2020.03.30
J-Stream Equipmedia
インターナルコミュニケーション
企業の多くは、自社の業務内容や魅力を伝えるためのさまざまな広報資料を発行しています。主に社員に向けて、社内のトピックやお知らせなどを掲載している社内報もそのひとつです。最近は、社員同士で気軽に情報交換することができますが、現在も多くの企業が社内報を発行し、社内広報やコミュニケーションのツールとして重視しています。
ポイントを押さえた内容にすることで、社員はもちろんその家族に対しても、自社の社風や状況をわかりやすく伝えることができるのが社内報の利点です。今回は、社内報の作り方と読まれやすく伝わりやすくするためのポイントについて考えてみましょう。
《 目次 》
社内報は、社員と社員の家族を読者として想定した社内広報用の媒体です。紙面だけではなく、Webサイト(イントラネット)に画像・テキスト、さらには動画で掲載されることも多くなってきています。内容は、その時期の社内の最新トピックが中心となることが多く、他にも社長のあいさつや商品開発者のインタビュー、新人紹介などの人物を切り口とした読み物、新製品や社内レクリエーションの告知、人事・経理関係の社内の動きといった情報です。
一般財団法人「経済広報センター」は、3年ごとに同センターならびに経団連の主要会員企業を対象に、『企業の広報活動に関する意識実態調査』を実施しています。213社が回答した2017年の調査によると、社内広報用のツールとして最も多く使われているのが「社内報(紙・誌)」(89.7%)で、それに迫る勢いで「イントラネット(社内ネットワーク)」(85.4%)が続きます。
なお、社内報が広報ツールとして使われている割合は2011年の調査からほとんど変わっていません。このことから、情報共有の手段が多様化した現代においても、依然として社内報が高い利用価値を保っていることが読み取れます。それだけ社内報を発行することでプラスの効果が得られると考えている企業が多いともいえるでしょう。
実際のところ社内報は、ただ社員に情報を伝えるだけではなく、さまざまな重要な役割を担っています。例えば、社長の言葉を社内報で伝えることで、経営理念や将来のビジョンを社員に周知し浸透させることができます。掲載されたトピックが職場で話題になり、社内コミュニケーションが活性化することも、社内報がもたらす効果のひとつです。社員の家族に、その社員の会社での働きぶりや職場の様子を知ってもらうきっかけにもなるでしょう。
さらに、社内報にメッセージを込めれば、社員のモチベーションや意識を向上させ、個々の社員が主体的に行動するような企業文化を醸成することも可能かもしれません。
では、実際に社内報を作る際には、どのように制作を進めていけばいいのでしょうか。制作行程の細かい部分は企業によって異なりますが、大体の流れは共通しています。基本的な手順を見ていきましょう。
社内報制作の第一歩は、企画の立案です。まずその号の特集のテーマを決めた後、特集以外のコーナーについても内容を考えていきます。定期刊行の社内報の場合、あらかじめ1年間分の各号の特集などの企画内容を、大まかに決めてしまうケースが一般的です。
特集のテーマは、4月号であれば新入社員の紹介、1月号であれば経営トップが年頭所感を語るメッセージというように、時期に合わせた内容にしましょう。
次に、制作進行のスケジュールを決めてスケジュール表を作成します。最初にスタート日と発行日、校了日を決めてスケジュール表に記入し、編集会議や原稿締め切り、取材日、写真撮影、デザイン制作、校正といった細かい予定を加えていきます。
企画立案と同様に、年に1度、節目のタイミングで、各号の発行時期に合わせて年間スケジュールを設定するのが一般的です。
企画内容に応じて、社員への原稿執筆依頼、社内レクリエーションや研修の取材、経営陣へのインタビュー、写真撮影、取材記事の原稿執筆、収集した原稿の編集などを行います。
原稿、写真などの素材が揃ってきたら、デザイン制作に入ります。デザイン自体は、外部の制作会社のデザイナーなどに発注するのが一般的です。デザイナーに依頼するときには、掲載する要素とビジュアルイメージを手描きしたサムネイルを見せて希望を伝えましょう。
