動画制作のプロが教える、スマホを使った撮影内製化の5つのポイント

2016.11.10

J-Stream Equipmedia

動画企画制作

動画内製化

動画の分かりやすさ、記憶定着率の高さ、感情に訴えかける力などに期待してもっと活用したいのに、これ以上外注して制作する予算はないという企業のご担当者に是非知っておいていただきたいのがスマートフォン(以下スマホ)での撮影の内製化です。

スマホのカメラは近年高画質化が著しく、4K撮影対応も珍しくなくなっています。一般の方が作る動画はもちろんプロの映画製作にも使われており、大ヒットとなった映画『シン・ゴジラ』では、監督自らiPhoneで撮影した素材が冒頭のカットに使われています。

スマホで誰でも簡単に撮影ができる時代になったとはいえ、ビジネスでも使える動画を作るにはいくつかのコツが必要です。そこで今回はスマホでの「撮影」に絞って、ビジネスクオリティの動画を撮影するための5つのポイントをご紹介します。特に動画を内製する際の必須事項である、「誰にでも簡単にできる」「時間がかかり過ぎない」という視点で解説していきます。

1.横か縦かスマホの構え方は事前に決める

電話やメール、インターネットとスマホは普段縦持ちで使い慣れているため、ついつい撮影時にも縦で構えてしまいがちです。しかし、動画撮影の場合は、視聴者がどのようなデバイスで見るのかを考えて持ち方を決める必要があります。

一般的には、横持ちでの撮影が主流です。YouTubeなどの動画サイトやテレビでも、16:9の画面比率が基本のフォーマットとなっています。スマホを横持ちで撮影すると16:9の映像として記録されるので、その後の編集・公開においても汎用性が高くなります。
ただし、視聴者がスマホで動画を見る場合、普段縦持ちで操作していることが多いため、横に傾けなくても動画を再生できるように縦型やスクエア型の動画も増えています。そのため、日頃動画をスマホで視聴している人をメインターゲットにするのであれば、縦持ちで撮影してもいいでしょう。

以下に、視聴デバイス別に撮影時のスマホの構え方をまとめました。

視聴デバイススマホの構え方
PC基本は横持ち、16:9。ただし、動画内容によっては縦型も検討。
例)ファッション系で全身を縦に大きく映したい場合など。
スマホ基本は横持ち、16:9。メインターゲットがスマホ視聴者の場合は縦持ち、縦型もしくはスクエア型も検討。
TV横持ち、16:9。
プロジェクター横持ち。比率については投影するスクリーンのサイズなどを確認して決定。
デジタルサイネージ配信対象のサイネージの仕様を確認して構え方を決定。

ちなみに、iPhoneをはじめ多くの機種では、横持ちする際にホームボタンが右側に来るように持つのが正しい向きです。向きを間違えると、撮影した動画を公開した際、上下が逆に再生されます。

2.ブレを抑える

撮影中はそこまで気にならなくても、PCなど大きい画面で見ると気になるのがブレです。短い尺では気にならないようなブレでも、長く見続けると不快な印象を抱くこともあります。
以下に、ブレを軽減する方法をまとめました。

三脚を使う

三脚を使えば手ブレの心配は要りません。特に長尺の撮影ではぜひ利用したいツールです。一人で自分を撮る時にも役立ちますし、画面を左右や上下に動かしながら撮影できるなど撮影方法の幅も広がります。また、撮影者がスマホに付きっきりになる必要が無いため、カンペで演者に指示を出したり、演者の服装を直したりできるなど、撮影現場をスムーズに運営できるようになります。

一脚を使う

一脚は混雑していて三脚を広げるほどスペースがないような場所や、機動性が求められる場合に最適です。高さを固定できるので上下のブレなどが軽減でき、撮影に集中できます。三脚としても使えるタイプの一脚もあります。

