エンコードの仕組みとは?
高精細な動画エンコードのためにおさえておきたい5つのポイント【後編】

2021.06.23

エンコード・編集サービス

エンコード

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前編では
エンコードの仕組み
ポイント1:解像度に適したビットレートを把握する
ポイント2:動き重視ならフレームレートを上げ、画質重視ならフレームレートを下げる
ポイント3:動きの多い映像はキーフレームを短い間隔で入れる
について解説しました。
後編では、「ビットレート設定(CBR・VBR)のメリット・デメリット、使い分け」「正しいアスペクト比とインターレース処理」について解説します。

ポイント4:ビットレート設定(CBR・VBR)のメリット・デメリット、使い分け

エンコードでは、CBRとVBRの特徴を理解し適正に合わせて使用することが重要です。

  • CBR(Constant Bit Rate・固定ビットレート)…常に一定のビットレートでエンコードする方法
  • VBR(Variable Bit Rate・可変ビットレート)…動画の内容によって、動きの激しいところはビットレートを高く、動きが少なければビットレートを低く変動させる方法

CBRとVBRのイメージ図

CBR(固定ビットレート)でのエンコードに向いている映像

CBR(固定ビットレート)はビットレートが一定なため、安定して視聴することができます。ライブ中継にも向いています。

《CBRのメリット・デメリット》

  • 【メリット】ビットレートが一定のため、ファイルサイズが算出しやすい
  • 【デメリット】設定以上のビットレートが必要なシーンで、ビットレート不足になる可能性がある
  • 【デメリット】低ビットレートで構わないシーンでも、必要以上にビットレートを使ってしまい非効率に思えることも

VBR(可変ビットレート)に向いている映像

VBR(可変ビットレート)はセミナーなど動きが少ない映像の低ビットレート化に向いています。CM映像やプロモーション映像、動きの激しい映像、有料コンテンツなどにも向いています。

《VBRのメリット・デメリット》

  • 【メリット】動きの激しいシーンと少ないシーンで、それぞれ効率よくビットレート配分できる
  • 【メリット】限られたファイル容量で、最大限高精細化を図ることができる
  • 【デメリット】高ビットレートのシーンでアクセス集中した場合、予想外にネットワークを圧迫する可能性がある

2パスエンコードと1パスエンコードの特徴理解

VBRでのエンコーディング時には、エンコード対象となる映像を解析したうえでその映像にあった最適なデータ圧縮を行う「2パスエンコード」と、映像解析をせずにエンコードを始める「1パスエンコード」のいずれでエンコードを行うかも選択しましょう。どちらを選ぶかは目的と映像素材次第で異なります。特徴の違いは下記を参考になさってください。

  2パスエンコード 1パスエンコード
メリット ・高精細な動画ファイルを効率的に圧縮できる ・2パスエンコードに比べて、エンコードにかかる時間が短い
デメリット ・エンコードにかかる時間が長い(1パスエンコードの約2倍)
・エンコード容量が、都度前後する
・必要以上に高いビットレートを設定してしまう可能性がある
・ビットレート不足の場合に、部分的なノイズ発生が生じることがある
向いている映像 ・CM映像
・プロモーション映像
・動きの激しい映像
・有料コンテンツなど
・即公開したいコンテンツ
・動きの少ない映像(講演会、セミナーなど)

ポイント5:正しいアスペクト比とインターレース処理

以下の画像のような動画をご覧になったことはないでしょうか。

【画像A】縦長、横長な映像になってしまうなど比率がおかしい

縦長、横長な映像になってしまうなど比率がおかしい

【画像B】縞模様のノイズが入り映像がちらついている

縞模様のノイズが入り映像がちらついている

これらは、映像信号の規格がテレビとパソコンでは異なるため発生する現象です。そのため、テレビ用に作成した映像を二次利用してネット配信する場合には注意が必要です。

「縦長、横長な映像になってしまうなど比率がおかしい」場合の原因と解決方法

【画像A】の原因は、ピクセルアスペクト比の違いです。ピクセルアスペクト比とは、画素の最小単位であるピクセルの比率のことです。動画の世界ではこの比率が複数あり、パソコンの場合1:1と正方形なのに対し、日本のテレビなどで使われているNTSC方式の4:3の場合は10:11、16:9の場合は40:33となっています。

