2019.04.12
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2019年3月6日(水)、Jストリーム主催「課題解決のための座談会」を開催。Jストリームがモデレーターとなり「マーケティング視点で考える動画の果たす役割」をテーマに、普段接する機会が少ない異業種の顧客同士の座談会を通して、動画活用の考え方や課題共有を行った。
前列左から、アットホーム 渡邊慶太氏、JALカード 山田渉氏、トータル保険サービス 村尾英嗣氏
後列左から、マニュライフ生命 奥宗人氏、ファイザー 渡辺規子氏、ファイザー 阿部康昭氏、
Jストリーム 小室賢一
座談会 参加メンバー
渡邊慶太氏(アットホーム株式会社 マーケティングコミュニケーション部 ビジネスコミュニケーショングループ グループ長)
山田 渉氏(株式会社JALカード 営業・マーケティング本部 営業部 営業第二グループ長)
村尾英嗣氏(株式会社トータル保険サービス 経営企画部 参事役)
渡辺規子氏(ファイザー株式会社 デジタルチャネル・イネーブルメント オペレーションズ部長)
阿部康昭氏(ファイザー株式会社 デジタルチャネル・イネーブルメント オペレーションズ)
奥 宗人氏(マニュライフ生命保険株式会社 スマート・デザイン共創部 コミュニケーションデザインGマネージャー)
小室賢一 (株式会社Jストリーム カスタマーリレーション部 部長)
当日は自己紹介から始まり、トータル保険サービス村尾氏からの課題提示に加えて事前にお答えいただいたアンケートから動画活用に関する企画と効果検証にフォーカスして座談会が行われた。
議題にあがったアジェンダは以下の通り。
1.動画に最適な長さ(尺)は?
2.動画と文字情報の使い分け
3.動画に最適なコンテンツ
4.動画の効果検証
5.ライブ動画の活用
アットホーム渡邊氏より「研修動画は1時間、商品やサービスに関する動画は5分程度におさえるケースが多い。動画の尺に関して各社で決めていることなどがあれば知りたい」との質問から座談会は始まり、各社それぞれの工夫をして動画の尺を調整していることがわかった。
トータル保険サービス村尾氏「以前、金融機関の待合室で調査した際は顧客向けの動画は8分、最大でも10分が限界だと感じた」
ファイザー阿部氏「長くなりがちな研修目的の動画についても、見る立場で考えると合間時間で見られるような30分以内がポイントになると感じている。」
マニュライフ生命奥氏「当社内のトップメッセージはおおよそ3分。トピックスは記憶に残るように動画内にテロップやキャッチが入っている。研修だとクイズなどのアクションを入れて飽きさせないよう工夫している。」
さらに長尺の動画に関しては短く切るというアイデアも出たが、「動画を切ると後半は見られないと思う。小説の上下巻と似たようなことが起きる」とアットホーム渡邊氏。「シリーズものの動画も後半は閲覧数が少なくなる傾向にある」とマニュライフ生命奥氏も続く。一方でファイザー渡辺氏は「必ず見なければならない研修動画などは分けてあれば見てもらえる可能性が高まる」と内容によって視聴傾向が変わることにも着目。
内容にもよるが、視聴者の立場では10分以内が適した長さで、短い時間でいかにメッセージを伝えるかがポイントと各社が認識していた。加えて、最後まで見てもらえる工夫が重要との共通認識が得られた。
続いて、動画に適した情報の選定ポイントに議論が移った。
アットホーム渡邊氏から「カスタマージャーニーの中で、顧客とのタッチポイントごとに必要な動画をマーケティングの観点で整理するような部署が必要で、まさに今はそこに取り組んでいる。動画に適した情報は顧客である不動産会社様の使用するのぼり旗の組み立て方など、物があると動画にしやすい。一方で画変わりしないITサービスなどは動画にしづらく、むしろ画像の方が見やすいと感じる。視聴する立場に立って選定することが大事」との話があった。
ファイザー渡辺氏からは「製品に関する情報は必ずしも動画でなくても伝わる。医薬品業界では専門医からのメッセージを動画で伝えることがあるが、抑揚も含めた暗黙知の情報が活きて伝わりやすい。その後、関心に応じて詳しく書いてある製品情報へ導くなどの取り組みもしている」との話があった。