社内報が形になってきたら文章や写真、図表など表現内容に誤りがないかをチェックする校正作業も、重要なプロセスです。社内報では、特に、人物名や役職、企業・団体名、商品名や伝え方が間違っていないかを、念入りにチェックしましょう。デザインやレイアウトについても、修正したい箇所があればデザインを請け負っている制作会社に指示します。
最初の校正を「初校」と呼びますが、初校で指示した文字やレイアウトの修正が終わったら、修正が指示通りに反映されているかを確認する「再校」を行います。その後、印刷の前に試し刷りをして発色などをチェックする「色校正」という工程もあります。
校正作業がすべて終了したら、紙媒体の社内報なら印刷会社にデザインデータを渡して印刷を発注します。納品日に印刷・製本された社内報が届いたら、各部署に社内報を配布しましょう。自社サイトに社内報のWeb版を公開している場合は、Webにデータをアップロードする作業も必要となります。
先述の通り、社内報を発行すると、社内コミュニケーションの活性化や社員のモチベーション向上といった効果が期待できます。といっても、できあがった社内報を読んでもらえなければ、それらの効果も生まれません。多くの社員が毎号楽しみにしてくれるような社内報にするためには、より伝わりやすく読みやすくなるよう、記事の内容はもちろん、見せ方にもこだわることが重要です。次に、社内報の内容をより伝わりやすくするためのポイントを紹介します。
特集などの記事を企画する際には、社内報で公開することで、読者である社員やその家族に何を伝えたいのか、どんな影響を与えたいのか、狙いを明確にする必要があります。そうすることで、記事の焦点が絞られ、より伝わりやすく心に響く記事になります。
例えば、各部署がどんな業務や取り組みをしているか紹介する記事の企画があるとします。個々の社員に他部署への理解を深めてもらって、部署の垣根を越えた社員のコミュニケーションを活性化させることを狙いにするといいでしょう。
めざましい活躍をした社員へのインタビュー記事なら、その社員の仕事にかける想いや情熱を伝えます。社内報で公開することにより、他の社員に伝え「私も頑張ろう」と意識やモチベーションを高めてもらうという企画意図が考えられます。
現代社会には、テレビのニュースやWebコラム、SNSの投稿など、膨大な情報が溢れています。そのなかで社員に社内報を進んで手に取って読んでもらうコツは、社内報でしか読めない情報を数多く盛り込むことです。
先輩社員による仕事術のアドバイス、社員のプライベートでの素顔、社員食堂のメニュー開発秘話、業界トリビアなど。その会社の社員なら思わず読みたくなるようなネタを選んで、読者目線を大切にしながら取材・執筆しましょう。
特に気をつけたいのが、読みやすさ、見やすさを意識したデザインにすること。どんなに内容が深く感動的なインタビュー記事でも、文字量が多く、フォントが小さすぎると、忙しい社員には読んでもらえず、せっかくの内容が伝わらない可能性があります。
行間やスペースを適度に空けて、読みやすい文字量、文字の大きさになるよう工夫しましょう。文字情報ばかりになると見にくいので、適度に写真やイラスト、動画などを配置することもポイントです。デザインは、読者である社員やその家族を意識した親しみやすいテイストに仕上げることが大切です。
今、さまざまな業界で、社内コミュニケーションにつながるひとつの手段として、社内報への注目が集まっています。社内報には、家族に見せやすく社外にもアピールしやすいというメリットがありますが、最近では「いつでも」「どこでも」空いた時間でみることのできるWeb社内報を発行する企業も増えています。
社内ネットワークやスマートフォンなどのデバイスの普及に伴い、動画を中心とした新しい形の社内報も登場しています。動画は、被写体の表情や人柄、現場の様子などをよりリアルに伝えることができるので、社内報で発信したい内容によっては、動画が適していることもあります。社内報を発行する目的やコンセプトを決定した上で、最適な媒体・ツールを探って、社内コミュニケーション活性化のために素敵な社内報を制作してください。
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