回ご紹介する「DRM(デジタル著作権管理)」です。
しかし、DRMの仕組みや得られる利点について、よく分からない方も多いでしょう。そこで本記事では、動画コンテンツの管理者が理解しておくべきDRMの代表的な種類や利点、導入方法などについて解説します。
DRMとは「Digital Rights Management」の頭文字を取ったもので、デジタル著作権管理技術と方法を意味します。DRMの概要について、次の2つのポイントから解説します。
DRMは動画などデジタルコンテンツの著作権を保護するための技術や管理方法を指し、日本語では「デジタル著作権管理」と呼ばれています。管理者の意図しない視聴やコピーを制限するために、動画・音声・電子書籍などのデジタルコンテンツの著作権を保護することが目的です。
スマートフォンの普及とともに動画コンテンツの数も急速に増加しました。しかし、デジタルコンテンツはコピーや配信が行いやすいことから、いわゆる「海賊版」の増加が大きな問題となっています。そこでコピーを制限するために、DRM技術が注目されています。
代表的なDRMの利用シーンはコンテンツビジネスです。例えば映画やアーティストの楽曲配信などしっかりとした版権管理が必要な場合に用いられます。
自社で重要性や機密性が高い動画コンテンツを公開する場合にも、DRMの利用を検討することがあるかもしれません。しかし、DRMの導入には一定のコストや手間がかかります。配信するコンテンツによっては、DRM以外も検討するとよいでしょう。
DRMの基本的な仕組みは次のとおりです。
DRMは動画コンテンツを「暗号化」、いわば「鍵」が掛かった状態にします。その鍵に関する情報がなければ、ユーザーは動画を視聴できません。つまり、DRMを活用することで動画を視聴できる条件を設定し、権利がないユーザーの視聴を防げるということです。
DRMには、主に次の3つの機能があります。
DRMを利用することで、コンテンツを暗号化、つまり鍵が掛った状態にできます。さまざまな視聴制限をかけることで、権利が無いユーザーのコンテンツの再生をできなくしたり、権利があるユーザーでも再生回数や視聴可能な期間を制限したりすることができます。
DRMがかかっていない動画配信では、様々な画面キャプチャツールや録画機能などで動画の一部を保存することができてしまいます。DRMを利用すると、デジタル出力を制御することでキャプチャや録画を制限することができます。
ストリーミング再生やダウンロード再生など、配信形式に関わらずDRMを使うことができます。特にダウンロード再生では、コンテンツファイル自体が端末に配布されるため、容易にコピーができてしまいます。DRMをかけることで、ダウンロード再生であっても、動画を保護することができます。
Jストリームでは、DRMの技術を用いたコンテンツ配信を提供します。DRMサービスの導入をご検討中の方はお問い合わせください。
DRMは各社から提供されていますが、ブラウザやデバイスごとに利用できる種類が異なります。DRMの代表的な種類には、以下の3つがあります。
以下に、それぞれについて解説していきます。
「Widevine」は、Google社が提供するDRMです。たとえばGoogle ChromeやFirefoxなどのブラウザ、Android系のスマホ端末やスマートTVなどで動作します。
「PlayReady」は、Microsoft社が提供するDRM技術です。Windows系の端末以外でも動作し、Windows Media Audio・AAC・HE-AAC・Windows Media Video・H.264などさまざまな形式の動画コンテンツに対応しています。
「FairPlay Streaming」は、Apple社が提供しているDRM技術で、たとえばApple iOSやsafariなどで利用でき、iPhone・iPad・iTunes・iTunes Storeなどに対応しています。
DRMを利用する際は、以下のようなことに注意しましょう。
DRMにはコストがかかります。サービスによって利用体系は異なりますが、例えば「鍵」の数だけ費用が発生する料金体系もあります。動画の配信数が増えるほどコストがかかる傾向にあります。
また、前述したようにDRMは、配信するデバイス・ブラウザに合わせて暗号化を行う必要があるため、コストのみならず手間もかかります。DRMの利用時はこれらの点について考慮し、導入効果とコスト・手間のバランスを検討することが大切です。
DRMの導入は著作権保護の観点から有効な手法ですが、すべてのコンテンツに適用するのはコストや手間がかかります。高度なセキュリティ対応が不要な場合や、あまりコストをかけられない場合などは、以下のような方法も活用されています。
「IP制限」は、あらかじめ指定されたIPアドレスのもとでのみ、動画の視聴を許可する技術です。IPアドレスとは、インターネット上の住所のようなもので、接続元の識別子となります。例えば企業内のeラーニングや、機密情報を扱う動画の配信時などにIP制限が活用されています。
「ドメイン制限」は、指定されたドメイン以外からの動画視聴を禁止する技術です。ドメインもIPアドレスと同じくインターネット上の住所ですが、ドメインは接続先の住所を示します。
ドメイン制限では、動画再生のプレイヤーが指定されたドメインのWebサイトになければ、動画を視聴できません。そのため、外部サイトに動画を転載されるなど、意図しない拡散を防げます。
「暗号化配信」は、動画データを暗号化して、そのままでは視聴できないようにする技術です。動画を復元するための「復号化キー」がなければ視聴ができないため、容易なコピーを防ぐことができます。
「ワンタイムURL」は、ユーザーが動画を視聴する際に、一定時間だけ有効なURLを生成する技術です。時間が過ぎるとURLは無効となり視聴ができなくなるので、意図しないアクセスや拡散を防止できます。
「パスワード設定」は、動画再生時にパスワードの入力を求める技術です。特定のユーザーのみにパスワードを公開することで、それ以外のユーザーからのアクセスを防げます。
こうしたビジネス用途の動画配信でよく用いられるセキュリティ機能は、企業向けの動画配信プラットフォームにあらかじめ備わっていることが多いでしょう。
当社の法人向け動画共有・配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia(EQ)」でも各種セキュリティ機能を備えています。
DRM(デジタル著作権管理)は、動画などのデジタルコンテンツの著作権を保護するための技術や管理方法です。DRM技術を導入することで、動画の保存やコピーを制限することができるため、意図せぬ拡散を防げます。ただし、DRMは高いセキュリティレベルを実現できますが、コストや手間がかかります。
動画配信で用いられるセキュリティの種類はさまざまにあります。「どこまでのセキュリティレベルが必要か」と「コストや作業負荷」とのバランスで考え、自社の用途に合う方法を選択しましょう。
Jストリームでは、DRMの技術を用いたコンテンツ配信や、ストリーミング配信と動画へのセキュリティ機能(動画プレイヤーや動画サーバー側でのセキュリティ対策)に加えて、会員認証の仕組みを提供しています。自社のコンテンツの安全性を高めたいという方は、ぜひJストリームのサービスをご活用ください。
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