CDNの障害に備える ~マルチCDNサービスを導入するメリット・デメリット~

2022.08.01

マルチCDNサービス

CDN

昨今「CDNに障害が起き、そのCDNを利用しているサービスでコンテンツが配信できなくなる」といった事象が起きています。CDN自体は複数のキャッシュサーバや冗長化されたネットワークを持つサービスですが、ソフトウェアのバグやヒューマンエラーによりサービス断になるリスクはゼロではありません。このような単一CDN利用時の障害への備えとして注目されるのが「マルチCDNサービス」です。今回は、当社が提供するマルチCDNサービスを軸に、導入のメリット・デメリットや利用ケースを紹介します。

1. CDNの障害

CDNはユーザーがアクセスする入口に設置されていることが多く、CDNに万が一障害が起ると提供しているコンテンツやサービスが利用不可になる可能性が高くなります。

CDNの役割

昨今のCDN障害

昨今発生したCDN障害情報を紹介します。

こういった障害は、これからご紹介するマルチCDNサービスを利用することによって回避することができます。

2. マルチCDNサービスとは

マルチCDNサービスとは、CDNサービスを複数利用することによりCDNサービスを冗長化し、可用性の担保や大規模なトラフィックの制御、視聴者に快適なCDNの選択を実現するサービスです。
マルチCDNサービスは、複数のCDNを設定された割合やパフォーマンス等、決められた設定値に従い、振り分けて配信を行っていきます。

マルチCDNサービスの利用イメージ図

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3. マルチCDNのメリット①:CDNの冗長化

複数のCDNサービスを利用することで単一のCDN障害の影響を最小限に抑えます。
例えば、CDN_AとCDN_BをマルチCDNサービスで利用する場合、CDN_Aが障害により配信出来ない場合、CDN_Bのみ利用する、というような動作が可能です。

手動で切り替える必要なし

マルチCDNサービスには、CDNの障害を検知する仕組みがあります。障害となったCDNは選択肢より自動で除外することが可能です。障害時に慌ててDNSレコードを切り替える等の作業は必要なくなります。

バックアップとしてのCDN

全てのCDNに常にトラフィックを流し続ける必要はありません。
例えば、メインで利用するCDNとバックアップで利用するCDNを決めて、障害時のみバックアップのCDNを利用する、という運用も可能です。
CDNは従量課金のサービスが多いのでバックアップで準備しておいても高額な費用が発生せず、万が一への備えができます。

CDN以外も設定可能

当社が提供するマルチCDNサービスは、マルチCDNと謳っていますが「メインでCDN、バックアップにオリジンサーバー」という運用も可能です。多様な利用方法が可能ですので是非お問い合わせください。

メインでCDN、バックアップにオリジンサーバーという使い方もできるマルチCDNサービス「Ns1」

4. マルチCDNのメリット②:最適なCDNの選択

複数のCDNを割合によって出しわけるのはもちろん可能ですが、マルチCDNサービスは、アクセスしたユーザーに最適なCDNを選択させることが可能です。

地域ごとに最適なCDNの選択

例えば、日本のユーザーだと、一番良いパフォーマンスのCDNがどれかを判定しCDNを選択します。地理的要因等を含んで最適なCDNを選択しますので、グローバルな配信をしている場合には国ごとのパフォーマンス向上を見込めます。

パフォーマンスの悪いCDNの除外

上記にもあるように、CDNはユーザーのアクセス地域によってパフォーマンスが異なります。マルチCDNサービスはパフォーマンスの悪いCDNを除外する、という設定も可能です。除外することでサービス品質を保つことができます。

CDNのパフォーマンス計測

最適なCDNを選択するためには、CDNのパフォーマンスを計測する必要があります。マルチCDNサービスはパフォーマンス計測の仕組みを持っており、計測用ファイルの設置と利用するWEBサイト等にJSタグを埋め込むことで計測が出来ます。

5. マルチCDNのメリット③:大規模なトラフィックへの対応

CDNといっても各CDN事業者のスペック・パフォーマンスにはバラつきがあります。1つのCDN事業者で大規模なトラフィックを流すと、パフォーマンスの低下や配信が出来ない状況になってしまう可能性があります。(※1)

