AWS Media Servicesで動画配信を構築・運用│実務に役立つポイント解説

2025.09.12

AWS Media Servicesによる 動画配信 構築・運用 実務に役立つポイント

当社はAWSセレクトティアサービスパートナーです。自社サービス向けや、コンテンツプロバイダー・企業・団体向けのソリューション提供において、AWS Media Servicesを活用した動画配信基盤の構築・運用に豊富な実績を有しています。

本記事では、これから動画配信サイト企画や開発に関わる方向けに、当社実績から得たAWS Media Services活用に役立つポイントをご紹介します。

1. AWS Media Servicesとは?

Amazon Web Services (AWS)が提供する、動画配信サイト(ライブ・オンデマンド)を構築・運用するための専用サービス群「AWS Media Services」。メディアやエンタメ分野での有料動画配信サービスをはじめ、教育、企業内利用、イベントなどに幅広く活用されています。AWS Media Servicesで配信基盤を構築・運用することで、スケーラブルかつ柔軟なインターネット上での動画配信環境を実現できます。

2. AWS Media Services主要サービスの紹介

AWS Media Servicesでは、動画配信の各工程に特化したサービスが用意されており、要件に応じて柔軟に組み合わせることができます。以下に、主要サービスの役割と特徴を紹介します。

サービス名役割特長
AWS Elemental MediaConnectライブ映像伝送専用プロトコルで高信頼・低遅延なライブ映像伝送を実現
AWS Elemental MediaLiveライブ動画エンコードライブ映像をリアルタイムでH.264/H.265形式にエンコード
AWS Elemental MediaConvertオンデマンド配信(VOD)向けファイル変換高品質なVOD用ファイルを多形式にトランスコード可能
AWS Elemental MediaPackageパッケージング・視聴制御HLS/DASH形式での配信とDRM・トークン認証に対応
AWS Elemental MediaTailor広告挿入SSAI方式で広告を動的挿入、視聴体験と収益性を両立

3. AWS Media Services活用時に押さえておきたいポイント

AWS Media Servicesによる 動画配信 構築・運用 実務に役立つポイント_3. 押さえておきたいポイント

AWS Media Servicesを活用した動画配信サイトの構築・運用においては、単にサービスを組み合わせるだけでなく、配信形態や視聴者規模、収益モデルなどに応じた設計上の工夫が不可欠です。

ライブとオンデマンド配信(VOD)の違いの理解

AWS Media Servicesを活用した動画配信サイト構築では、ライブ配信とVODの違いを理解することが重要です。ライブ配信とVODでは、技術構成や運用の考慮点が大きく異なります。

ライブ配信はリアルタイム性が求められるため、低遅延で安定したストリーミング配信のための処理が不可欠です。VODは事前にエンコード・パッケージ化されたコンテンツを配信します。

コンテンツにDRMをかける場合は、ライブ配信ではMediaPackageを中心にリアルタイム配信環境を構築し、VODではMediaConvertによる事前処理が鍵となります。両者を統合的に扱うことで、両方の動画配信に対応した配信基盤が構築できます。

管理画面の設計も重要

動画配信基盤の運用において、管理画面の設計は業務効率と運用の安定性を左右する重要な要素です。当社サービスやソリューションでは「配信ステータスの可視化」「エラー検知」「トークンの発行・管理」「ログの取得」など運用担当者が必要とする機能を的確に整理し、直感的に操作できるUI設計を行っています。

自動化された配信フローの設計で運用効率を高める

動画配信の運用効率を高めるためには、配信フローの自動化が不可欠です。AWS Media Servicesを中心に「動画のアップロードからエンコード」「パッケージング」「配信」「視聴制御」までを自動化する設計をおすすめします。

運用においては、API連携によって動画情報の登録・更新・削除を管理画面から制御できるようにし、人的なオペレーションを最小限に抑えるなどの工夫も効果的です。

セキュリティ面では、CloudFrontとトークン認証を組み合わせることで、正規の視聴者のみがアクセスできるようにし、必要に応じてDRMとの連携も含めた多層的な保護を実現します。これにより、商用配信に求められる安定性・拡張性・セキュリティを兼ね備えた運用が可能となります。

