業界別自主研究シリーズ vol.3
【金融業界編】ユーザー傾向と密接に結びついた動画活用を徹底調査

2014.10.06

ライブ配信サービス

今回は、金融業界の中でも動画活用が特に進んでいる都市銀行・証券会社・生命保険会社の活用状況を調査しました。株式や投資信託などの金融商品は、利用したことのない方にとって「敷居が高そう」「難しそう」といったイメージを持たれやすく、それらの不安感が利用の障壁になりやすい商材です。そうしたユーザーに対して各社が動画を用いてどのようなアプローチをしているのかを調査し、一般に公開されている情報や当社が調べた各社の動画活用状況などから、各業態の動画活用の特徴や共通点が見えてきました。

銀行では、動画の「わかりやすさ」を活かして預金以外の商品理解を促進

銀行のユーザー傾向として、年齢制限なく口座を開設できるため属性が幅広いことと、一度口座を開設すると他行にスイッチしにくいことが挙げられます。一般社団法人全国銀行協会が定期的に行っている「よりよい銀行づくりのためのアンケート」(今回は最新の2012年度版)でも、預金口座がある銀行から別の銀行に口座を変更するユーザーは少ないという結果になっています。

(都市銀行では、「取引が増えた」は15.2%、「取引が減った」13.0%、「取引を止めた」1.2%であるのに対し、「変わっていない」が70.6%を占める)

このようなユーザー傾向のある都市銀行では、自社の取り組みについて紹介しているCSR動画が多くなっています。また、テレビCMやBS番組など、保有している動画を自社サイトで二次利用しているケースも多く見られます。都市銀行の中でも、三菱東京UFJ銀行はCSRの一環としてBS放送の番組に提供しているため、53本にのぼるBS番組を動画配信していました(2014年8月現在)。預金口座は各行で差をつけにくいサービスであり、企業イメージが口座開設の大きなポイントになると考えられるため、生活への密着感や利用に向けての安心感など、企業としてポジティブイメージを与えられるような動画が多くなっています。

また、都市銀行の利用目的として普通預金の利用が95%であるのに対し、投信信託や国債といった金融商品の利用は5%にとどまります。

こうした傾向を受けてか、三菱東京UFJ銀行ではNISAの紹介動画、みずほ銀行と三井住友銀行では投資信託の動画を配信しています。動画は「わかりやすい」という特長があるため、今まで金融商品に縁のなかった人にとってハードルが高いイメージがあるNISAや投資信託について、そのメリットや利用方法を動画で解説し、預金利用のみのユーザーに対して、金融商品についての理解を深め、利用率を高めたい意図が感じられます。

大手証券会社では、独自のマーケット情報の提供に各社が注力

証券会社に口座開設を検討している人は、多かれ少なかれ「難しそう」「ちゃんと運用できるか不安」といった気持ちを持っているのではないでしょうか。日本証券業協会が2012年に実施した『証券投資に関する全国調査(個人調査)』では、証券投資のイメージについて、「難しい」が最も高く39%、次いで「ギャンブルのようなもの」「資産運用の一環」(35%)という結果でした。

また、証券投資を行うために強化して欲しい点について、「悪質な業者・営業員の排除」(55%)、「不公正な取引などへの厳格な対応」(44%)、「購入後のアフターケア」(42%)が上位となりました。証券会社のユーザーにとって、不正の排除やアフターサポートの充実が重要であることが窺えます。

大手証券会社のサイトを見てみると、こうしたユーザーの声を反映していることがわかります。これから資産運用を始めたいユーザーの不安感を払拭するため、FXや先物取引、NISA、投資信託などがどのような商品なのかを解説する動画が揃っています。野村證券ではNISAやファンドの紹介動画、大和証券や三菱UFJモルガン・スタンレー証券では先物取引や信用取引の紹介動画を中心に、多様な動画が公開されています。

また、各社で一番の目玉となっているのは、マーケット情報を解説するオンラインセミナー形式のコンテンツです。野村證券や大和証券では日次・週次・月次単位でマーケット情報をライブ配信し、三菱UFJモルガン・スタンレー証券ではオンデマンド配信で定期的にマーケット情報を提供しています。著名なストラテジストなども起用していずれも頻繁に配信しており、コンテンツが非常に豊富かつ多彩です。口座開設者のみが視聴できるコンテンツもあり、ユーザーへのアフターサポートの一つにもなっています。

生命保険会社では、家族全体に安心感を与える動画が主流

生命保険は、金融業界の中でも自分以外が加入を決定することが多い業態です。生命保険文化センターが平成24年度に実施した「生命保険に関する全国実態調査」では、家族内での加入決定者は「夫」(45.6%)が最も多いものの過半数には届かず、「妻」(35.8%)「夫婦や家族で相談」(9.8%)「子ども」(5.3%)など家族の意見が取り入れられていることがわかります。

また、同センターが実施した平成25年度「生活保障に関する調査」によると、加入する生命保険会社に求めることについて、「パンフレットや資料など提供している情報がわかりやすい」が22.9%、「会社の様々な情報を積極的に開示している」が15.4%となっており、求めることの上位ではないものの情報提供に関する要望が一定数挙がっています。

このようなユーザー傾向のある生命保険会社では、商品紹介動画を公開しているほか、CM動画やCSR動画も多く配信しています。その内容は、加入者が契約後から将来に至るまでの生活を安心して過ごせそうなイメージを伝える動画が多い傾向でした。 また、日本生命ではがんなどの病気に関する情報も動画で提供するなど、直接保険商品に関わらない周辺情報も公開し、保険に加入することで得られる安心感を想起させる内容になっています。

業態別の動画活用の共通点と相違点

今回、金融業界の3業態について動画の活用状況を調査しましたが、CSRや商品紹介に動画を積極的に活用している点は、どの業態でも共通していました。
その一方で、各業態でユーザー属性や目的に合わせて動画の活用方法に違いがあり、初めの契約や口座開設が重要な「都市銀行」「生命保険会社」では新規ユーザー向けに安心感を醸成する動画が多く、口座開設時だけでなくその後の運用も重要である「証券会社」では既存ユーザー向けに継続利用をサポートする動画を配信しているケースが多いことがわかりました。

今回の調査を通じ、金融各社がターゲットに対するアプローチ方法を工夫していることが明らかになりましたが、同時に、「難しそう」という印象をもたれやすい業界であるため、動画の「わかりやすい」という特長をうまく活かしていることも窺えました。 アプローチしたいユーザー属性はどういった層なのか、どのような目的で情報を伝えたいのかに合わせて、是非動画を活用してみてください。

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