その他のツールを使う

机の上で使うのに便利な小型の三脚や、どこにでも固定できるタイプの三脚もあります。また、身近なところでは、自撮り棒を使うことにより手持ちに比べてブレの軽減ができ、高いところからの撮影などにも対応できます。

手持ちでしっかり構える

手持ちの場合は、スマホを両手で持ち、脇をしめて、自分が三脚になったつもりで構えましょう。しっかりした構えができればブレが減り、見る人に不快感を与えない映像を撮影することができます。日頃使っているスマホでいつでもどこでも直ぐに撮影ができることは、スマホ撮影のメリットの一つです。普段三脚などのツールを持っていないことも多いと思いますので、手持ちでの撮影方法は是非覚えておいてください。ブレが軽減できる持ち方をマスターできれば、三脚などの設置時間もかからず撮影のスピードがアップしますし、荷物も少なくなります。

プロの映像では、臨場感やリアリティを出すために、あえてブレのある映像にする場合もありますが、これは高度な演出手法です。基本はブレを極力減らすように心がけてください。
ただし、速報性を重視すべき場面では、ブレを気にしすぎると時間のロスになりやすいので、ある程度のブレは許容し、撮影・編集・配信を短時間で行う機動性を重視しましょう。

ちなみに、撮影中にスマホの画面でピンチズームをすると、被写体をズームアップして撮影できます。しかし、操作時にブレが発生しやすく、被写体をアップにすることでブレも拡大してしまいます。

さらに、スマホのピンチズームはデジタルズームという画質が荒くなるズーム方法なので、画質の点からもなるべく使うのは控えたいところです。どうしても被写体をズームアップして見せたい場合は一度撮影を止め、被写体に近づいて撮影を再開し編集で2つのカットをつなぐ方が、ブレが少なく、視聴者にとって心地よい映像になります。

3.明るさや光の当て方を調整する

プロ用の機材で撮影する現場であれば、ロケハン(ロケーションハンティングの略)と呼ばれる撮影前の段階で明るさなどを確認し、照明を用意し映像に適した明るさで撮影に臨みます。
また、被写体の色や形をはっきり立体的に見せたい場合や人物の表情を豊かに見せたい場合には、斜め前方から光を当てます。この斜め前方からの光は半順光(プレーン・ライト)と呼ばれており、撮影時によく採用される照明の当て方です。しかし今回はスマホでの撮影なので、追加の照明機材を使わずに撮影する際のポイントをお伝えします。

一番きれいに撮れるのは自然光です。室内での撮影であれば、窓のある部屋で天気のよい日の日中に半順光を意識しながら撮影するのがベストですが、いつも条件の揃う場所やタイミングで撮影できるわけではありません。自然光での撮影が難しい場合は、天井の蛍光灯などもともとある室内照明に頼ることになります。

天井の蛍光灯が主な光源の場合、被写体の真上に強い照明があると、真下に影ができ人物の顔色が悪く見えます。その場合は少し場所を変えて、色や形や影などが自然に見える場所を探してください。

明るさが足りない場合、付属のカメラに自動補正機能があればそれを使って調整することができます。iPhoneの場合で説明していきます。iPhoneは、撮影中に画面内の暗いところをタップすると明るく補正し、明るいところをタップすると暗く補正してくれる「AE/AFロック」機能があります。この機能を利用し、理想の明るさを探ります。AEは絞り(明るさ)の調整、AFはピント(フォーカス)位置の調整のことです。

「AE/AFロック」機能の使い方(iPhone)

人を撮る時はつい顔をタップしたくなりますが、映像全体を見ながら適切な明るさを見つけて調整してください。ただし、「AE/AFロック」機能はピントの調整も兼ねているので、明るくしたいからといって被写体より距離的に手前や後ろの場所で固定してしまうと、被写体にピントが合わなくなります。そのため、被写体と同じくらいの距離にある暗めの場所をタップし、適正な明るさに調整する必要があります。