24時間365日稼働するライブ配信でのコスト最適化の工夫

MediaLiveは高機能なクラウドベースのライブエンコーダーです。ただし、常時稼働するチャンネル数が多い場合には従量課金が積み上がりやすく、コストが非常に高くなります。

そこで、MediaLiveを使わずにライブエンコーダー機器を使用し、MediaPackageへ直接RTMPやHLSで送信する構成を採用することで、クラウド側のエンコードコストを大幅に削減できる可能性があります。

ただし、ライブエンコーダー機器を用いる構成は、クラウド側のエンコードコストを削減できる一方で、初期投資が必要となる場合もあります。要件に応じて、ライブエンコーダーとクラウドの使い分けを検討することが重要です。

広告挿入でのユーザー体験と収益性の両立

広告挿入の運用においては、視聴体験を損なわずに収益化を図るための設計が求められます。当社はAWS MediaTailorを活用し、サーバーサイド広告挿入(SSAI)によるスムーズな広告配信を提供しています。
配信形態(ライブ/VOD、無料/有料)に応じて、広告の挿入タイミングや制御方法を設計することで、ユーザー体験と収益性の両立を図ることができます。

視聴者数の見込みが設計に影響

動画配信の設計において、視聴者数の見込みは技術構成やコストに直結する重要な要素です。例えば「数百人規模の社内研修」と「数万人規模の商用ライブイベント」では、必要となる帯域・キャッシュ戦略・冗長構成が大きく異なります。

AWS CloudFrontを活用したCDN配信では、視聴者数に応じたスケーラビリティ設計が可能であり、急激なアクセス集中にも対応可能です。また、MediaPackageやMediaTailorなどのAWSサービスは、視聴者数に応じて自動的にスケールするため、事前の見積もりと設計が適切であれば、安定した配信とコスト最適化の両立ができます。
ただし、視聴者数の見込みは、技術選定だけでなく課金モデルや広告挿入の設計にも影響を与えるため、初期段階での精度ある予測が重要です。

AWSのスケーラブルなサービスを活用しつつ、想定視聴者に応じた適切な設計を行うことで、安定した運用が実現できます。Jストリームでは実績を踏まえ、視聴規模や配信形態に応じた設計支援を行っています。

4. AWS Media Services活用、自社だけで可能か?

AWS Media Servicesによる 動画配信 構築・運用 実務に役立つポイント_4. AWS Media Services活用、自社だけで可能か?

AWS Media Servicesはサービス群としてあらかじめ用意されており、柔軟な構成が可能ですが、構築にあたっては専門知識が求められます。社内に動画配信の専門チームがない場合や短期間での立ち上げが求められる場合は、外部パートナーの活用が有効です。

Jストリームでは自社サービスをはじめ、顧客向けソリューション提供を通じてAWS Media Servicesを活用した動画配信サイト構築・運用の知見が多数あり、要件定義〜設計〜運用まで一貫してサポートします。

またAWS Media Servicesだけではなく、

  • AWS上でのシステム開発・運用(動画配信、CMS、会員基盤、etc)
  • Amazon CloudFrontを活用したマルチCDNソリューション提供

などにも対応しています。

動画配信システム提供、システム開発 / 運用保守、ライブ中継などエンドツーエンドの幅広いソリューションとメディア専門チームによるクライアントに寄り添ったサポートを提供します。まずはお気軽にお問い合わせください。

記事監修者

本記事は、【記事監修者】 株式会社Jストリーム ソリューション推進本部が監修をおこないました。
株式会社Jストリームは動画配信の先端企業として、提供したい情報にあわせたコンテンツの企画制作やウェブサイト構築・運用、あらゆる端末に対応した高品質で安定した配信サービスまでをワンストップで提供しています。詳しくは企業情報をご覧ください

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