連載:企業内情報共有の新しい仕組みづくり
動画の活用で、企業内情報共有の幅を拡げる|第1回

2014.08.21

動画企画制作

社内動画配信

支社、営業所などの拠点数や部門数が増えるにつれて、重要度が増す企業内での情報共有ですが、メールや文書中心だった既存の方法に加え、「よりわかりやすく」「より便利な」共有手段として、動画の活用が拡がりつつあります。

本連載では、自社の情報共有活動に関わっている方を対象に、企業内での情報共有に動画を加えることのメリットと具体的な方法論を全6回で解説します。
第1回では、企業内情報共有における動画活用事例と、動画が有効な理由についてご紹介します。

活用事例:勉強会、ロールプレイング、製品の動きなどを収録し、全社共有

動画の特長は、音や動き、表情などを時間軸にそってそのまま伝えられることです。企業内での情報共有に動画を活用することにより、ノウハウや使い方、実際の動きなどもフェイス・トゥ・フェイスの場合と同様に伝達・把握することができます。

北海道から九州まで全国で携帯ショップを運営するITX株式会社様では、商品説明や接客ロールプレイングを動画化し、社内SNSで共有しています。

販売員が正しく商品を理解するには、正確で詳細な説明が必要になります。また、接客時に話す内容はトークスクリプトで把握できますが、スムーズな会話運びや接客態度まではイメージしきれません。そこで、同社では、店舗ごとに勉強会やロールプレイング研修を積極的に行ってきました。

しかし、全国に拠点があり、かつ勤務体系がシフト制のサービス企業では、勉強会や研修を開催しても参加できる人数が限られてしまうという課題がありました。そこで、商品説明や接客ロールプレイングの様子をそのまま動画収録し、社内限定で共有することにより、販売員が現場を具体的にイメージしやすく、かつ、わかりやすい情報を勤務地や勤務時間に関係なく視聴できるようになりました。

同社では、勉強会やロールプレイング研修だけでなく、日常的にも各店舗のスタッフが商品説明・サービスのセールストークをiPhone等の携帯端末やタブレット端末で撮影し社内SNSで共有しており、全国の1500人の社員が日々視聴することで、販売力強化に繋げています。

ITX様での社内SNS上での動画活用の様子


また、国内・海外に多くの拠点を持つ大手機械メーカーA社様では、訪問前の想定ロールプレイングを動画化し、販社・営業担当者間で共有しています。営業活動において最も重要な要素のひとつである課題ヒアリングについて、質問例や提案の話法などを実際に行い収録することで、適切な会話運びやスピード、間合いなど、文字や画像では表現しにくいノウハウも国内外の拠点間で具体的に共有できるようになりました。

大手物流企業B社様では、全国各地で開催している業界動向やサービスに関する講演会の様子を収録し、全国の営業担当者向けに共有しています。講演会では、サービスに関連するデモンストレーションや比較テストなども行われますが、業務スケジュールや地理的制約から講演会当日に会場へ足を運べる人数は限られていました。講演の様子をそのまま動画で共有することにより、全国の販売員が講演内容やデモンストレーションの様子を正確にキャッチアップ可能となりました。

技術メーカーC社様では、各製品のデモンストレーション動画や機械内部の解説動画を制作し、営業ツールとして共有しています。デモンストレーションの実施には、機材や場所の確保、デモンストレーターを都度確保する必要があり手間と時間を要します。しかし、デモンストレーションを収録し動画で共有すれば、全営業担当者が時間や場所に左右されずに見ることができます。また、通常では見ることができない機械内部の様子も、CGを用いて動画化することにより簡単に全社共有できるようにしました。動画の活用により、自社の強みである高い技術力について細かな動き、違いまで詳細に把握可能になりました。

企業内情報共有の必須条件「形式知」と「暗黙知」

企業内での情報共有には、文章や図、数式などによって文書で表現可能な「形式知」と、文章などでは表現しにくい「暗黙知」があり、2つはともに必要不可欠な存在です。例えば、一口に「商品・製品情報」や「商談・接客スキル」と言っても、内容により形式知と暗黙知にわかれます(図1)。