トータル保険サービス村尾氏からの「意外と動画はまどろっこしく感じることがある。文字で良いことも多い」との意見に加えて、マニュライフ生命奥氏も「まさに同じ課題があり、顧客に5分の商品説明動画に関するグループインタビューを行ったところ、5分であっても拘束時間として長く、興味のある箇所から見たいというご意見があった」と続く。さらに「同じ情報量で動画と紙どちらがわかりやすいかアンケートをとったところ、動画は興味喚起に向いているが、紙のほうが手元に残るので信頼感があるという結果になった。保険の場合は、契約に近づくにつれて、その信頼感・安心感がより求められているように感じた」とコメント。
動画は文字や画像などでは表現しきれない暗黙知を伝えることができてリアリティがあり、文字は慣れていれば短時間でも情報を得られるといった特性がある。顧客の知りたい情報が何かを踏まえて情報提供の方法を選定しているようだ。
社内への情報の伝達手段として動画は、ビジネスのスピードが速まる中、経営の考えを第一線にいる社員にまですぐに伝えることができて、受け手の立場としても有益との話があった。
さらに動画内でアクションを促すことができるインタラクティブ動画に話が及んだ。
マニュライフ生命奥氏「顧客が理解しにくい箇所や営業職員が説明しづらい箇所を動画にしているが、顧客によって気になる点が異なる。あらかじめストーリーを決めると、それぞれの顧客が、それぞれに必要と感じる情報を提供できない場合もある。顧客が必要な情報を選んで動画などのわかりやすい形で返すような仕組みがあれば良いと思う」
JALカード山田氏は「サービスの説明を見ながら条件分岐していくインタラクティブ動画の採用を決めた。その理由として、タッチポイントがあることで、どの情報に興味があったかの分析に役立てるつもり。それが分かれば次の施策が打てると考えている。加えてPCに比べて動画再生率の低いスマートフォンユーザーのアクションを促す施策にもトライしている」と話した。
ファッションショーの動画から購入サイトへ促すインタラクティブ動画に話題が及ぶと、ストーリーの中でアクションを促す使い方は相性が良いのでは、との意見もあり、インタラクティブ動画活用の可能性やウェブの仕組みでカバーできる部分とのバランスなど、課題も踏まえてパーソナライズされた情報提供のあり方についても議論された。
続いて動画の効果測定に議論が移った。
ファイザー阿部氏「医師を対象にしたセミナーでは、終了後のアンケート結果を指標にしている。NPS(当該情報を他の方にもおすすめしたいか)を測定して、その後の検討に当てている」
ファイザー渡辺氏「アンケート回収率はおおよそ5~6割と高い。多忙な医師が回答をしてくれていることを考えるとプログラムへのエンゲージメントを得られていると考えている」
トータル保険サービス村尾氏「視聴率と、どこまで見ているかも基本的な情報だが重要。ただ、運用経験を重ねないと指標も見えず、動画を活用し始める際の課題となる」
Jストリーム小室からは動画の内容にもよるので明確な指標はないものの、視聴ログの離脱ポイントを分析して視聴者の興味度合いをはかり、コンテンツを改善する顧客は多いとコメントがあった。トータル保険サービス村尾氏からは効果測定の明確な指標はないので自社で経験を積み重ねる必要があるのでは、という見解が示された。
座談会の後半ではライブの使いどころに関しても議論された。
アットホーム渡邊氏は「ライブセミナーは視聴する環境を考慮してモチベーションをあげることが重要」と自身の経験を話した。Jストリーム小室も「当社で実施しているライブセミナーは質問数も多く反応も良いが、アーカイブ動画の扱いに課題を感じている」とコメント。さらにアットホーム渡邊氏が、見られやすいタイミングについて尋ねると、ファイザー阿部氏は「昼休み、それも30分を2回など、短めの簡単に参加できそうな工夫をしていて、伝えたいメッセージ数も限る」と話した。さらにファイザー渡辺氏より「覚えていられるメッセージは、さほど多くはないため、内容を厳選する必要がある」と話した。加えてライブ中の質問への回答やインタラクティブな仕掛けのある参加型のライブは一体感があって良いという共通認識も得られた。
今回の座談会を通して参加者からはビジネス環境や各社興味の異なる中でも課題は似ている、ヒントを得られたので活用していきたいなどに加えて、今後もこのような座談会があると良いとの評価をいただいた。モデレーターのJストリーム小室は「非常に参考になった。課題に感じられているところはJストリームとしてもサポートしていきたい」と締めくくった。
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