1 CDNとは言え配信できる帯域の上限はあります。大規模なトラフィックを配信する予定がある場合は、利用中のCDN事業者に事前に相談することが大切です。

複数CDNを利用しマルチCDNサービスを通じて配信することで、論理的に大きな帯域を確保することが出来ます。

マルチCDNなら複数のCDNを利用することで論理的に1社では確保できない帯域を得ることができる
マルチCDNサービスの設定としては、CDN_A:CDN_B:CDN_C = 6:1:3 (※2)で振り分ける

2 割合は実際に流れたトラフィックによってチューニングする必要があります。

6. マルチCDNのメリット④:セキュリティ対策

各CDNのセキュリティ対策は様々であり、対策しているもの・していないものが事業者毎に異なります。このような観点からも複数のCDNを利用することはサービスを継続するうえで有効です。
例えばDDoS攻撃を受けた場合、対策していないCDNは除外することがマルチCDNサービスでは容易にできます。

7. マルチCDNのメリット⑤:導入が意外と容易

マルチCDNと聞くと導入が難しそうに感じますが、当社が提供するマルチCDNサービスはDNSを基に開発されており、マルチCDNにしたいドメインを移譲頂くことで利用可能になります。
移譲頂いたあとは、通常のDNSと同じようにご利用いただくことが可能です。このマルチCDNサービスは世界に26POPあり、非常に堅牢なサービスとなっています。
当社以外のマルチCDNサービスの場合は、DNSレコードを切り替えて導入するものや動画再生プレイヤーに導入するもの等がありますので、利用に適したマルチCDNサービスを選択してください。

8. マルチCDNのデメリット①:各CDNで同じ設定をする必要がある

マルチCDNサービスでは、ユーザーは最適なCDNへと、複数のCDNに割り振られます。そのため、同じ結果を得られるように、各CDNの設定値を揃える必要があります。
しかし、すべてのCDNが同じ機能を持っているわけではありません。オリジンサーバー側でできる設定はオリジンサーバーで実施するなど、CDNの機能に頼らない構成が必要になってくるケースもありますので要注意です。

9. マルチCDNのデメリット②:コストの増加

複数のCDNを利用する場合、それぞれかかるコストがバラバラなケースがあり、利用方法によってはコストの増加になる可能性があります。
またマルチCDNサービス自体にも費用が掛かりますので、享受できるメリットとの兼ね合いをしっかり検討することで無駄なコストを抑えることが可能です。

10. マルチCDNサービスの利用ケース

ここでは、マルチCDNサービスの3つの利用ケースを紹介します。

【利用ケース1】有料のコンテンツ配信サービス

有料のコンテンツ配信サービスで単一CDNの利用で障害が起こった場合、提供しているコンテンツやサービス停止による売り上げ減や補償の発生、ユーザーの流出などに繋がりかねません。
マルチCDNサービスを利用してCDNを冗長化することにより、これらのリスクを低下させることができます。

【利用ケース2】グローバルを対象としたコンテンツ配信サービス

グローバルを対象にコンテンツを配信しているサービスの場合、1つのCDNだと配信地域によってパフォーマンスにバラつきがあります。マルチCDNサービスを利用することで、地域ごとに最適なCDNを選択することが可能になり、サービス全体の品質向上につながります。

【利用ケース3】高トラフィックが想定されるコンテンツ配信サービス

ピークトラフィックが1つのCDNでは収まりきらないようなケースの場合、マルチCDNサービスを利用することで複数のCDNにトラフィックを振り分けて配信を行うことが可能です。

以上、マルチCDNサービスを導入するメリット・デメリット、利用ケースについて紹介しました。
複数のCDNを利用することにより様々なメリットが享受できます。サービスの品質を保つためにもぜひマルチCDNサービスの導入をご検討頂ければと思います。

当社は、マルチCDNサービス「NS1」を提供しています。NS1は、各地域の最高のTier1プロバイダからのトランジットを利用するだけでなく、数十以上の小規模なネットワークサービスプロバイダーから選択し、主要なピアリングエクスチェンジをも活用することで、DNSを配信するための最も健全で高速なルートを見つけることができます。
ご興味ありましたらお気軽にお問い合わせください。

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