【図1】企業内での情報共有における形式知と暗黙知の分類例

共有したい項目 形式知に該当する内容 暗黙知に該当する内容
商品・製品情報 商品の仕様、特長、スペック、競合との比較情報など 複雑な内容の順序だてた説明、ポイントの強弱をつけた説明など
商品・サービスのデモンストレーション 手順マニュアル、数値情報、特徴的な部分の画像など 実際のデモンストレーション時の動きや音、一連の流れなど
商談・接客スキル トークスクリプト、キーワード・キーとなる質問、大まかな流れなど 表情、声の抑揚、会話のテンポなど

「形式知」と「暗黙知」では、それぞれ最適な共有方法が異なります。例えば、売れている営業担当者のトークスクリプトを文書で共有すれば、話すべき要素については把握可能です。しかし、それだけで他の営業担当も同じようにトークできるとは限りません。会話ではスクリプトのほかに、話すテンポや間合い、表情といった「暗黙知」も重要な要素だからです。

テンポや間合いといった「暗黙知」に該当する内容は、文書共有では漠然とした表現にとどまり、かつ資料枚数も膨大になってしまいます。そのため、資料は文書で共有するものの、依然として拠点ごとに研修や勉強会を開催するケースが多くあります。しかし、動画を活用することによって、拠点ごとにたびたび研修会を開催しなくとも、全社での情報共有が可能になります。

ノウハウ、使い方、動きといった情報共有には、動画が向いている

2012年4月時点の調査結果ですが、株式会社デジタル・ナレッジが全国の管理職以上の社会人を対象に企業における動画活用に関する調査を実施しています(有効回答数300名)。企業としてネット動画をすでに活用している割合は、9.3%でしたが、活用者の82.2%が動画活用は「効果があった」と回答しました。

また、「インターネット動画配信を現在行っている」と「今後行うことを検討している」と回答した人に、どのような知識・情報共有に動画を利用しているか・したいかの自由記述してもらったところ、商品・サービス紹介や業務知識・マニュアル、社員教育などで以下のような回答がありました。

(インターネット動画配信を現在行っている回答者)

■商品・サービス紹介・・・・新商品のノウハウ、商品紹介、紹介、PR

■業務知識・マニュアル・・・仕事の流れを簡単に説明したもの、業務知識の共有、仕事のやり方、
技術セミナー講演の際の様子を配信

■社員教育・・・・・・・・・様々な教育用動画、若手社員教育、
社内のセキュリティについての知識及びテスト

(インターネット動画配信を今後行うことを検討している回答者)

■業務知識・技能の伝達・・・文章では表しにくい技能的な伝達、
適切な工具の使い方、機械の組み立て手順等、
現場ノウハウの伝承、業務知識教育、業務の標準化、人によるバラツキの削減、属人知識のオープン化

■社内ナレッジ共有・・・・・海外拠点とのナレッジ共有、標準的な共通課題、情報共有化に活用したい

■社員教育・・・・・・・・・新入社員が円滑に研修を受けられることを目指す、支店での社員教育

2012年5月発行 株式会社デジタル・ナレッジ
「企業における動画活用及びインターネット動画配信利用に関する意識調査報告書」より一部抜粋・引用
http://www.digital-knowledge.co.jp/corporate/laboratory/e_report.html

もし、貴社での情報共有で下記のような課題を抱えているとしたら、その伝えたい情報は「暗黙知」なのかもしれません。
■文書による説明だけでは、情報量が膨大になってしまう
■複雑な内容なので、ポイントとなる点では口頭で解説したい
■ロールモデルをできるだけ正確に共有したい
■デモンストレーションを共有したい
■製品の実際の動きや特徴を具体的にイメージしてもらいたい

「暗黙知」の共有には動画が向いています。今まで伝えたくても実現できなかった貴社の「暗黙知」についても情報共有の幅が拡がる動画活用を検討してみてはいかがでしょうか。

※第1回では、企業内情報共有における動画活用事例と、動画が有効な理由についてご紹介しました。第2回では、同利用シーンにおける動画企画や制作のポイントについて解説します。

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