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2014.07.04

高精細な動画エンコードのためにおさえておきたい5つのポイント【後編】

前編では、
【ポイント1】フレームサイズに適したビットレートを把握する
【ポイント2】動き重視ならフレームレートを上げ、画質重視ならフレームレートを下げる
【ポイント3】動きの多い映像はキーフレームを短い間隔で入れる
について解説しました。後編では、早速、残り2つのポイントについてご紹介していきましょう。

ポイント4低ビットレート化に向くCBR、動きにあわせてビットレート変動させるVBR

ここでは、映像の時間軸にそって柔軟にビットレートを割り振ることで高精細化させる設定と、そのメリット・デメリットについてご説明します。取り上げるのは以下の2つです。

  • ・CBRとVBRの違い
  • ・1パスエンコードと2パスエンコードの違い

CBRとVBRの違い


CBRとVBRには、「(1コンテンツ内での)変化に応じてビットレートを変動させるか否か」というエンコード方法の違いがあります。CBR(Constant Bit Rate・固定ビットレート)は常に一定のビットレートでエンコードする方法、VBR(Variable Bit Rate・可変ビットレート)は動画の内容によって、動きの激しいところはビットレートを高く、動きが少なければビットレートを低く変動させる方法です(図1)。それぞれの特徴は以下の通りです。

【図1】CBRとVBRのイメージ図

【図1】CBRとVBRのイメージ図

CBRとVBRの特徴比較

2パスエンコードと1パスエンコードの違い

エンコーディングの設定には、エンコード対象となる映像を解析したうえでその映像にあった最適なデータ圧縮を行う「2パスエンコード」と、映像解析をせずにエンコードを始める「1パスエンコード」の2種類があります。どちらを選ぶかは目的と映像素材次第で異なります。

2パスエンコードと1パスエンコードの特徴比較

 

 

 メリットデメリット向いている映像CBR
(固定ビットレート)・ビットレートが一定なため、安定して視聴することができる(ライブ中継などにも有効)
・ビットレートが一定のため、ファイルサイズが算出しやすい
・設定以上のビットレートが必要なシーンで、ビットレート不足になる可能性がある
・低ビットレートで構わないシーンでも、必要以上にビットレートを使ってしまい非効率に思えることも・講演会や研修
・セミナーなど動きが少ない映像の低ビットレート化に向いているVBR
(可変ビットレート)・動きの激しいシーンと少ないシーンで、それぞれ効率よくビットレート配分できる
・限られたファイル容量で、最大限高精細化を図ることができる・高ビットレートのシーンでアクセス集中した場合、予想外にネットワークを圧迫する可能性がある・CM映像
・プロモーション映像
・動きの激しい映像
・有料コンテンツなど

メリット デメリット 向いている映像
2パスエンコード ・高精細な動画ファイルを効率的に圧縮できる ・エンコードにかかる時間が長い(1パスエンコードの約2倍)
・エンコード容量が、都度前後する
・CM映像
・プロモーション映像
・動きの激しい映像
・有料コンテンツなど
1パスエンコード ・2パスエンコードに比べて、エンコードにかかる時間が短い ・必要以上に高いビットレートを設定してしまう可能性がある
・ビットレート不足の場合に、部分的なノイズ発生が生じることがある
・即公開したいコンテンツ
・講演会、セミナーなど動きの少ない映像

「映像が縦長」「縞シマノイズ」防止では、映像規格の確認を

以下の画像のような動画をご覧になったことはないでしょうか。

1)縦長、横長な映像になってしまうなど比率がおかしい

resource_encode_201407_2

2)縞模様のノイズが入り映像がちらついている

resource_encode_201407_3

これらは、映像信号の規格がテレビとパソコンでは異なるため発生する現象です。そのため、テレビ用に作成した映像を二次利用してネット配信する場合には注意が必要です。

1)の原因は、ピクセルアスペクト比の違いです。ピクセルアスペクト比とは、画素の最小単位であるピクセルの比率のことです。動画の世界ではこの比率が複数あり、パソコンの場合1:1と正方形なのに対し、日本のテレビなどで使われているNTSC方式の4:3の場合は10:11、16:9の場合は40:33となっています(図2)。

