2025.03.18
様々なオンラインイベントが開催されるなか「企業や団体が日本国内で開催するイベントをリアルタイムで海外向けに配信する」「企業や団体が海外で開催するイベントをリアルタイムに日本向けに配信する」といった海外⇔日本間での配信も一般的になりつつあり、当社(Jストリーム)に配信対応をご依頼いただくこともあります。
海外⇔日本間での配信ではいくつかの方法があり、リアルタイム性を重視する場合、Web会議ツールを用いることもあるでしょう。しかしWeb会議ツールでは映像品質が不十分な場合もあります。そこで本記事では海外⇔日本間での配信について、SRTと呼ばれる配信規格を用いた高品質かつリアルタイムでの映像伝送について解説をおこないます。
Web会議ツールを用いた配信の場合、「映像の画質が低く内容が十分伝わらない」「ブロックノイズ(四角いブロック状のノイズ)が生じて視聴の妨げになる」といったことが起きる場合があります。
映像伝送の品質は、視聴者の満足度を大きく左右します。また、遅延の少ないリアルタイムでの映像伝送はイベント演出の可能性を広げてくれるでしょう。
映像伝送の品質は、視聴者の満足度を大きく左右します。低品質な映像は視聴者にストレスを与え、イベントの評価を下げる可能性があります。逆に、高品質な映像は視聴者のエンゲージメントを高め、イベントの成功に貢献します。情報の理解のしやすさはもちろん、企業のブランドイメージや信頼性を高めるためにも映像の品質は重要です。
リアルタイムでの映像伝送は、イベントの臨場感を高めるために欠かせません。遅延が少ないことで、視聴者はまるでその場にいるかのような体験を得ることができます。特に、チャットやアンケートを通じたリアルタイムのフィードバックが可能になることで、イベントのインタラクティブ性が向上します。
品質や遅延といった、海外⇔日本間の映像伝送の課題を解決してくれるのが「SRT」です。
SRTは、2014年にカナダのHaivision社が発表した、オープンソース化された次世代映像転送プロトコルです。SRTの特長は、UDPをベースに低遅延を実現しながらも高映像品質の両方を実現できる点にあり、ライブ中継やリアルタイム性を重視する動画視聴シーンで特に注目されています。
Jストリームは、SRTの普及推進を目的にHaivision社が2017年に設立した「SRT Alliance」メンバーとして加盟しており、次世代の動画配信の研究開発を進めています。
例えばストリーミング配信(HLS)を用いた場合、高品質な配信は可能ですが、その仕組みの特性上10秒~30秒程度の遅延が生じます。SRTなら、高品質でありながら1秒前後※1といった低遅延での配信が可能です。
※1 いずれも日本国内での配信の場合。日本―海外間ではSRTの遅延は当社実績では2~3秒程度が最も安定的に配信できる。
インターネット動画配信にはSRT以外にも様々な規格があります。それぞれ特徴をふまえた用途を中心に活用されています。
以下に主なものを紹介します。
規格名 | 遅延(日本国内での配信) | 映像品質 | 配信形式 | 接続方式 | 主な用途 |
SRT | 1秒前後※2 | 高(エンコーダーで指定) | 片方向(1対1)※3 | SRTが利用できるハードまたはソフト | スポーツ中継、遠隔制作、企業向け配信 |
SIP | 1秒未満 | 高(エンコーダーで指定) | 片方向(1対1) | ハードウェア限定 | 安定した大規模配信向け |
HLS | 10~30秒 | 高(エンコーダーで指定) | 片方向(1対多) | Webブラウザでプレーヤー視聴 | 安定した大規模配信向け |
WebRTC | 100~500ms※4 | 低(サーバーで自動制御) | 双方向(多対多) | Webブラウザまたはアプリ視聴 | ビデオ会議・Web会議、双方向コミュニケーション |
RTMP | 2~5秒 | 高(エンコーダーで指定) | 片方向(1対多) | Webブラウザでプレーヤー視聴 | SNS・ストリーミングサービス(YouTube Liveなど) |
※2 日本―海外間では当社実績値では2~3秒程度のバッファを設けることで安定した配信が可能
※3 SRTは基本的に一方向の映像伝送を想定した規格だが、双方向(1対1)も可能
※4 ms(milli second) は時間の単位で「ミリ秒」の表記
JストリームはSRTに加え、様々なインターネット動画配信規格や技術に対応しています。お客様が実現したいイベントに対し、最適な技術や専門スタッフを組み合わせて対応します。
配信構成と実施の流れについて説明します。
下記はSRTをメイン配信、万が一のバックアップにWebRTCを用いる場合の配信構成です。
海外⇔日本間はAWSなど、クラウド上に構築したHaivision SRT Gateway(Haivision社が提供するライブストリーミングのルーティングシステム)を用いることで、より安定的に遅延なく伝送が可能になります。各配信拠点では、各所に応じたプラットフォームに対してストリーミング配信をすることで、安定的に多くに方に視聴いただけるようになります。
配信拠点にはそれぞれエンコーダーやスイッチャー、配信担当の技術者などが必要となります。
下記は、はじめて実施する場合の流れです。
当社でお受けする場合、海外の配信技術者はお客様が現地の専門会社をアサインされるケースが多いです。日本から技術者を派遣する場合、渡航や滞在にコストがかかりますが、現地手配であれば不要となります。
しっかりと仕様を関係者で認識し、事前の配信テストを経て配信本番を行うことが重要です。初めての拠点間での配信の場合、2カ月以上の余裕を持って開始することをお勧めします。
海外⇔日本間での高品質かつリアルタイム伝送は、イベント企画者にとって押さえておきたい方法の一つといえるでしょう。Web会議ツールではなく、「SRT」を使うことで、遅延の少ない高品質な映像配信が可能となり、視聴者の満足度を高めることができます。
Jストリームは、1997年に、世界で初めてのインターネットを使った本格的な動画配信専門会社として誕生しました。圧倒的な実績を持つ動画配信・ライブ配信のプロフェッショナルチームがおり、豊富な経験を兼ね備えたスタッフが企画段階からサポートします。
海外⇔日本間での高品質&リアルタイムでの映像伝送をご検討のご担当者様は、Jストリームにお問い合わせください。
本記事は、株式会社Jストリーム プラットフォーム本部 ライブプロデュース部が監修をおこないました。
株式会社Jストリームは動画配信の先端企業として、提供したい情報にあわせたコンテンツの企画制作やウェブサイト構築・運用、あらゆる端末に対応した高品質で安定した配信サービスまでをワンストップで提供しています。詳しくは企業情報をご覧ください。
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