ピクセルアスペクト比

そのため、NTSC方式の映像をピクセルアスペクト比未設定のままエンコードすると、パソコンで表示した際に被写体が微妙に縦長や横長な不自然な映像になってしまいます。エンコード時に、元素材のアスペクト比を正確に設定することで上記問題は解決します。

「縞模様のノイズが入り映像がちらついている」場合の原因と解決方法

【画像B】については、テレビやビデオ信号に使われているインターレースが原因で発生するものです。インターレースとは、1/30秒の1フレームを飛び飛びの2枚の画像(この画像のことをフィールドと言います)にわけて表示する技術です。フィールドは、1/60秒ずつトップ(奇数)フィールドとボトム(偶数)フィールドという順番で記録されていきます(図1)。インターレース方式では、1秒間に30枚の完全な画像ではなく60枚のフィールドと呼ばれる画像を表示することで、データ量を増やさずに映像をより滑らかに見せることが可能となります。
デジタルカメラでは撮影時にインターレース・プログレッシブ選択できるものも多く出ています。パソコンやスマートフォンでの再生ではインターレースのメリットはないので、プログレッシブを選択しましょう。

【図1】ノンインターレース方式とインターレース方式(イメージ)

  □ ノンインターレース方式(1フレームを1枚の画像で表示)

ノンインターレース方式(1フレームを1枚の画像で表示)

  □ インターレース方式(1フレームを飛び飛びの2枚の画像にわけて表示)

インターレース方式(1フレームを飛び飛びの2枚の画像にわけて表示)

テレビではトップフィールドとボトムフィールドを順番に再生していますが、パソコンではテレビの表示形式と異なるため、一部端末を除き縞シマに見えてしまう場合があります。そこで、インターレースの映像素材に対しては、エンコード時にインターレース解除の設定を行います。これにより、1/60秒ごとに記録されたトップとボトムのフィールドは1/30秒の1枚のフレームに合成処理されます(図2)。

【図2】インターレースの解除(イメージ)

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この解除方法は、ソフトにより設定できる内容が異なり、初心者にも簡単にできる自動処理(つまり、おまかせコース)や、映画・アニメなどのいわゆるフィルム素材をエンコードするのに適した「逆テレシネ」という機能等々あります。ここでは主流な設定を2つあげておきます。

主流な設定1:二重化

2枚のフィールドを合成して、インターレースの縞シマをぼかすことでノイズを減らします。猛スピードで走る車の映像のように1/60秒単位というわずかな時間でも大きく動きがあるようなシーンでは残像感が生じやすいですが、文字やグラフなどの情報をきちんと見せたい場合に適しています。講演やセミナーなどに向いています。

主流な設定2:トップorボトム(奇数or偶数)

60フィールドを合成せずに、トップフィールドまたはボトムフィールドのどちらかのみを使う方法です。二重化で行うノイズをぼかす工程がない分、シャープな画質になります。ただし、飛び飛びになったフィールドを使う方法のため、曲線、斜線などの再現に弱いという点があります。インターレースの境目にあった細い線がつぶれたり、一部消えたりする現象が起こることがあります。カーレースなど動きの激しいものに適しており、逆に細かなグラフや文字情報をきちんと見せたい講演やセミナーには不向きです。

ノンインターレースの映像素材には解除設定を適用しない

なお、ノンインターレースの映像素材に解除設定を適用すると、エンコード時に画質劣化の原因となります。画質が劣化したエンコードファイルは元素材同様には復元できないため、失敗した場合は再エンコードとなります。そのような事態を防ぐため、エンコード前に素材自体やプレビュー画面で内容をよく確認する必要があります。

以上、前編・後編にわけて、高精細な動画エンコードのためにおさえておきたいポイントを5つ解説しました。映像の特徴や想定ターゲット、動画の内容などにより最適な設定項目が異なってきますので、用途に応じて設定項目を選んでみてください。

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なお当社では、1コンテンツからエンコードサービスを行っています。エンコードサービスでは、パソコン、スマートフォン、タブレット、フィーチャーフォン、Hybrid CastなどのTV向け配信をはじめ、様々な端末への配信に向けて幅広いコーデックに対応しており、動画素材の特徴や対象端末にあわせて適宜必要なエンコードの設定・調整を行っていますので、お気軽にご相談ください。

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