【図2】ピクセルアスペクト比の違い

resource_encode_201407_4

そのため、NTSC方式の映像をピクセルアスペクト比未設定のままエンコードすると、パソコンで表示した際に被写体が微妙に縦長や横長な不自然な映像になってしまいます。エンコード時に、元素材のアスペクト比を正確に設定することで上記問題は解決します(以下画像参照)

1)の映像を正しい比率にしたもの

2)については、テレビやビデオ信号に使われているインターレースが原因で発生するものです。インターレースとは、1/30秒の1フレームを飛び飛びの2枚の画像(この画像のことをフィールドと言います)にわけて表示する技術です。フィールドは、1/60秒ずつトップ(奇数)フィールドとボトム(偶数)フィールドという順番で記録されていきます(図3-1)。インターレース方式では、1秒間に30枚の完全な画像ではなく60枚のフィールドと呼ばれる画像を表示することで、データ量を増やさずに映像をより滑らかに見せることが可能となります。現行のデジタル放送、デジタルカメラなども多くはインターレース方式で撮影しています。

【図3-1】ノンインターレース方式とインターレース方式(イメージ図)

■ノンインターレース方式(1フレームを1枚の画像で表示)

resource_encode_201407_6

■インターレース方式(1フレームを飛び飛びの2枚の画像にわけて表示)

resource_encode_201407_7

テレビではトップフィールドとボトムフィールドを順番に再生していますが、パソコンではテレビの表示形式と異なるため、一部端末を除き縞シマに見えてしまう場合があります。そこで、インターレースの映像素材に対しては、エンコード時にインターレース解除の設定を行います。これにより、1/60秒ごとに記録されたトップとボトムのフィールドは1/30秒の1枚のフレームに合成処理されます(図3-2)。

【図3-2】インターレース解除のイメージ図resource_encode_201407_8

この解除方法は、ソフトにより設定できる内容が異なり、初心者にも簡単にできる自動処理(つまり、おまかせコース)や、映画・アニメなどのいわゆるフィルム素材をエンコードするのに適した「逆テレシネ」という機能等々あります。ここでは主流な設定を2つあげておきます。


二重化 : 2枚のフィールドを合成して、インターレースの縞シマをぼかすことでノイズを減らす。猛スピードで走る車の映像のように1/60秒単位というわずかな時間でも大きく動きがあるようなシーンでは残像感が生じやすいが、文字やグラフなどの情報をきちんと見せたい場合に適している。講演やセミナーなどに向いている

トップorボトム(奇数or偶数) : 60フィールドを合成せずに、トップフィールドまたはボトムフィールドのどちらかのみを使う方法。二重化で行うノイズをぼかす工程がない分、シャープな画質になる。ただし、飛び飛びになったフィールドを使う方法のため、曲線、斜線などの再現に弱い。インターレースの境目にあった細い線がつぶれたり、一部消えたりする現象が起こることがある。カーレースなど動きの激しいものに適しており、逆に細かなグラフや文字情報をきちんと見せたい講演やセミナーには不向き

なお、ノンインターレースの映像素材に解除設定を適用すると、エンコード時に画質劣化の原因となります。画質劣化したエンコードファイルは元素材同様には復元できないため、失敗した場合は再エンコードとなります。そのような事態を防ぐため、エンコード前に素材自体やプレビュー画面で内容をよく確認する必要があります。

細かな職人技は他にも多々あるのですが、前編・後編にわけてよく使われる「高精細な動画エンコードのためにおさえておきたいポイント」を5つご紹介しました。映像の特徴、想定ターゲット、動画で伝えたい目的などにより、最適な設定項目が異なってきますので、用途に応じて設定項目を選んでみてください。

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高精細な動画エンコードのためにおさえておきたい5つのポイント【前編】
動画配信に必要なコーデックの基礎知識【動画コーデック解説コラム・前編】
最適な動画コーデック選択のための3つの視点【動画コーデック解説コラム・後編】

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