食品や美容系など、美味しさや美しさが重視されるものの撮影では照明の色に注意が必要です。
照明の光には複数の種類(光色)があり、どの光色を選択するかによって撮影した被写体の色に影響を与えます。身近な例でいうと、住宅のダイニングの蛍光灯は食事が美味しそうに見えるように暖色系が好まれます。暖色系の照明は食事だけでなく、人の肌の色も血色よく見えます。一方、一般的にオフィスの蛍光灯は寒色系のため、被写体がくすんだ感じになり、美味しさや美しさなどが正しく伝わらなくなってしまいます。もし寒色系の蛍光灯しかない環境で食品や美容系の被写体を撮影する場合は、撮影用の照明を追加で用意したほうがよいでしょう。

4.動画の内容理解には音声の質が重要

イメージのみのプロモーションビデオやナレーションのない動画は別ですが、それ以外では動画の音声の質はとても重要です。音声の質が悪い場合、聞き取りにくいことがストレスになりますし、聞き取ることに集中してしまうため内容理解の妨げになります。

スマホにはマイクが内蔵してありますが、環境音を拾いすぎてしまう傾向があるため、イベント会場のようなにぎやかな場所での撮影では、周囲の雑音に演者の声が消され、何を言っているのか全く聞き取れない映像になることもあります。

そのため、撮影時にはとにかく静かな場所を確保することが大切です。加えて、室内であれば音が反響しないかどうかも確認する必要があります。部屋の広さや壁の素材などによって音の響き方は異なりますが、部屋の中で手を叩いてみるとどの程度反響するかを確認することができます。
また、撮影場所の付近を歩く人の声や足音を拾ってしまう恐れがあるため、撮影があることを事前に告知し、張り紙などで音を立てないよう掲示しておくと撮影がスムーズになります。

さらに、聞きやすい音声にするためには演者の声量も重要です。日常の会話より少し張りぎみでちょうど良いことが多いですが、最適な声量はスマホとの距離や周囲の環境によっても異なりますので、テスト収録で確認してから撮影を行ってください。

雑音のある場所での声量

また、にぎやかな場所で撮影する場合は、スマホ用の外付けマイクを用意しておくと便利です。数千円程度からでも手に入れることができます。

5.撮影時のモードと画質選択

スマホで撮影をする際の失敗あるあるに「撮影中に電話がかかってくる」というのがあります。新商品発表会やセミナーの収録など再撮影ができない場合、撮影が中断になると取り返しがつきません。あらかじめ撮影が中断されないようにスマホを設定しておきましょう。例えば、「機内モード」をオンにしておくのも一つの方法です。

「機内モード」の使い方(iPhone)

また、iPhoneでは撮影時の画質とfps(フレームレート)を選べます。fps(frames per second)は1秒間のフレーム数(静止画像数、コマ数)を表す単位で、数値が高くなるほど動画がなめらかになります。基本は30 fps程度あればよいでしょう。
iPhoneの場合、【設定】>【カメラ/ビデオ撮影】で設定変更ができます。必要な画質や撮影予定時間、スマホの容量を考えて選択してください。

設定解像度1分間の動画サイズ(約)
720p HD/30fpsハイビジョン(1280 x 720)60MB
1080pHD/30fpsフルハイビジョン(1920×1080)130MB
1080pHD/60fpsフルハイビジョン(1920×1080)200Mb
4K/30fpsHDビデオの4倍の解像度(3,840×2,160)375MB

以上、スマホでの「撮影」に絞って、動画をビジネスクオリティに近づけるための5つのポイントをご紹介しました。

撮影後は編集・公開という段取りが待っています。編集はスマホのアプリを使う、PCに撮影データを移動してソフトを使うなど色々なパターンが考えられますが、最近ではスマホのアプリも使いやすくなってきており、わざわざPCに撮影データを移動しなくても、いつでもスピーディーに編集ができるようになりました。スマホを上手く活用して、撮影だけでなく編集の内製化にもチャレンジしてみてください。

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